コード決済で口座数拡大。キャッシュレスが普及
2000年に銀行業への参入規制が緩和され、都銀や証券、流通などの大手を母体とするインターネット銀行が次々に誕生した。ネットバンクは店舗を持たない、通帳も発行しないといったサービス削減によりコストが低く、その分、手数料を割安にしたり、預金金利を引き上げたりして顧客をつかんできた。振り込みや残高照会などが24時間、ウェブ上で行えることも魅力だ。
ネットバンクの口座数はここにきて再び拡大している。その大きな要因が、QRコード決済、バーコード決済という、スマホのキャッシュレス決済の普及だ。経済産業省が21年6月に公表したキャッシュレス決済実態調査によると、コード決済を導入している店舗の割合は55%で、クレジットカードと同率となるなど、飲食、小売り、観光業を中心に普及している。ネットバンク各社とも各種のコード決済サービスを取り入れており、口座獲得拡大に寄与している。
将来的に80%目指す。ローンの電子契約も増加
経産省は、消費者の利便性向上、店舗の効率化・売上拡大、データ利用などの観点からキャッシュレス比率を18年の24%程度から、25年までに4割、将来的には80%を目指して中小店舗の普及などに取り組んでおり、今後も着実に拡大していきそうだ。ただ、都銀や地銀、コンビニなどもキャッシュレスサービスに力を入れており、競争は激化している。
ネットバンクは契約のデジタル化も進める。住宅や不動産ローンなどの電子契約の導入だ。顧客が専用のシステムにログインして電子署名する形式で、オンラインで契約が完結する仕組み。紙の契約書がいらず、印鑑証明書などとの照合作業も不要だ。金融庁は、契約書には署名、押印が必要との指針を削除しており、電子契約は今後も拡大しそうだ。