知っておきたい業界概要

ソフトウエア業界を研究する

ソフトウエア業界について

PCと電卓、データグラフ資料
(画像素材:PIXTA)

ソフトウエアには、パソコンのWindowsやスマートフォンのAndroid、iOSなどのOS(Operation System)や、データベース管理などの基本ソフトウエア、会計処理や人事管理、生産管理などの機能を提供するアプリケーションソフトウエア、コンピューターウイルスからの侵害を守るセキュリティソフトウエアなどがあります。ビジネス利用が前提のソフトウエアだけではなく、ゲームソフトやグラフィックソフトなどの一般コンシューマー向け製品もあります。
なお、顧客の要求に応じて受託開発するソフトウエアもありますが、これについては、業務システムの運用を含むケースが多いため、情報処理サービス業界にて解説します。

ソフトウエア業界の企業は、大きくベンダーと事業会社に分かれます。ベンダーとは、開発したソフトウエアをユーザー企業に納入しサポートすることを主な事業としています。また、海外のソフトウエアメーカーから輸入し、日本語化して国内で販売・サポートをすることもあります。
一方、事業会社は、自社で開発したソフトウエアやサービスを直接消費者へ提供することにより収益をあげています。代表的な例がOSや文書作成ソフトウエアで、みなさんも使ったことがあるはずです。近年、多くはインストール型からインターネットを介したサブスクリプション型へ移行しています。いずれも、汎用性の高いソフトウエアを提供しているため、幅広い業種に対応しているのが特徴です。

主な事業内容

・ソフトウエアの企画、設計 … 市場のニーズに合ったソフトウエアの機能や保有するデータを定義
・プログラミングによるソフトウエアの製造 … 定義した機能やデータ内容を基にプログラムを作成
・ソフトウエアパッケージの販売、サポート … ソフトウエアの営業、提案、顧客へのサポート
・ソフトウエアパッケージの導入コンサルティング … 顧客の問題解決のためのソフトウエアの導入方法を提案
・クラウドによるアプリケーションサービスの提供 … インターネットでのSaaSによるサービス提供

「データで見る」ソフトウエア業界

・市場規模は、約1.8兆円(経済産業省「特定サービス産業動態統計月報」2021年8月18日発行)
・雇用者数は、約7万7千人(情報処理推進機構 「IT人材白書2020」)

最新の業界動向

パソコンとヘッドホン
(画像素材:PIXTA)

基本ソフトウエアは、あらゆる業種業態のIT化において必要となる汎用的なソフトウエアです。企業におけるIT化の進展、パソコンやスマートデバイスの普及とともに、新しい技術を取り入れながら成長を続けています。また、インターネットの常時接続が当然となっている現在、ランサムウエアなどによる攻撃の手口は巧妙になっており、セキュリティソフトウエアの導入も欠かせません。

注目すべきはアプリケーションの機能をクラウド経由で提供するSaaSの事業拡大です。SaaS(Software as a Service)とは、顧客管理や会計処理などの業務アプリケーションを、ネットワーク経由で配信しWEBブラウザーから利用するサービスモデルで、ユーザー自身によるカスタマイズ機能が提供されているのが特長です。サーバーなどのハードウエアを導入せず必要となったタイミングですぐに利用できることから、普及が進んでいます。
また、2020年からのコロナ禍において、リモートワークの普及によるWEB会議やペーパーレスを支援するソフトウエアの需要が大きくなっており、ソフトウエア業界の果たす役割が大きくなっています。ソフトウエア業界は、世の中の動向やニーズに敏感に対応していく必要があるのです。

求められる人材・スキル

ソフトウエア業界では、専門性の高い技術力を使って、ソフトウエアパッケージやサービスを開発するため、最新のIT技術に精通した人材を求めています。職種としては、システムエンジニアやプログラマー、テスターなどが役割を分担しています。IT業界では、システム開発におけるプロジェクトの前半の部分を「上流」、後半の部分を「下流」と呼びます。上流工程である設計(どんなシステムにするかを決めること)はシステムエンジニアが担当し、下流工程であるプログラミングによるソフトウエアの製造はプログラマー、システムが意図通りに動くかをチェックする品質検証はテスターが担当します。
一方、ソフトウエアの取引先を開拓したり、ユーザーに対して提案したりする営業職も重要な役割を担っており、営業職にはプレゼンテーションやコミュニケーションスキルが求められます。

覚えておきたい業界用語

・ミドルウエア … ミドルウエア(Middleware)とは、OSとアプリケーションソフトウエアの中間に位置づけられるソフトウエア。代表的なミドルウエアにはWEBサーバー、データベース管理などがある。顧客の要件に応じて個別に開発されるアプリケーションを効率良く動作させるために、ミドルウエアを組み合わせる。

・オープンソースソフト … オープンソースソフトとは、ソフトウエアのソースコードを、インターネットなどを通じて無償で公開し、誰でもそのソフトウエアの改良、再配布が行なえるようにしたソフトウエア。ユーザーのメリットにはライセンス費用を削減できる、ソースコードが公開されているので多くの技術者の目にとまりやすく不具合が発見されやすい、ダウンロードしてすぐに使えることなどがある。

・SaaS … SaaS(Software as a Service)とは、顧客管理や会計処理などの業務アプリケーションを、ネットワーク経由で配信しWEBブラウザーから利用するサービスモデル。アプリーション機能の変更が難しいASP(Application Service Provider)とは異なり、ユーザー自身によるカスタマイズ機能が提供されているのが特徴である。ブロードバンドインターネットの普及で脚光を浴び大きく成長している。

・ERPパッケージ … Enterprise Resource Planning Package。ERPは、成功した企業のベストプラクティスを取り込んで、計画を立案する考え方である。ERPパッケージは、事業活動の効率性を高めるように、財務会計や在庫管理、販売管理などのデータベースを統一的に管理できるシステムをパッケージ化したもの。

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