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教えて! 「仕事」と「スポーツ」の関係 教えて!
「仕事」と「スポーツ」の
関係

スポーツ経験以外の強みとなる特異性を見つけよう!

小学生で野球を始め、東京六大学野球でプレーすることを目標に、慶応義塾大学に入学した田中大貴さん。プロ野球選手になることを夢見ながら競技に打ち込む一方で、並行して就職活動を行い、テレビ局から内定をもらいます。プロ野球への夢は持ち続け、4年生の秋季リーグに挑んだものの、思うようにパフォーマンスが上がらず、同世代の実力にかなわない、プロで活躍するイメージがつかめないと実感。そこからどのような考えで、夢を断ち切れたのか、また難関といわれるテレビ局への内定をいかにして勝ち取ったのかを聞きました。

導入マンガ
田中さん 写真

田中 大貴さん

Daiki Tanaka

野球/フリーアナウンサー

プロになるか、競技を退くかの選択

大学卒業後はプロ野球でプレーすることを目標に、部活動に打ち込んでいました。ただ、僕の学年は、西武ライオンズやMLBのボストン・レッドソックスで活躍した松坂大輔さんをはじめ力のある選手が多い、いわゆる「松坂世代」と呼ばれる年代でした。他校にも優秀なピッチャーがおり、最後の年の秋季リーグではなかなか思うように打てず、苦い経験をしました。

また、プロで活躍する先輩からも「プロになってタイトルを取り続ける自分をイメージできるくらいでないと、プロでは続かないぞ」という言葉を掛けられたのが、自分の将来を改めて考え直すきっかけになりました。

大学の監督からは社会人野球という選択肢もあると言われていたのですが、自分の中にはプロになるか、なれなければ一般企業に就職するという選択肢しか考えておらず、4年生の春季リーグが始まるときには、内定をいただいていたテレビ局に入社することを決心しました。

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まさか内定すると思わなかった記念受験

僕が大学生だった頃の就職活動は、大学3年生の冬がスタートでした。この時期はちょうど秋季リーグを終えて野球部もオフに入るタイミングで、選考の早いテレビ局から就職活動も始まりました。そこで野球部のメンバーと記念受験のつもりで受けたのがフジテレビ。それがなんと7次試験まで進み、3年生の1月の段階で内定をいただけたのです。

採用選考に来ていた僕以外の学生はほとんどアナウンススクールなどに通っていて、顔見知りのようでしたが、僕は彼らが勉強をしている間も野球漬けの日々で、アナウンスに対する知識も全くなく、就活が初めて「社会」というものに触れた瞬間でした。

自分の特異性をとことん突き詰めた

記念受験とはいえ、さすがに何の対策もなく応募した訳ではありません。自分ができる範囲での準備は周到にしたつもりです。

まず考えたのは、テレビ局がどういう人が欲しいのか、フジテレビはどういう会社なのかということです。また、最初の関門の書類選考では、あえてボールペンで書かずにフェルトペンで書いたり、箇条書きにしたり、黒一色ではなく、他の色のペンを使ったり、野球部でありながらサッカーをしている写真を送ったり…。選考する方の目に留まり、「何で?」と思われるように、エントリーシートの書き方を考えていました。

田中さん 写真 他の学生はアナウンス力を磨き、他局との違いやどんな番組が好きかといったことを時間をかけて研究して選考に臨んでいますが、僕は元々、アナウンサーを目指していたわけではないので、そうした点で劣っているのは明らかでした。

そこで一番力を入れたのが自己分析です。自分はどういう人間なのか、欠点は何か、アナウンサーとはどういう仕事で、その適正が自分のどこにあるのか…など、初めて自分と向き合いました。

そうしてたどり着いたのが、野球部でキャプテンをしていた経験です。監督と選手のつなぎ役として思いや考えを伝える仕事は、うまくいけば計り知れない喜びを得られるという経験を、キャプテンの役割を通して学んでいました。そこで「物事を伝えるアナウンサーという仕事の難しさや喜びを理解している」「自分にはテレビの制作側の思いと視聴者をつなぐ役割ができる」ということを、他の学生とは違う「特異性」としてプレゼンテーションしたのです。

実際に、入社後のフィードバックでも「今までにないタイプだから採用した」と言われました。ひたすら自分と向き合う作業は苦痛な面もありましたが、自分と向き合うことで可能性を広げられたと思います。

自分と向き合って特異性に気付くためのワーク例

部活での自分の役割を振り返る

  • 部活内でどのような役割だったか
    キャプテンとして監督とチームメートの間を取り持った。
  • どのようなプレーが得意だったか
    足が速かったので、相手のすきを突いた盗塁が得意だった。
  • どのようにしてレギュラーになったのか
    自分が苦手としていることを克服するのではなく、自分が得意なプレーだけは誰にも負けない! という気持ちで、人の見ていないところで得意なプレーを磨き上げる練習をひたすらした。
  • チーム内ではどのような立ち位置だったのか
    レギュラーではなかったが、試合で劣勢のときに盛り上げ、鼓舞する役割を懸命に続けた。
  • 寮での役割は
    掃除係のリーダーとしてほかの部員が気持ちよく寮生活を過ごせるように、効率よく、抜かりなく行う方法を考えた。

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面接では自分を大きく見せず、ありのままを表現

大学時代は学校と寮、グラウンドの行き来だけでアルバイトもしたことがなく、自分は他の学生と比べて社会性が低いという自覚がありました。テレビ局の選考だといっても、アナウンススクールに通ってもいませんし、発声なんてもちろんできません。さらに関西弁のままで…欠点だらけだったんです。

面接時にも「アナウンスメントは大丈夫か」と聞かれましたが、その時点では「大丈夫」とは言えない状態でした。その代わりに、野球の名門でもない関西の公立高校出身で、部員150人の野球部に所属し3年かけて努力をしてレギュラーを勝ち取った自負はありました。

その成功体験があるので、「今はできませんが、努力次第で適応し、できるようになります」と答えました。自分を大きく見せようとしたり、背伸びしたりせず、自分を肯定的に表現することを心掛けていました。

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自分の一番の武器を話の入り口にしない

面接の選考を進めていく過程で、学生時代に感動したエピソードを話す機会がありました。当然のことながら、六大学野球で優勝したことを話しましたが、面接官には全く響かず…。

最初は「何でだろう」と思いましたが、その理由を考えてみたら、全ての人が体育会系の人間でもなければ、野球を知っている、好きでいる訳でもないと気付いたのです。

できるだけ多くの人が共感するストーリーでないと、特にテレビ局からは内定をもらえないだろうと考えて、それからは話の内容が相手に理解できるか、自分が考えているのと同じように伝わるかどうかを意識するようにしました。

野球をしてきたことは、自分の一番の武器だけれど、それを入り口に話をしてしまうと、それ以上の広がりがありません。まずは他の学生と同じステージで話し、そこにプラス体育会系の話をできれば、自分の武器はもっと光ると思ったのです。


面接でよく聞かれるテーマ

  • 1

    感動したエピソード

    人となりや価値観を探るための質問なので、ドラマチックなエピソードである必要はない。まずはどんなことに感動したのかを簡潔に。その後、具体的なエピソードを語り、どのような点に心を動かされたのか、その経験で得たものはなんだったのかを話すことで面接官は内容を具体的にイメージできる。

  • 2

    失敗したエピソード

    この質問の狙いは失敗をどう克服したのか、またそれによって何を得られたかとなる。そのため失敗談なら何でもいいという訳ではない。お酒での失敗や遅刻などの印象を下げる失敗、ウケ狙いの内容、人を傷つけてしまったなどの取り返しのつかない失敗談は選ばないこと。失敗によってそれを取り返すために努力し、克服したことを伝えられるエピソードにするとよい。

  • 3

    周りから見た自分の評価

    人となりや性格が会社にマッチしているかを見ることや、自分を客観視できているかどうかがこの質問の狙い。そのため、面接を受けている企業や業務の内容に合った人物像をプレゼンテーションするとよい。営業職を希望しているとしたら、行動力があるという評価とそのエピソードを話すなどすると有効。


ワンポイントアドバイス

質問の意図を考えよう

面接ではエピソードや経験談を求められる質問も多くあるが、奇をてらった珍しい内容や、人とは全く違う内容を一生懸命探すのではなく、まずは質問の意図を考えよう。面接官はエピソードそのものよりも、エピソードを通したあなたの人となりや対処方法、ひいては企業との親和性などを見ている。

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