株式会社サイバーエージェント
常務執行役員CHO
曽山 哲人

上智大学文学部英文学科卒。1999年に入社。インターネット広告事業部門の営業統括、人事本部長を経て現職。常務執行役員CHOとして人事全般を統括。

中三のとき、偶然目にしたテレビの深夜番組でストリートダンスを知って、カッコいい、と思った。ほとんど一目惚れだ。しかも、まだ周りの誰もやっていない。すぐに友だちを巻き込み、見よう見まねで練習を始め、夢中になった。
高校では、人気のテレビ番組が主催していた「ダンス甲子園」に挑戦してみないか、という声がかかり、グループで全国大会を目指すことに。スキルの高い先輩ダンサーに交じって、練習に奮闘する日々。決勝はよみうりランドの野外ステージで、満員の大歓声を浴びながらパフォーマンスを披露。10チーム以上が決勝を争う中、結果は3位。私の人生を大きく変えた出来事だった。
「ダンス甲子園」の決勝がテレビで放送されると瞬く間に校内の人気者になり、メディアの影響力を思い知った。その後もダンス部を立ち上げるなどしたが、受験を機に辞める決断をした。プロを目指すことも考えたが、上には上がいたし、ダンスを仕事にするのは今よりさらに難しかった。
大学で没頭したのは、ブームになる前のラクロスだった。負けず嫌いで根が優等生気質の私は、早朝からグラウンドに通い、ほぼ毎日、誰よりも多くスティックを振った。三年生で副キャプテンになると、それまでにはなかった大会開催の申請をして、スポンサーを募るなど、スポーツとしての進展も目指した。130チームある関東の学生連盟の広報委員長を務めて、その活動にも没頭した。
残念ながら、大会優勝などの成果は得られなかったが、この経験もまた自分を成長させてくれた。
ダンスとラクロスに没頭して得たものは、その後の私のビジネスパーソンとしての意識に繋がる萌芽であったと思う。自覚はなかったが、青春時代の行動や選択にも、自分のマーケティング的な感覚が大きく影響していた。直観を信じること。伸びていく市場を見つけること。正しい努力は、必ずプラスに繋がること。そして、強い組織を作り、成果を得るには、全員にとっての明確な目標が重要であること。一歩引いてチーム全体を見て自分の立ち回りを考え、役割には絶対の責任を持つ、といったスタンスも、ダンスとラクロスの経験が培ってくれたものだ。
1999年にサイバーエージェントに入社したとき、社員数はたったの20名だった。ストリートダンスに出逢ったあの日と同じように、成長への期待感を抱えて飛び込んだ決断は、間違いではなかったと確信している。
学生への応援メッセージ
これから伸びていくこと、まだ他人があまりやっていないことを見つけて、挑戦するのをお薦めします。たとえ当てが外れたとしても、他人がやっていないものに没頭した経験が、あなたの人生の価値を上げてくれるはずです。
進路に悩む場合は、「伸びていきそうなこと」をまず書きだしてみる、それがマネタイズできるかどうかを考えてみる、など、ビジネス感覚をもって検討してみてください。