就職課・キャリア支援担当教員インタビュー

Vol.01

メインタイトル
戸板女子短期大学
キャリアセンター 課長
田熊 祥則さん

「もっとも活気ある短大」
として注目、
昨今の入試倍率は1.5倍

インタビューカット1

戸板女子短期大学は、服飾芸術科、食物栄養科、国際コミュニケーション学科という三つの学科から成り、1950年創立の長い歴史を誇ります。短期大学とは専門学校と4年制大学の中間に位置するものと捉えることができますが、その違いは「将来やりたいことに対するビジョンの有無」ではないでしょうか。「4大生ほど曖昧ではないが、専門学校生ほどはっきり定まってはいない」。そうした固まりきらない将来像を、学生が自ら納得して選べるよう、本校では入学後の半年間は学科内のどの履修モデルコースでも自由に受講できるシステムを取り入れています。

たとえば、服飾芸術科でアパレル業界にもブライダル業界にも興味のある学生は、半年間、どちらの授業にも出て業界知識を得ることで、自分のやりたいことを見つめ直し、よりマッチする履修モデルコースを選んでいくようになります。この選択についてはクラスアドバイザーの教員やキャリアセンターの職員もサポートしますが、最終的には「自分で選んだ」という覚悟が芽生えることによって、社会に出た後の離職率にも大きく影響してきます。自分が納得して選んだ将来、企業なら「もう少し頑張ろう」と思えるものです。

今日、日本の短期大学への進学は全体的に停滞感があるようですが、本校はおかげさまで入試倍率1.5倍と元気です。その理由の一つが上記のように、ビジョンを明確にした戦略的なキャリアデザインです。堅調な経営ゆえ、日本私立短期大学協会など外部で登壇する機会も増えました。今後も良い施策は他校とも共有し、短大全体が活性化してくれることを願っています。

ライフステージを考えると
社会における
女性の早期活躍はメリット

短大生の強みとは何でしょう。それはやはり、4大生より2年早く社会に出ることです。4大生が22歳で入社するとき、短大出身者には既に2年の社会人経験があるわけですね。それがアドバンテージにつながる理由は二つあります。一つ目は、人生100年時代と言われるようにヒトの寿命が延びる一方で、企業の寿命は短くなりつつあることです。激動する社会にあって、ビジネスモデルはどんどん変わっていくのです。それだけに、22歳で既に戦力になっている人材は、企業にとって魅力的です。

もう一つは、戸板「女子」短期大学として、短大生のアドバンテージを女性視点で考えてみましょう。女性が企業に属して働くなかでは、結婚・出産・育児というライフステージに影響を受ける場合が少なからずあります。その点、短大生は社会に出るのが早いために、結婚し、出産をするまでにある程度のキャリアを築くことができるのです。キャリアパスの土台がしっかりとしていれば、復職の壁はぐっと低くなります。一億総活躍の時代、とくに労働人口における女性の重要性が増しており、各企業はいかに産育休明けのキャリアある女性に戻ってもらうか、あれこれ工夫しています。そのとき、勤続年数が長く習熟度の高い社員(=短大出身者)であれば、受け入れポストも用意しやすいのです。

産学連携で学外での経験も
豊富に提供

ポートレート1

本校は2年しかない短大生活での時間を学生とその保護者の方々に満足して過ごしてもらえるよう考えています。そのために力を入れているのが、座学と学外の活動です。学外の活動とは主に、社会との接点を増やす産学連携です。観光協会やイベント企画、チェーンの飲食店など、これまでにコラボレートした企業は100を超えます。

企業にとっては、集客を増やすために18〜20歳の女性のアイデアを聴取できる、貴重な機会となっています。たとえば食物栄養科なら、「港区オフィス街にウーバーイーツであっと驚くケーキを届ける!」をテーマに学生たちが商品を考案。企業の前でプレゼンを行い選ばれた上位3チームのケーキを、大学の真向かいにあるホテルで1か月間限定コラボ商品として実際に販売して売り上げを競うという、実学プログラムを実施しました。さらには大学から徒歩5分圏内に実際にケーキ屋をオープンさせ、現在販売しているという前代未聞の取組みも行っています。ワクワクしませんか?単に研究や発表をして終えるのではなく、実際に港区のオフィス需要をリサーチ分析し、ターゲット層に合った商品を企画・提案した後、実際の製作した商品がお客様に届くまでの行程に関わるという経験は必ずや社会に出たときに自立して活躍する力となります。食物栄養科は栄養士を育てる学科ですが、栄養士になったその先に何がしたいのか、将来の職業観まで含めて醸成し、「自立した女性として社会で活躍できる人材を輩出する」ことこそが私たち戸板女子短期大学の役目であると考えています。

このように明らかなビジョンを持って就活に臨めるよう計画を進めていることもあり、短大卒の就職率が98.1%〈「令和4年度大学等卒業者の就職状況調査」(文部科学省・厚生労働省)〉であるのに対して、本校では99.0%を保っています。

学生の進路・就職希望を面談で聴き企業とのマッチングに時間をかけることも、この数字を支える要因です。1学年500名の学生たちは2年間で最低5回の個別面談を行います。キャリアセンターでは一人ひとりについて個別面談カルテを作り、時間と共に変化するキャリアへの考え方を事細かく記録し、そのデータをもとに学生のニーズに合う企業とマッチングするのです。そのためキャリアセンターに来たことがないという学生はいません。私たちも全学生の顔を覚えています。これだけ手厚く目が届くのは、規模が小さい短大ならではの良さではないでしょうか。4年制のマンモス大学では難しいと思います。

自分をプレゼンする能力を
磨く機会を設ける

インタビューカット1

産学連携で若い発想力を鍛える一方、今日の就活には自己をPRするプレゼンテーション能力が欠かせません。そこで本学では2018年から年1回、今年で5回目を迎える「自己PRプレゼンテーション チャレンジプログラム」を開催しています。企業100社の採用担当者を招き、学生が実際に企業人事の前でプレゼンテーションを行うイベントです。昨年度はコロナの影響もあり開催自体が危ぶまれましたが、厳戒な感染症対策の環境下にて、開催をすることができました。彼女たちは「戸板の学生」そのものを体現する代表者なのです。学校のブランディングを学生たちが担う、これも戸板らしさです。

たとえば高校生や保護者が来校するオープンキャンパスでは、入試・広報部より選抜された学生による「チームといたん」が企画・運営するのが伝統です。こうした校風こそが戸板が元気である最大の理由かも知れません。実際に通っている学生自身が主体となって戸板の魅力を伝え、ファンを作るのです。広報活動を通してキラキラと輝く先輩たちを見て、高校生は「私もこうなりたい」と思い、親御さんは「娘にはこんな学生生活を送って欲しい」と感じてくれる。そして、主催者側の学生は充実感を得る──。そんな「いい連鎖」が、1.5倍の入試倍率につながっているのではないでしょうか。

いろいろな体験が
卒業後の働き方に生きてくる

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学生時代には、多種多様な経験をして欲しいと思っています。それが必ず卒業後の働き方に生かされます。就職活動における内定獲得はゴールではなく、通過地点。重要なのはその先です。これまでは小学校・中学校・高校・大学という居場所と、そこに通う学生という立場が確保されてきました。しかし卒業すれば自分で居場所を見つけ、自分が社会の中で何をする者かを決める努力をしなくてはなりません。まさに就職活動も、自分の将来に向けて、今まで以上に能動的に動かなければいけない場面ですし、自ら考えて行動する力は企業がもっとも求めるものです。ぜひ学生の皆さんには、サークルや委員会、ボランティア活動、インターンシップ、海外留学など、新しい経験ができる場を活用して、数多くの経験を積んでもらいたいと思います。

学生自身も保護者の皆さんも納得できるよう、教員、職員が共になって今後も就職の「質」を上げていきたいと考えております。産学連携の選択肢も、これまで以上に増やしていきたいですね。

キャリアセンターは、いつでも相談できる場ですから「やりたいことや行きたい会社が決まっていないと訪ねにくい」などということは決してありません。一人ひとりの学生に寄り添い、一緒にキャリアを見つけるお手伝いをします。いつでもみなさんの味方ですからね。在学中だけでなく卒業後社会に出ても、悩みがあればいつでも相談をしに帰って来られるみんなの居場所、そんなキャリアのアンカー(錨)を目指したいですね。

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