「現在」が分かる!「未来」が見える! 業界地図

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化学・石油の業界地図

化学、石油産業とも需要構造の変化に対応すると同時に、脱炭素社会の実現に向けて大きな役割が期待されている。

※掲載企業は売上や総資産額などに加え、業界のトピックを踏まえてマイナビ編集部が選定した一部の企業となります。また掲載内容に関する基準はこちらよりご確認ください。

化学

レゾナック・ホールディングス

日本酸素ホールディングス

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化学・石油業界の「現在」と「未来」

2021年度売上高18.6兆円。ガソリン需要は減少が続く

石油産業は、海外で自ら石油開発を行う上流部門から、原油を輸入して国内で精製してガソリンや灯油などの石油製品を製造、販売する中下流部門、いわゆる石油元売りで構成される。石油連盟によると、石油産業の2021年度売上高は前年度比32.1%増の18兆6,039億円と大幅に増えた。コロナ禍により民生・産業用とも大きく減少した前年度から回復した。同年度の石油需要は同1.0%増の1億5,349億キロリットルだが、それでもピーク時から38%減の水準。主力のガソリン需要も減少傾向だ。経済産業省の石油製品需要見通しによると、国内需要は年平均2.3%の割合で減少し、27年度には3,984万キロリットルと、21年度実績比で10.5%減ると予測している。ハイブリッド車や電気自動車などエコカーの普及も要因だ。

2030年度の石油シェア31%。合成燃料などの開発に注力

それでも国の政策の根幹となる第6次エネルギー基本計画では、30年度の1次エネルギー供給に占める石油のシェアを31%程度とし、引き続き重要な位置付けとしている。

ただ、政府の脱炭素政策により、化石燃料である石油やガス需要の大幅な拡大は見込めない。そこで各社とも、海外展開を強化するほか、洋上風力発電などの再生可能エネルギー分野に注力する。新燃料として期待されているアンモニア、水素と二酸化炭素を原料とした合成燃料などの技術開発も進める。特に合成燃料はガソリンや軽油などと同じ性質のものを開発目標としており、既存のエンジンやガソリンスタンドなどのインフラを利用できることから、期待が高まっている。

化学工業の売上額高は約46.2兆円。石油化学で再編の可能性

財務省の法人企業統計によると、22年度の化学工業の売上金額は、前年度比5.1%増の46兆2,684億円。総合メーカーは、石油製品のナフサからエチレンなどの基礎化学品を製造。約半分が石油化学原料となり、残りは化粧品・薬品原料、塗料、化学肥料などに向けられる。ただ、石油化学事業は国際競争も激しく低収益のため、各社とも半導体素材や蓄電池材料、液晶用フィルムなどの高付加価値の機能性化学品にシフトしている。

石油化学事業では、業界再編も予想される。業界最大手の三菱ケミカルグループは2023年度中に石油化学事業を子会社化。本体は半導体材料やヘルスケアなどの成長分野に特化する戦略だ。これに伴い、他社との連携や合弁会社設立などの再編が起きそうだ。

CO₂排出量は鉄に次ぎ2番目。有機資源の利用拡大へ

一方、化学産業の二酸化炭素(CO₂)排出量は、鉄鋼に次ぎ2番目で、脱炭素化が急務。日本化学工業協会は、2050年に向けた脱炭素の投資額は7.4兆~9.7兆円にのぼると予測する。具体的には、基礎化学品を製造する原料の半分程度を廃プラスチックにするほか、アンモニアやバイオマスエネルギーを活用していく計画が進んでいる。製品面でも、生分解性プラスチックや植物などの有機資源の利用拡大が求められている。

データで見る業界のポイント

化学工業の売上高推移

化学工業の売上高推移
「法人企業統計」(財務省)2023年

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  • 掲載企業は売上高や総資産額などに加え、業界のトピックを踏まえてマイナビ編集部が選定した一部の企業となります。業界の分類は、マイナビ2026の業種分類に沿っています。各社の直近の決算に基づき、該当する分野の主に売上高の大きい順に企業を掲載しています(矢印などで示す関係企業や売上非公開の企業については順不同)。
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  • 出資関係は、上場会社については提出が義務付けられている直近の「有価証券報告書」に沿っています。非上場企業はこれまでに業界団体や企業から公表されている文書などの数字を基にしています。「有価証券報告書」とは、企業の事業内容や、従業員、設備、財務諸表、子会社や関連会社、株主など多くの情報が掲載されており、金融庁のサイト「EDINET」で企業ごとに検索できます。
  • 原稿作成期間は2023年7月1日から10月31日です。

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