教えて!
「仕事」と「スポーツ」の
関係

経験に左右されずやりたいことを優先しよう!
サッカーの盛んな静岡県で生まれ育ち、Jリーグで活躍、そして日本代表という夢をかなえた鈴木啓太さん。浦和レッズ一筋となる16年間のプロ生活を経て、引退後は腸内細菌を研究するベンチャー企業を起業。あまりにスムーズでスマートな経歴ですが、アスリートからビジネスマンへとどのようにキャリアチェンジされたのでしょうか。就職活動を控える体育会系の学生に役立つ、キャリア形成の考え方について聞きました。


鈴木 啓太さん
Keita Suzuki
サッカー/元プロサッカー選手
目指すものに「なりたい」ではなく「なる!」と考えた
物心がついたときには、僕はサッカーに夢中でした。そのころディエゴ・マラドーナという選手の活躍がとても大きな話題になっていて、僕もサッカー選手という職業があることを知りました。まだ子どもだったので「大好きなサッカーが仕事で、大きな家に住めて、格好いいクルマに乗れて、なんて素晴らしいのだろう」と思い、僕はサッカー選手になるという目標を決めたのです。

動機は単純なものでしたが、その目標は僕の中で確かなものとなりました。目標を持つというのは単に「そうなりたい」と思うことではありません。自分がどうしたいかを選択して「そうなる」と決めるのが、僕の基本的な考え方です。サッカーに限らず今の仕事をするうえでも同じです。自分の将来の姿を想像し、何をしたいのか、今、何をするべきなのかを選択し、決めることが、目標設定だと思っています。
目標は「やりたいかどうか」で決める
目標を決めるとき、過去の経験と照らし合わせたり、自分にできるかどうかを基準に考えたりする人は多いと思います。そしてチャレンジして目標が達成しなかったと感じた場合、自分の選択は間違っていたのではないかと後悔するのです。でも後悔したところで過去には戻れません。そうならないために、僕は「できるか、できないか」ではなく、「やりたいか、やりたくないか」で目標を決め、今の自分を肯定するようにしています。

ロードマップを作って自分の原点をひもとく
目標が決まったら、次にそれを達成するにはどうしたらいいのかという話になります。僕の場合は、ロードマップ作りが最初のステップです。ロードマップとは目標を達成するまでに行うべきことを時系列にまとめた計画案です。これは高校生のころチーム練習の一環としてロードマップ作りをしたのがきっかけとなっています。
当時の目標は、2010年開催予定のW杯で日本代表として活躍し優勝することでした。これをプロサッカー選手になってからの最大の目標としました。ただ、この最大の目標を決めるには、そもそも自分はなぜサッカー選手になりたいのかを考えなければなりませんでした。

サッカーが好きで、サッカー選手になって大きな家に住んで、格好いいクルマに乗りたい、という僕の子どものころの夢を先ほど振り返りましたが、では、なぜそう考えるようになったかをひもといてみたのです。すると、それはサッカーで活躍して家族や大切な人たちを喜ばせたいのだという思いが自分の中にあることに気づきました。
「自分がどうなりたいか」という答えは、自分の中にしかありません。だから自分ととことん対話をすることが大切なのです。これが目標設定の第一歩になります。
自己分析の第一歩は自分を掘り下げること
企業に自分の長所をアピールするには、まずは自分がどういう人間かをわかっておくことが重要。なぜ自分はその長所を得られたのか、それをどう生かすのか、自分自身の価値を把握しよう。
ロードマップのゴールはぶれないようにする
ロードマップを作るうえで最も大切なことは、最終地点となる目標(ゴール)を絶対に変えないことです。そこから、目標をクリアするためにいつまでに何をすればいいのかを、さかのぼって考えていきます。
高校生の僕が作ったロードマップの最終地点となる目標は、2010年のW杯で優勝すること。そのためには一つ前の大会となる2006年のW杯で日本代表になっている必要がありました。さらにその2年前のアテネ五輪に出ていなければいけませんし、2002年のW杯では代表メンバーでなくても、せめて候補合宿には参加していないといけません。このように目標からさかのぼっていき、ロードマップを作りました。
こうして段階的な過程を具体化すると、それぞれの時期が近づいてくるにしたがって、やるべきことの解像度が上がり、どんどん具体的に見えるようになります。このときに気をつけたいのは最初に決める目標は絶対に変えてはダメだということです。当初、設定したゴールを途中で変えてしまうと、その過程も変わってしまい、自分に何が必要かが見えにくくなってしまいます。
鈴木啓太さんのロードマップ
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1
最終地点となる目標(29歳)
2010年のW杯でチームを優勝に導く!
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2
中間目標2(25歳)
2006年W杯の日本代表になる&ヨーロッパのチームへ移籍
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3
中間目標1(23歳)
2004年アテネ五輪に日本代表として出場する
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4
最初の目標(21歳)
2002年日本代表の候補合宿に参加
最終地点となるゴール(目標)は絶対に変えない!
最終的な目標を決めたら、それを達成するためには何をすればいいのか、逆算して考えていく。そのため、ゴールとなる目標は自分の中でぶれないものに設定しよう。
ゴール(目標)の達成までに、いつ何をすればいいのか明確にする
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目標(35歳)コンサルタントとして独立をする!
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中間目標2(30歳)マネージャー昇格
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中間目標1(25歳)国家資格を取得する
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最初の目標(22歳)コンサルタント会社〇〇社に就職する
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現在の課題(21歳)課題解決のための分析、提案の方法など、実務を想定したケーススタディーが不足している。OB・OGや経営者の方々と会う機会を増やし見聞を広げたい。
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