教えて!
「仕事」と「スポーツ」の
関係

体育会系ならではの力を生かそう
体育会系だけでは有利にならない時代に
最近は、体育会とサークルの境がなくなってきていて、単に体育会系に所属していたというだけではその優位性を就活の武器にすることは難しくなっているという話も耳にします。「体育会系」という言葉でくくろうとすると、その絶対数が増えているので、今はスポーツに打ち込んだことに加え、他に何か大きな強みが必要な時代と言えるのかもしれません。
フリーになった今だからこそ、余計に強く感じるのかもしれませんが、僕自身も学生時代にマーケティングや経済学など、ビジネスにつながる勉強をもっとしておけば良かったなと思っています。

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体育会系学生の就活Q&Aコミュニケーション能力こそ今の時代に必要
それでも、やはり体育会で競技に打ち込んできたことは紛れもなく誇れることです。
このIT化が進む時代だからこそ、企業が求める体育会系の学生の力があります。体育会系の学生はよく「自分はスポーツしかやってこなかった」と口にして、テクノロジーが進化していく未来に、自分の活躍の場があるだろうかと悩むようですが…、それは違います。
技術者たちが作ったテクノロジーやサービスだけでは企業は成長できません。込められた思いを伝えるコミュニケーションがあってこそテクノロジーが進歩し、活用の場を広げていくのです。こうした両輪があってこそ企業は成長すると思います。
そして、このコミュニケーションを得意とするのが体育会系学生の強みだと僕は考えています。競技に取り組む中で多くの人に見られ、自分のパフォーマンスを最大限に発揮するにはどうしたらいいのか日々試行錯誤し、そこで技術やノウハウを習得し、それを人にどう伝えるのかというサイクルを知らず知らずのうちに経験してきています。
この経験によってコミュニケーション力が培われている。これが体育会系の学生の強みだと思います。
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長所、短所などを観察する
他者の良いところも、そうでないところもしっかり把握。チームスポーツで、チームメートがどんなことが得意か苦手か、どういう人と相性が良くないかなど、試合に勝つために客観的に観察してきた経験を生かす。
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端的に説明する
試合中のコミュニケーションや試合後のミーティングなどでは、全員が同じ方向に進んでいくために、短い時間でメンバーに内容が伝わるような工夫をしてきているはず。就活における選考でも、端的にポイントが相手に伝わるように説明する力は強みとなる。
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ニーズを意識する
競技中の場面で、どんなプレーが求められているのか、自分の長所はどのようにチームの武器になるのか、また短所はどういう影響を与えるのかなど、状況ごとに必要な戦略や役割を思考してきた習慣はビジネスシーンでも同じ。ニーズに合わせて思考を転換できる力を役立てよう。
体育会系学生が培った力をコミュニケーションに生かすポイント
限られた時間でチームを生かす
体育会系学生は、自分自身を向上させるだけでなく、限られた時間で自分以外のチームメートを観察し、生かす力にも秀でています。
皆さんは、自分のチームにはどんな仲間がいて、大学4年間という限られた時間の中でチームが強くなるためには、自分や彼らをどう生かせばいいのかということを常に考えていると思います。こうした思考や時間の使い方は社会人になって組織で働くうえでも大いに役に立ちますし、会社への貢献にもつながるはずです。

田中大貴(たなか だいき)
1980年生まれ、兵庫県出身。幼少のころから大のオリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)のファンで小学生から野球を始める。兵庫県立小野高等学校時代には2年生から4番を打ち、主将を務める。慶応義塾大学環境情報学部に進学後、野球部では4年時の春季リーグ戦で3本塁打を放って本塁打王に輝く。2003年フジテレビ入社。主に情報、スポーツ番組を担当し、バンクーバー五輪、北京五輪、WBC、MLBワールドシリーズ、オールスターゲームなどを取材、リポート。2018年に退社し、スポーツアンカー、フリーアナウンサーとして活動しながら、スポーツを中心に組織作り、選手・チームのサポート、キャリアデザインなどを行う会社を起業。

今回の教訓
競技を続けながらも難関と言われるテレビ局から内定を勝ち取った田中さんの話を基に、自分自身をより深く知って分析する方法を考えてみよう
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1
強みは自分の経験の中にある
自分の強みは何かを漠然と考えるのではなく、スポーツを続ける中でどのようなことを経験してきたのか、自分はチームでどのような役割だったのかをひもといていく。そうすることで具体的な強みが見えてくる
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2
自分の特異性は何かを突き詰めよう
自己PRをする際に重要になるのが自分らしさ。これを知るための自己分析では自分の特異性を見つけたい。どんなことが得意で何が苦手なのか、ほかの学生と違うところはどこなのかをとことん考える
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3
武器はすぐには出さない
スポーツの経験は明確な武器でも、それを最初からアピールしないという戦略も。まずはほかの学生と同じ目線で自分を表現し、そのうえでスポーツに4年間打ち込んできた経験をアピールすれば、スポーツを続けてきたことを武器としてより際立たせることができる
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