ソフトウエア・情報処理・ネット関連(情報処理)業界の「現在」と「未来」
ITシステム構築を主導するSIer。売上高は約19兆4,000億円
顧客が求めるITシステムのコンサルティングから設計、開発、運用、ハードウエアの選定までを一括して請け負うのがシステムインテグレーター(SIer)だ。システムに関わる専門技術を備えた人材や、ソフトウエア、ハードウエアなどの関連する企業全体を統括しながら開発を主導する。SIer業界は、IT機器のメーカー系、銀行や通信、商社などの大手企業の情報部門を分立させたユーザー系、独立系、中堅・ベンチャー系に大別される。総務省・経済産業省の情報通信業基本調査によると、2019年度の情報処理・提供サービス業の売上高は、前年度比6.0 % 増の19兆4,099億円、企業数は1,923社にのぼる。
情報サービス産業協会によると、同協会加盟301社のSIサービスの売上高の割合は19年度で43.5%と、4割以上だ。
DX推進で役割増大。デジタル庁発足で重要性増す
産業界はいま、デジタル技術によって生産性向上、業務効率化、ビジネスモデルを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)がキーワードだ。経産省はDX導入ガイドラインを策定して後押ししいる。クラウドやSaaS(Software as a Service)、ビッグデータなどで業務が複雑化しており、これらを合理化するSIerの役割も増している。デジタル庁の発足により国と地方自治体のシステム統一、行政手続きのオンライン化が進んでいくため、SIerの重要性はますます増大している。
技術者不足が課題。処遇改善、労働市場活性化が必要
一方、IT技術者の不足という課題もある。情報処理推進機構のIT人材白書によると、IT企業、ユーザー企業とも過半が不足していると回答。経産省も2030年には最大79万人のIT技術者が不足する恐れがあるとしており、処遇改善やITスキルを見える化して労働市場を活性化するなどの解決策を示している。