縮小続く繊維産業。炭素繊維は世界シェア高い
経済産業省の工業統計によると、2019年の繊維工業の製造品出荷額は、前年比2.3%減の3兆6,940億円となった。アパレル市場の縮小や輸入品の普及により、事業所、出荷額とも1991年比で約4分の1の水準。ただ、生地の製造技術は高い。経産省では繊維産業は品質と縫製技術の高さで世界をリードする力があると指摘する。代表例が炭素繊維だ。鉄の4分の1の重さながら、強度は10倍。日本の大手3社で世界シェアの半分以上を占め、自動車や航空機などの新市場を開拓している。
ペーパーレスの影響続く。注目される新技術「CNF」
一方、工業統計による紙・パルプ・加工品の19年の製造品出荷額は、前年比1.8%増の7兆6,878億円。経産省の生産動態統計によると、20年の紙・板紙の生産量は、前年比10.0%減の2,287万トンと2桁の減少。新聞や雑誌向けに加え、ペーパーレスの普及などで情報用紙も減少した。新技術として注目されるのが、セルロースナノファイバー(CNF)。木材繊維を微細化した材料で、鉄の5分の1の軽さで5倍の強度を持つ。多方面の用途が見込まれ、各社とも技術開発を急いでいる。