没頭のサナカ!

INTERVIEW

INTERVIEW 07

松澤智朗さん

芝浦工業大学デザイン工学部2年[取材時]

PROFILE

埼玉県さいたま市出身。母親の影響で幼い頃に盆栽に興味を持つ。高校一年生から、盆栽文化を広めるための活動を開始。YouTubeでの情報発信や、ワークショップイベントの開催など、精力的に活動を続けている。

YouTubeで盆栽の動画を毎日投稿!新たな感性で盆栽文化の継承に取り組む挑戦者

盆栽好きが高じて高校生で盆栽家に弟子入り

盆栽というと「年配の方の趣味」というイメージがあるかもしれません。ですが、母が昔から盆栽を育てていたこともあり、僕にとって小さい頃から身近で、親しみのある趣味でした。自分も水やりなどのお手伝いをするうちに、家族のような深い愛着を抱くように。匂いや手触りなど五感を通じて楽しめるところ、カスタマイズ性が高く、自分の理想を追求できるという点も盆栽の魅力です。
盆栽をより深く学びたいと思い、高校1年生で盆栽を生産する「盆栽家」に弟子入り志願。本格的に、その技術を学ぶようになりました。

若者に向け、2年間毎日盆栽の動画を投稿

しかし、盆栽と向き合う時間が増えるほど、この業界の課題—愛好家の高齢化や減少、後継者不足による盆栽生産者の廃業—なども見えてきました。
伝統を絶やさないよう、何か自分にできることはないか? 危機感を抱いた僕が思いついたのが、YouTubeでの情報発信です。YouTubeなら若い視聴者に対して、動画でわかりやすく盆栽の魅力や技術を伝えられると思ったのです。そこで、師匠にも協力いただきながら、『人類盆栽大好き化計画』として、その後2年間続く、毎日の動画投稿をスタートしました。
しかし投稿を始めたものの、視聴者のほとんどは65歳以上。若い世代にはなかなか届かず、活動を辞めたくなるほど苦しい状況が1年ほど続きました。そこで発想を転換し、日本文化に関心のある海外の人にまず知ってもらおうと、全ての動画に主要20言語の字幕を導入したところ、視聴者数が一気に増え、10代の視聴者も大きく伸びました。

「広告塔」的存在として普及に取り組みたい

毎日学校から帰って字幕を入れる作業は本当に大変でしたが、発信活動の結果、盆栽園への海外からの訪問者も増加。最近では師匠への新たな弟子入り志願者も現れ、盆栽の魅力発信、後継者の獲得に少なからず貢献できたのかなと感じています。
また、こうした経験を通じて、自分が将来目指すべきは盆栽の技術の追求ではなく、盆栽文化を広め、サポートする活動だという方針も固まりました。職人の道に進むのではなく大学に進学したのも、盆栽を広めるためには、まずは視野を広くして、世界を知ることが大事だと思ったからです。
盆栽をテーマにしたエコツーリズムの実現、高齢者と若者が盆栽を通して交流できる常設の場づくり、盆栽を使った地方創生など、やりたいことはたくさんあります。「盆栽業界の広告塔」として、これからも失敗を恐れず、盆栽を普及する取り組みにどんどん挑戦していきたいと思います。
マイナビ

マイナビ編集部より

「好き」の熱量を、文化を広める架け橋に。

盆栽への深い愛着を原動力に、YouTubeでの発信やワークショップなど、既存の枠にとらわれない手法で魅力を伝え続ける松澤さん。大切な文化を次世代へとつなごうとする、力強い情熱が伝わってきます。
特に印象的なのは、自らを技術を極める「職人」ではなく、魅力を世に問う「広告塔」と定義した視点の転換です。世界を見据えた地道な努力からは、盆栽が持つ価値を誰よりも信じる確固たる信念を感じます。
自分の「好き」を個人的な趣味に留めず、社会と接続させるための「役割」を見つけ出した松澤さん。その広い視野と行動力は、伝統ある盆栽の世界に新しい風を吹き込み、さらなる可能性を切り拓いていくに違いありません。

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