法人経営で農業効率化。先端技術でスマート化も進む
農林水産省によると、国内の自営の基幹的農業従事者は、2020年で約136万人と、5年前の175万人から約40万人減り、減少に歯止めがかかっていない。就業者の平均年齢は67.8歳で、65歳以上の割合が約7割を占めるなど高齢化も進んでいる。こうした縮小傾向に変化をもたらすと期待されているのが、法人経営とスマート農業化だ。
農地法の改正により、農地の取得が可能な農地所有適格法人の数は、19年時点で2万社近くに上り、10年前からほぼ倍増した。法人経営により収益率の向上だけでなく、作業の効率化や担い手の労働環境改善が進み、大手企業を含んだ新規参入が増えている。
スマート化は、ICTやIoTの活用で農作業をデジタル化する。例えばロボットやAI、IoTなどの先端技術を導入し、作業の自動化、経営の自動管理、栽培データのAI解析などを進める。農水省は2019年度から「スマート農業実証プロジェクト」を展開。19、20年度で計148地区を認定。21年度も31地区を選定し、効果を実証しながら全国に拡大する計画だ。
水産業もデジタル活用。輸出拡大に大きな期待
一方、水産業でもスマート化が進んでいる。水産庁は20年3月「水産業の明日を拓くスマート水産業研究会」の報告書を公表。沿岸漁業ではIoTによって海流や風向き、水温などのデータを使い、これまで経験や勘に頼っていた漁場を予測するほか、電子データに基づく最大生産量の資源評価などを行う。養殖漁業では、海水の塩分濃度、水温などのデータ管理によって餌の量を変えるなど、収穫量の安定化を図ることなどを打ち出した。
同庁は養殖業についても、20年7月に「養殖業成長産業化総合戦略」をまとめた。国内の海面漁業生産量は20年で約417万トン。このうち、養殖業(海面、内水面)は102万トン。世界的には半分以上が養殖であるのに対し日本の割合は4分の1程度。同庁は日本の強みを生かせる養殖8品目を設定。30年までの生産と輸出目標を定めた。
農林・水産業で成長が期待されるのは輸出だ。20年の農林水産物・食品の輸出額は前年比1.1%増の9,223億円と、8年連続で過去最高。政府は25年に2兆円、30年に5兆円の目標を掲げており、支援策も講じている。