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教えて! 「仕事」と「スポーツ」の関係 教えて!
「仕事」と「スポーツ」の
関係

新しい環境や挑戦は自分の価値を高める起爆剤となる

バレーボール一家で育ち、中学3年生にして日本代表候補に選ばれた狩野舞子さん。将来を期待され実業団に入るものの、ケガとの戦いで夢にまで見た五輪出場を一度逃してしまいます。その後、海外のクラブチームでの経験を経て、五輪で銅メダルを獲得し、日本の実業団に復帰。それはポジション変更のオファーを受けてのものでした。そして一度は現役を退きつつも、再びコートに復帰するといった選手生活。目まぐるしく変わる環境の中で、どのようにモチベーションを保って挑戦し続けたのかを聞きました。

導入マンガ
狩野さん 写真

狩野 舞子さん

Maiko Kano

バレーボール/元プロバレーボール選手

子ども時代の夢はすでに五輪選手

私の両親は、ともにバレーボール(以下バレー)選手で、年が11歳離れた姉も中学からバレーを始め、高校はバレーの名門、八王子実践高等学校に進学するというバレー一家で育ちました。

スポーツ好きの父の影響で、バレーに限らず、テニスやスケート、水泳などさまざまなスポーツを体験する中で、自然にスポーツを続けたいと思う気持ちが育まれました。

テニスに本気で打ち込む時期もあったのですが、母に連れられてママさんバレーを見に行ったり、ボールを触ったり、姉の練習や試合を見に行ったりするうちに、一番身近なバレーに最も興味を持ち、小学4年生のときに、地元のスポーツクラブでバレーを始めたのです。

そして小学校の課題で、将来の夢は五輪出場と書くほどバレーには夢中になっていたのですが、実際にはそのとき知っていた一番大きな大会が五輪だっただけで、現実味は全くありませんでした。

歯が立たなかった日本代表の練習

幼稚園に通っていた頃から背が高く、周りの子より頭1つ飛び抜けていて、小学校6年生のときにはすでに身長が170cmを超えていました。

中学から八王子実践中学校に進み、3年生のときには日本代表候補に選ばれました。しかし、実際に練習に行ってみると、私は代表選手のレベルに達しておらず、単なる練習生のような感じで全く歯が立ちませんでした。

狩野さん 写真

想像はしていたものの、中学での練習とはレベルが違いすぎて、「日本代表とはこういうものなんだ。今の段階でメンバーに選ばれるのはあまりにも難しすぎる」と率直に思いましたし、あまりにも場違いで居心地の悪い時間でした。

その一方で「今はメンバーになれなくても、いつかは中心メンバーとしてプレーできるのではないだろうか」と漠然と考えるようになり、小学生時代に書いた五輪に出るという夢が少しだけ現実味を帯びてきました。

周りの期待と自分の実力がちぐはぐしていた高校時代

中学生で代表候補に選ばれたことに加え、高校生になって春高バレー(春の高校バレー全日本バレーボール高等学校選手権大会)などに出場するようになると、周囲の方々に関心を持って頂けることが増えました。

新聞やテレビに名前が出るたびに「自分はそれに見合った実力がないのに大丈夫かな…」と、周りの期待と自分のプレーの未熟さに悩む日々が続きました。それに加え、腰痛にも悩まされ、活躍したいのに活躍できない歯がゆさや後ろめたさもあって…。胸を張って頑張っていると言えない自分がいました。

実業団1年目のアキレス腱断裂で夢への思いを強くする

体育会系学生の皆さんは大学を卒業して就職されますが、私は皆さんよりも少し早く、高校卒業と同時に久光製薬スプリングスへの入団を決め、社会人選手となりました。

当時、久光製薬スプリングスには姉も選手として在籍していたので、自分を理解している家族がいる安心感や、努力家で尊敬する姉と一緒に試合に出たいという気持ちから、チームを選びました。

ここからバレー漬けの生活が始まりましたね。朝から晩まで体育館にいて、午前と午後の練習をこなしてご飯を食べ、そしてチームのバスで寮に帰る…。体育館と寮を往復する毎日でしたが、会社の業務は全くしなくていい雇用形態でしたので、競技にだけ集中できるというのはとてもありがたい環境でした。

狩野さん 写真 そして念願かなって開幕から姉と一緒にスタメンに選ばれ、来たる北京五輪の出場を懸けて、もう1つギアを上げようとする矢先、試合中に右足のアキレス腱を断裂してしまったのです。

子どものころからの夢をつかむチャンスはあったのに、つかみきれなかったことへの悔しさが残りました。このとき、五輪出場を成し遂げて、あの舞台で活躍することが、間違いなく自分の夢なのだと、はっきりと実感した瞬間でもありました。


企業が"将来の夢・成し遂げたいこと"を聞く意図

  • 1

    志望動機とズレたりしていないか

    志望動機で答えた内容と、夢や成し遂げたいことに一貫性があるかどうかを見極めるための質問。また一次、二次と段階的に選考が行われる場合には、前の選考で話していたことの一貫性を確かめるためでもある。

  • 2

    企業の価値観や理念を理解しているか

    企業の持つ理念に共感できているかを見極める質問。どんなに素晴らしい夢でも、企業の価値観や理念とミスマッチだと意味がない。

  • 3

    入社後のキャリアビジョンは描けているか

    5年後、10年後も会社に貢献してくれる人材かどうかを見極めるための質問。またキャリアビジョンを描けていることで、成長意欲のアピールにもなる。


ワンポイントアドバイス

将来のビジョンが、志望企業の理念と一致するかを確認する

企業が将来の夢や成し遂げたいことをたずねるのは、学生が個人的にしたいことを確かめるのではなく、企業と同じ方向を向いて将来を目指しているかを確認するため。企業の理念や価値観をより理解し、自分が向かいたい方向と、どう一致するのか確認しておこう。

夢へともう一歩近づけると確信した海外移籍

アキレス腱を断裂してから競技に復帰はしたものの、今度は左足のアキレス腱を断裂してしまいました。このときは、すぐには、気持ちを前向きにできませんでした。

これは、何かのきっかけとして環境を変えた方がいいのかもしれないと思っていたところ、イタリアのセリエA(プロバレーボールのトップリーグ)の「パヴィーア」というクラブが声を掛けてくれたのです。

しかもケガの療養中でもいいからチームに加入してほしいと言ってくださって…。とてもありがたいお話でうれしかったです。そのとき最初に考えたのが「自分はこれから先のバレー人生をどうしていきたいか」ということでした。自分の夢はあくまでも「五輪で活躍すること」であると改めて自分の思いを確認し、そこに近づくためには何が必要かを考えたのです。

狩野さん 写真

そこで日本でプレーをすることよりも、海外のプレーを知ることの方が大切なのではと気づきました。海外の選手のスパイクを今の自分が受けられるか、自分の攻撃がどこまで通用するのか、自分の現在地を知りたくて武者修行に出るような気持ちで移籍することを決めました。

挫折して落ち込んだときこそ、自分がどうなりたいのか、原点に返って自分の気持ちを整理し、今、何をすべきなのかを考え知ることが大切だと思います。


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体育会系学生に役立つ自己分析のポイント

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