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薬学生の業界研究 行政で働く
Introduction

薬剤師の業務といえば調剤や患者対応をイメージしがちですが、国家公務員や地方公務員などとして働く道も存在します。国や地域のニーズを的確にとらえ、奉仕の精神で職務に取り組む行政職の魅力はどんなところにあるのでしょうか。

Index

行政の最新動向

行政薬剤師の仕事

就職活動&キャリアパス

行政の最新動向

地域包括ケアシステムの完成に向かって

世界に先駆けて超高齢社会を迎えた日本は、医療・福祉分野の大きな課題を抱えることにもなりました。目下、団塊世代が後期高齢者(75歳以上)となる2025年を目途に地域包括ケアシステムの構築が推進されており、団塊ジュニア世代が65歳前後となる2040年を見据えた社会保障制度の改革も見込まれています。

ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)の進歩、創薬イノベーション、働き方改革など、医療・福祉分野の今後に影響するトピックは他にも多数あり、薬学の専門家が中央官庁で活躍することの意義は大きいといえます。

もちろん、地域レベルでもこうした点を視野に入れた行政が求められることには変わりありません。「病院から地域へ」の流れが加速する今、病気や障害を抱えたまま在宅や施設で療養生活を送る人は確実に増えています。

一方で、少子高齢化や単身・共働き世帯の増加といった生活スタイルの変化もあり、地域全体として人々が支え合う仕組みづくりが急務です。地方自治体の職員として働く薬剤師には、地域住民の理解や協力を得て、各職種の連携を図りながら地域保健対策を進めることが求められます。

さらには、麻薬取締官や薬剤官(自衛隊)、法務技官(刑務所)といったかたちで専門性を発揮する薬剤師もいます。一口に「行政薬剤師」と言っても、具体的な活躍の場はとても幅広いのです。

行政薬剤師の仕事

国家公務員薬剤師

「薬系技官(総合職)」として厚生労働省をはじめとする国の機関に所属し、次のような職務を担当します。

薬事分野

医薬品や医療機器の有効性・安全性の確保、販売制度の確立など

保健医療分野

診療報酬・調剤報酬改定、後発医薬品の使用促進など

食品安全分野

食品のリスク評価や添加物指定、農薬の残留基準設定など

化学物質分野

化学物質のリスク評価、毒物・劇物の取り締りなど

研究開発分野

新薬や医療機器における研究開発の推進など

さまざまな学部の出身者が薬系技官になり得ますが、化学や生物、薬学などの基礎知識が求められることから、薬学部出身者が全体の約6割(入省5年目までの職員)と多数を占めているのが特徴です。現場の視察から政策立案、実施に至るまでのプロセスすべてに携わり、国民の生命や健康に直結する仕事で力を発揮することができます。

地方公務員薬剤師

地方自治体の職員として、主に次のような配属先で地域密着しながら業務に取り組み、住民の生命と健康を守ります。

保健所

担当地域の調剤薬局・飲食店・宿泊施設などへの立ち入り検査・指導監督、地域住民への健康増進の啓発、公衆衛生に関する調査など

県庁や市区町村役場など

薬事衛生・医薬品安全に関わる検査や指導、医薬品を取り扱う企業への立ち入り検査・指導監督など

公立病院

薬剤部での調剤業務、病棟業務など(一般的な病院薬剤師と同様)

衛生研究所

医薬品・食品の安全性検査、感染症予防の研究・調査、公衆衛生の監視・管理など

麻薬・自衛隊・刑務所

麻薬取締官

麻薬犯罪に関わる取り締りや捜査・逮捕、医療用麻薬の監督・指導、薬物中毒を防ぐ啓発活動など

自衛隊薬剤師(薬剤官)

自衛隊員の日常的な健康管理、有事の際の医療支援・救護活動、医薬品の管理など

刑務所薬剤師(法務技官)

受刑者を対象にした調剤業務、薬剤事務一般など

就職活動&キャリアパス

就職活動のポイント

国試&公務員試験の通過が必須となる「難関」

薬系技官として働くためには、国家公務員採用試験に合格するだけでなく、志望する官庁を訪れて面接などを受ける「官庁訪問」に参加する必要があります。地方公務員として働くためには、都道府県や市町村が実施する公務員試験にパスしなければなりません(ただし、国立/公立病院へ応募した場合は、病院独自の採用試験になることも)。衛生行政機関または保健衛生施設で働く薬剤師は全体の2.1%※というデータもあり、ハードルが高い進路であることは間違いないでしょう。

なお、公務員のうち国家公務員は2割未満であり、地方公務員のほうが圧倒的に多くなっています。いずれにしても、薬剤師免許を取得した上で公務員試験にも合格する必要があるため、できるだけ早期から試験対策を始めることが欠かせません。

なお、麻薬取締官では厚生労働省が実施する麻薬取締部の採用試験、自衛隊薬剤師では自衛隊幹部候補生(薬剤科幹部候補生)の試験、刑務所薬剤師では刑務所ごとの選考にて合否が判定されるなど、他とは採用ルートが異なることに留意してください。

※厚生労働省:平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況

キャリアパス

「スペシャリストかつジェネラリスト」という特異な存在

行政職では、基本的に2~4年を目途に定期人事異動があり、そのたびに違った業務を担当することになります。幅広い業務に携わることで職員の能力を開発したり、職場を活性化したりする効果が見込まれるほか、特定の団体との癒着を防止する目的もあるようです。薬学の専門家であると同時にジェネラリストとして多様な経験を重ねることができるのは、行政薬剤師ならではのキャリアパスだといえるでしょう。

向いている人

公共のために働く気概を持っていることが大前提

行政機関で働くことの魅力は、大所高所から公共の利益を図るため、民間では経験できないような業務に従事できること。俯瞰的な視点から、国民や地域住民の健康増進に貢献したい人に向いている仕事です。一方で、公務員という立場の性質上、希望する業務を必ず担当できるとは限らないことには注意が必要です。また、前述したような定期人事異動に対応することも必要で、薬学の専門家として幅広い領域に関心を抱ける人や、未知の分野にも前向きに挑戦して学びを継続できる人に適しているといえるでしょう。

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