【体育会系学生の皆さんが企業情報を正しく受信するための大切なお知らせ】

教えて! 「仕事」と「スポーツ」の関係 教えて!
「仕事」と「スポーツ」の
関係

仕事=好きなものでなくても、続ければ未来が見えてくる

5歳から兄弟の影響で柔道を始め、2010年世界選手権57㎏級で日本人金メダル第一号に輝き、その後12年のロンドン五輪でも金メダル、16年リオデジャネイロ五輪では銅メダルを獲得した松本薫さん。結婚と出産を経て、19年に現役を引退。日本の柔道界を代表する存在から、大胆なキャリアチェンジを果たし、現在はアイスクリームの製造販売会社を率られています。一風変わったセカンドキャリアを歩む松本さんに、いかにして自身のライフプランや、キャリアパスを描いていったのかを聞きました。

導入マンガ
松本さん 写真

松本 薫さん

Kaori Matsumoto

柔道/元柔道選手

引退後の生活についてはノープランだった

現役時代、ほかの競技の選手も含めて「引退したら何をしようか?」という話を、よくしていました。私は今まで本当に柔道しかしてこなかったのでほかにできることは思いつかないし、社会に出てやっていけるのかなという不安もありました。ですから、何をするのかという答えが見つからないのが現実でしたね。

実際に引退を決意しても、答えが出ないのは変わりませんでした。そんな状態のまま、所属会社に引退の報告をしに行くと、案の定、社長から「これから先、何をやりたいのか」と聞かれました。

答えに戸惑っていると、社長から「自社で新たにアイスクリーム事業を展開するが、興味はないか」という思いがけない提案がありました。直観的に面白そうだと感じた私は、即決で「やります!」と答えました。

これが私のセカンドキャリアの始まりです。ちなみに、後進の育成など柔道に直接的に関わるという選択肢は考えていませんでした。それまで打ち込み過ぎてきて、柔道についてはもうお腹いっぱいでしたから(笑)。

松本さん 写真

実は「私」と「柔道」は「アイスクリーム」とつながっていた

所属会社の社長の提案にとっさに反応したものの、柔道中心の生活をしてきた「自分」と「アイスクリーム」の接点は、あまり無いように思ったけれど、時間が経つにつれ、実は「つながっていた」という思いが、私の中では膨らんできていました。

小学校の通学路に面したところに友達の家がやっているケーキ屋があって、それに憧れて将来はアイスクリーム屋になると言っていた記憶。ナショナルトレーニングセンターでの日本代表合宿で1本ずつの制限で支給されるアイスクリームを内緒で2本くすねて食べている人がいるのに気付いたこと(笑)、そして引退したらその制限がないまま満足いくまでアイスクリームを食べたいと思っていた記憶。そんなことが次々と思い出されたのです。

柔道のように体重制限のある競技は、減量の際にどうしても体の水分が抜けてしまいます。そのせいで体が火照り、冷たいものが欲しくなるという生理的欲求が起きるのです。

その一方で、砂糖を大量に使っているアイスクリームは、体の老化(糖化、酸化)などの原因になり、ケガのリスクも高めてしまう可能性があるため、不用意に食べることを控えなければなりません。

こうした矛盾をなんとかしたいと思い、アスリートでも罪悪感なく食べられるアイスクリームを作りたいという考えに至りました。


ワンポイントアドバイス

ヒントは日常の中に

どんな仕事をしたいかという気付きや、自分と仕事を結ぶ接点は、自分の周りにいる誰かの「こういう商品・サービスがあったらいいな」という思いを満たすことにある場合が多いもの。そのため、日常の中で何気なく交わした会話も仕事探しのヒントになる可能性もある。
仕事探しで悩んだら、日常の中で「何を考え、どう感じてきたのか」を深掘りしてみよう。

アイスクリームへの探求心を加速させた現役時代の思い出

いよいよ働き始める状況になったとき、ふと海外遠征での経験を思い出しました。

遠征先では、宗教やアレルギーなどいろいろな理由で海外の選手と一緒に食卓を囲めないことがありました。ですからどんな人でも障壁や抵抗がなく食べられる安心安全なアイスクリームがあればいいなと思い、それをアイスクリーム屋のコンセプトにしようと思ったのです。

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また国内と海外の食べものを食べ比べる機会を多く得られたおかげで、それぞれの良さも実感していました。

例えば日本のチョコレートはなめらかで繊細な味が特長だけれど、欧米のチョコレートは、バターをたっぷり使ったリッチ感があるといった具合です。

アイスクリームにおいても、そうした味や食感、香りにどんな違いがあるのかを調べながら、新しい環境で働くための準備を始めました。

未来が見える会社選び

私は性格上、目の前のことにしか取り組めません。現役時代は柔道のことしか頭になく、日本一になり、国際的な大会に出て世界一になることだけしか見ていませんでした。

それを理解してくれたのが現在の所属会社の社長です。社長からは「選手生活を続けている間は目の前のことだけをやればいい、引退後のことは引退したときに一緒に考えよう」という言葉をかけてもらっていて、将来、柔道を辞めてからもこの会社にいる自分をイメージできました。

学生の皆さんも自分の将来についてあれこれと思案すると思います。その中で、目指す企業がどんな仕事をしているか、という観点で会社選びをするのも大切ですが、将来その会社で自分が働いている姿をイメージできるかどうかも会社選びの重要なポイントではないでしょうか。


企業選びのポイント


  • 興味や関心が向く傾向を理解する

    仕事に直結しなくても、どんなことに興味があるのか考えてみよう。子どもの頃は文具が好きだった、今は体作りに興味がある、お菓子作りの時間が楽しいなど、自分の関心が向く先の特徴や傾向を理解すれば、業界選びのヒントとなる。

  • 企業の理念やビジョンに共感できること

    業務内容だけでなく、企業がどのような考えでビジネスを行っているのか、どんな形で社会貢献しようと考えているのか、といった理念やビジョンに注目することも大切。その考え方に共感できることは、その会社で働きたいという理由につながる。

  • 働きやすさ

    新卒で就職した社員の3年後の定着率が高い、海外勤務や海外相手の仕事がある、残業時間が少ない、福利厚生が充実しているなど、自分にとって働きやすい環境が整っているかをチェック。働きやすさ=職場の満足度が高ければ、仕事のやりがいを見い出しやすく、その会社へ貢献したいという気持ちが生まれる。


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