教えて!
「仕事」と「スポーツ」の
関係

引退から起業。まったく別のフィールドでの不安をどう払拭したのか
自分を信じることができれば不安はなくなる
起業はしたものの、サッカーしかしてこなかった自分がいきなりビジネスマンになるなんて…と、最初は不安でした。学生時代をスポーツにささげてきたみなさんも、慣れ親しんだスポーツを離れて仕事について思いをめぐらせたとき、僕と同じように不安な気持ちになるのではないでしょうか。

そこで僕は、知人の会社経営者に「学校などに通ってビジネスについて勉強した方がいいですか」と相談をしてみたのです。すると「身近に経営のことがわかる人がいるなら、気にすることはない。座学では学べないことを今までサッカーで学んできているのだから、まずは自分のやり方でやってみればいい」と言われました。それ以来、不安にとらわれずに、自分を信じて走るしかないのだと考えるようになりました。信じて前へ進まないと、今の時間がもったいないですからね。
仕事を全てサッカーに置き変えて考える
当時の僕は、経営のことはわからない、でもサッカーは理解している社長でした。ですから、経営をサッカーに例えて考えて、頭の中を整理したのです。
サッカーの試合でなくても、うまくいかないときは誰でも自分を責めがちですよね。せっかくいいパスをもらったのにシュートを外してしまったときは、決め切れない自分を責め、焦る感情に拍車がかかって、どんどんうまくいかないループにはまるということがよく起きます。
サッカーはチームの状況を俯瞰して把握する力が必要なスポーツです。
「攻撃はできているけど守りが甘い」とか「パスが強すぎてボールをキープできていない」とか…。そうした課題が見えたら、次はその対応策を考え、守備を強化したり、少し緩めのパスを出したり、実行に移します。仕事もまったく同じです。
メールの文面一つとってもそうですよね。言葉が強すぎると、相手にとって不快感が強くなってしまい、自分の思いが正しく伝わらないことがあります。だから自分と相手を俯瞰してから、相手に合わせた言葉をメールには書くようにします。
知人がアドバイスしてくれたとおり、サッカーを通じて体で覚えて培ってきたことは、必ず仕事に変換できたのです。ですから「サッカーしかしてこなかった」と思うのではなく、「サッカーで得たものはとても大きかった」と胸を張って、仕事をしています。
経歴だけでなく人間性のアピールにつながる
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サッカーゲーム中にチームを見渡しフィールド上の状況を把握する俯瞰力、状況を見極めて行動に移す対応力など
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陸上競技練習スケジュールを組んだり、試合に向けて自身のピークになるように調整をするマネジメント力、計画性など
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ラグビーポジションごとの役割を考え、チームに貢献できる規律性、チームメートと意思疎通を図るコミュニケーション能力など
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テニス相手の特徴やゲームの展開を見極める洞察力や戦略を構築する力、瞬時に判断をすることができる思考の速さなど
偉大な監督たちから教わったものの考え方
サッカーを通じて得たものは、技術だけではありません。監督をはじめとする指導者の方たちとの対話から学んだ、人生における考え方もその一つです。
選手として過ごした期間には、度重なるケガなどでコンディションが上がらない時期がありました。そんなとき、当時の監督にこんなことを言われました。「なぜそんなにつまらなそうにサッカーをやっているのだ」と。さらに「君はこれからもっとサッカーがうまくなる。一生うまくなり続けることができるぞ」とも。
それまで自分自身では苦しいとしか感じない時間を過ごしていたのに、この言葉で練習が楽しくなったし、実際にうまくなっていく気がしたのです!
そして、そもそも楽しくてたまらなかったサッカーを続けて、子どものころに夢描いていた通りに、それを仕事にできたのだから、「人生は楽しまないともったいない」という考えを取り戻せたのも、監督に言葉をかけてもらえたからです。
サッカーを通して得たのは、サッカーのスキルよりもむしろ物事のとらえ方、考え方だとつくづく思います。社会人になるにあたってとても大切なものを得られました。
マルチタスクでも余白を作る
現在は、試行錯誤しながらもサッカー選手のころとは違う人生を歩んでいるわけですが、ベンチャー企業ゆえ、日々の業務はとにかく山積みです。会議や関係者との会食、腸内細菌に関する勉強と、自分がやろうと思えばいくらでもやることがあります。

元々、体育会系で体力があるので、意識しないと予定を詰め込んでしまいがちです。でも結果的に無理をして体調を崩したり、パフォーマンスを十分に発揮できなかったら意味がありません。
ですから、スケジュールには必ず余白を作ることを心掛けています。僕の場合は水曜日がその日です。体育会系の学生のみなさんも、練習や試合の予定とにらめっこしながら就職活動をしていると時間がなくて焦ることはあると思いますが、あえて余白を作ることで、気持ちにも余裕ができますよ。自分の体調管理やスケジュールを調整するのはスポーツをやっている人は得意なはずですので、その力をうまく役立ててほしいです。
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1
優先順位を決める
自分が就活の予定の中でどこに位置するのか確認する。説明会に参加するのか、エントリーシートを書くのか、面接対策をするのか、タスクの優先順位を振り分けよう。
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2
スケジュールを決める
全体のスケジュールが把握できたら、いつまでに何をやらないといけないのか明確になる。志望企業の説明会や選考スケジュールなどは必ずチェックしよう。
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3
スケジュールを可視化する
企業の選考など複数の予定が重なる時期は、予定が把握しづらくなることがあるので注意。一つも取りこぼさないためにも、予定が決まったタイミングでスケジュール帳に明確に書いておこう。
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4
余白を作る
部活動や学事以外の時間を、効率よく無理なく準備するようにしよう。スケジュールには余白を作って、思い悩むことなく、心と体をリラックスさせる時間も大切。
就活におけるタスク管理
自己PR、企業分析、筆記試験や面接対策…。就職準備の時期から就職先が決まるまでの過程で行うことをリストにすると、その項目は意外と多いもの。これらをクリアするためのタスク管理のポイントを紹介