没頭のサナカ!

INTERVIEW

INTERVIEW 06

亀ヶ谷悠斗さん

横浜市立大学理学部4年[取材時]

PROFILE

幼少期からの生き物好き。高校生時に、カエルがジャンプの際に目をつぶることに着目。大学でも同テーマで4年間に渡って研究を続ける。長期休みは野生生物を求めて旅に出る行動派。自宅では約10種類の生き物と暮らす。

誰も知らない生物の謎を解き明かしたい!「なぜ?」を追い求め研究の道へ

恩師の言葉が原動力に!高校からカエルの研究をスタート

小さい頃は昆虫少年で、虫を捕まえ、飼育し、標本を作るのが日課でした。カエルにのめり込んだきっかけは、高校生の時に友人に誘われて行った爬虫類・両生類の即売会。そこで出会った「ツノガエル」の愛らしい姿に一目惚れして飼い始め、観察するうちにその生態に興味を持ちました。
通っていた高校は探究学習に熱心でしたが、なかなか研究テーマが見つからず悩んでいました。そんな僕に恩師がくれたのが「生物は環境によって進化し、自分ならではの強みを得る」という言葉。勉強することにあまり前向きではなかった自分が、「好きなことを突き詰めてみよう!」とカエルの研究を始めるきっかけになりました。
それからは、カエルのジャンプ動画をスロー再生して見つけた「なぜ跳ぶときに目をつぶるのか?」という謎の解明に没頭。大学進学後に実験を重ねた結果、下方向の加速度がかかった瞬間に、目が引っ込む規則性があることを発見しました。今も実験を繰り返しながら、論文の執筆に励んでいます。

試行錯誤の末に叶った!希少な「グミガエル」の繁殖

毎年、大学の長期休みには、カメラやヘッドライトを携えて両生類・爬虫類の観察旅行へ。沖縄や奄美群島などを訪れ、泥だらけになりながら生き物を探しています。図鑑でしか見たことのない希少な野生生物を見つけた時の感動は、言葉にできません。好奇心や探究心がかき立てられます。
自宅ではカエルをはじめ、ヘビやトビハゼなど約10種類の生き物を研究も兼ねて飼育中。特に情熱を注いでいるのが、中南米に生息する「グミガエル」の繁殖です。愛らしい姿とお腹が透明で内臓まで透けて見えるのが特徴の美しいカエルで、日本ではまだ繁殖の成功例は多くはありません。現地の環境を再現しながら粘り強く実験を続け、迎えた成人式(二十歳のつどい)の日の朝。ふと水槽を見ると、葉っぱの裏に卵が!1年越しの努力が実った瞬間でした。観察と撮影に夢中になり、友人との約束に遅刻してしまいましたが、最高の思い出になりました。

大学院でさらに視野を広げ生命の仕組みを解明したい

もともと「面白そう!」と直感的に行動するタイプでしたが、研究を通して考え方が変わりました。朝から終電まで研究室にこもり、仮説を立て、実験で検証し、結果から考察する。このサイクルを繰り返すうちに、物事を論理的に考える力が身につきました。日常生活でも人が発する言葉の背景に興味を持ち、深く考えるようになった気がします。
僕にとって研究に没頭する時間は、心の拠り所のようなもの。人生にはいろいろな変化や悩みがつきものですが、「自分にはこれがある」と思える場所があることに幸せを感じます。大学院では一度カエルを離れ、神経行動学の道に進む予定ですが、そこで得た知識を活かして、再びカエルの研究に戻ってくるつもりです。研究者として、カエルのユニークな生態から、まだ誰も知らない生命のメカニズムを解き明かしていきたいです。

加速装置の製作・貸与:日本精工株式会社

マイナビ

マイナビ編集部より

思考を深め、自身も進化させる「情熱」。

カエルの謎に挑み続ける亀ヶ谷さんの物語は、「好き」という感情が、いかに人を深く変え、成長させるのかを教えてくれます。高校時代から着目した「瞬きの謎」の解明や、「グミガエル」の繁殖成功にいたるまでの粘り強い試行錯誤は、探究心が生み出す驚くべき結果です。
そして、その探究に没頭する過程で、物事を論理的に捉える知性や、人の言葉の背景まで深く考える思慮深さが身についたという言葉は示唆に富んでいます。研究に集中する時間が「心の拠り所」だと語るように、情熱を注げる対象を持つことは、人生の土台を強くしてくれます。この没頭から生まれる進化こそが、彼を次なる挑戦へと駆り立てているのかもしれません。

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