スポーツ・玩具・ゲーム製品業界の「現在」と「未来」
国内市場は約1兆3,000億円。海外で世界的ブランドと競争
経済産業省の工業統計によると、2019年の運動用具製造業の製造品出荷額は、前年比2.5%減の2,755億円だった。この統計は国内工場の生産分だけで、日本企業の海外生産や輸入は含まれていない。各社とも海外生産を積極的に進めており、スポーツ用品市場は約1兆3,000億円という民間統計もある。今後も健康志向によるスポーツやランニングへの関心で関連用品の販売回復が期待される。
ただ、国内市場は少子化により大きな成長が見込めず、各社とも海外市場の開拓に乗り出している。それでも、海外の大手ブランドの競争力が高いこともあり、市場に合ったマーケティング力の向上などが求められている。
アウトドア用品は堅調。キャンプ人口は約610万人
コロナ禍による外出自粛が続いた中で、アウトドア市場は堅調だ。釣りや自転車、登山などの関連用品のほか、特に「3密」を避けられるキャンプ市場が目を引いた。
日本オートキャンプ協会によると、20年に1回以上キャンプをした人は約610万人と、前年比で約30%減少したものの、国内旅行が激減したことから考えれば堅調だったとしている。電源や通信環境、風呂、トイレなどを備えたキャンプ場も増えるなど利便性は向上しており、初心者も参加しやすく、テントやキャンプ用調理器具などの販売は好調という。
玩具の国内市場は1.5%増。パチンコ店舗は減少続く
日本玩具協会によると、2020年度の国内市場は前年比1.5%増の8,268億円とプラス成長だった。巣ごもり需要が後押しし、特にジグソーパズルが同58.7%増、ロボットやカメラなどのハイテク系トレンドトイが同24.9%増と高い伸びを示した。人気キャラクターとコラボした玩具も好調という。ただ、今後は少子化による市場停滞も見込まれ、カードなど大人でも楽しめる商品開発が必要といえよう。
一方、アミューズメント製品は厳しい状況が続く。20兆円市場といわれるパチンコ・パチスロの遊技人口が減少。全日本遊技事業協同組合連合会によると、組合加盟の店舗数は20年12月末で8,302店と、10年前に比べ3,000店以上減少している。大手は海外でリゾート施設開発などに乗り出している。日本でもIR(統合型リゾート)施設建設構想があり、その進展状況が注視される。