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教えて! 「仕事」と「スポーツ」の関係 教えて!
「仕事」と「スポーツ」の
関係

目標を明確にすれば努力する意欲は
自然と高まってくる

小学3年生からレスリングを始め、全国中学生選手権で優勝。高校は親元を離れて強豪校の至学館高校へ。さらに至学館大学へと進み、その後念願のリオ五輪で金メダルを獲得。2020年に結婚、翌年に出産し、2022年に現役引退を発表。その後は一般社団法人スマイルコンパスを設立してスポーツの楽しさを子どもに伝える活動をしている登坂さん。順風満帆に見えるキャリアですが、その背景にはそれぞれのフェーズで進路を吟味し、慎重に選択してきた姿がありました。人生のさまざまな分岐点で、どんなことに悩み、どう選択してきたのかを教えてもらいました。


導入マンガ
登坂さん 写真

登坂 絵莉さん

Eri Tosaka

レスリング/元レスリング選手

意気込みと勢いだけで名門校に進学

私にとって初めての大きな人生の選択は高校進学のときです。全国中学生選手権で優勝し、その後の進路を考えたとき、レスリングを続けるなら県外の強豪校へ、地元に残るなら勉強を頑張るという二つの選択肢がありました。

そこで子どものころから活動を支えてくれたレスリング経験者の父に相談し、強豪校への進学を決めたのです。進学先の候補は複数ありましたが、それぞれのメリット、デメリットを洗い出して、その環境でどうしたら強くなれるかを考えた結果、至学館高校を選びました。

登坂さん 写真

当時は全国大会の優勝で得た自信が「もっと強くなって五輪に行きたい」という意気込みと勢いになり、その思いだけで、迷いも不安も感じずに親元を離れたのを今でも覚えています。

練習についていけず目標を見失う

自信や期待を胸に進学したものの、まったく練習についていけないという現実がそこで待ち受けていました。

至学館は高校生だけでなく、大学生や卒業生も一緒に練習するというスタイル。全国大会で優勝したとはいえ、中学校を卒業したばかりの自分と、すでに五輪でメダルを獲得していた吉田沙保里さんとは、まさに大人と子どもほどの差があることを身に染みて感じる日々でした。

どう頑張ってもついていけない練習、コーチにもあまり声をかけてもらえず、ひたすら有力選手の練習相手を務めるだけという環境の中、日々の練習をこなすのが精いっぱいで目標を失ってしまい、「レスリングは高校の3年間頑張ったらやめよう」と思うようになっていました。

登坂さん 写真

試合の結果より日々の成長に目を向ける

しかし、このまま自分が半ばあきらめた状態を続けていては、私の成長を信じてくれている親、地元から応援をし続けてくれる小中学校時代のコーチを裏切ることになるのではないか。そんな危機感を覚え「なんとかしなくては…」と考える気持ちも生まれていました。

そこで、五輪でメダルを取るという結果を求めるのは無理でも、例えば「10-0で完敗している先輩との対戦でも1点だけは取る」「3分かかったランニングを2分58秒で走れるようになる」といったように、少しでも成長した姿を親やコーチに見せられるようになろうと、レスリングに対するモチベーションの基点を変えることにしたのです。そうして日々の成長に目を向けるようにすることで、少しずつ実力を蓄えることができ、それが試合の結果へとつながり始めました。

スポーツでも就職活動でも仕事でも、うまくいかないときこそ、発想の転換をするべきタイミングであり、それによって別の見方や目標を見いだせるのだと思います。


就活でうまくいかないときの発想の転換のコツ

自分に対する固定観念を捨てる

今までの経験や知識の中だけで物事を判断して行動しようとすると「この職種は自分に向かない」「この企業は聞いたことがないからエントリーしない」など可能性が狭まってしまう。まずは、こうした固定観念や思い込みをなくしてみよう。

目標を広げる・変えてみる

志望する業界や企業など目標を限定し過ぎてしまうと、それが達成されなかったときに行き詰まってしまう。その業界や企業を選んだ理由を軸に目標となる対象を少し広げる、もしくは複数持つことで視野が広がり、選択肢も増えていく。

今できることに注力する

企業の理解を深めたり自分の強みを磨いたりなど、就活の場で生きる取り組み方は多種多様。今、自分がすべきことやできることは何かを考えてみることで効率的に就活を進めることができる。

父の言葉に背中を押される

高校卒業が近づき、次の進路を考える時期が迫ったとき、担任の先生には「地元に戻って警察官になります」と伝えました。先生が私の意思を両親に伝えると、父から「進路は好きなようにすればいい。とにかくケガには注意して誰よりも努力して一番になってほしい」というメッセージが届きました。

今思えば矛盾だらけのメッセージですが、これを読んだときに、子どもの頃、遠征に常に帯同し車の運転をしてくれた父の姿や、長距離の移動で親子で車中泊をした思い出がよみがえり、「大学でもレスリングを頑張ってみよう」という気持ちへと変わっていきました。


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