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AR(Augmented Reality)

エンターテイメントだけではなくビジネス適用が進む

ノートパソコンとデータ
(画像素材:素材辞典NET)

AR(Augmented Reality、拡張現実)は、人間が知覚する現実世界にデジタル情報を重ね合わせて表示させることで、視覚的に現実世界を拡張できる技術である。AR技術を用いた有名なサービスとして、スマートフォンゲームアプリ「Pokémon GO」があげられる。これはスマートフォンに表示される目の前の背景にポケモンというキャラクターを重ねて表示することで、現実世界にポケモンが存在しているような実在感を得ながらゲームを楽しめるサービスである。

AR技術は、エンターテインメント業界以外でも利用されている。例えば、IKEAはスマートフォンアプリ「IKEA Place」を配信して、インターネットで家具を購入する際にスマートフォンを使って、部屋の中に実寸大の家具を“設置”して確認できる。これにより、事前にサイズ確認を行うなどの購入時のストレス軽減、およびトラブルを防ぐことができ、同時に購買意欲の促進にもつなげている。

また、デバイスの進化とともに、産業界での適用分野も急速に増えている。ウェアラブル型映像表示装置である「ARグラス」は眼鏡型。これを使えばスマートフォンを持つ必要がなくなり、ハンズフリーでの作業が可能となる。倉庫で荷物のピッキングをする際に実際のロケーションと指示情報を重ね合わせたり、工場の設備点検作業において実際の設備に対して熟練者による遠隔ガイドを重ね合わせたりするなどの事例がある。

一方、ARの関連概念として、VR(Virtual Reality、仮想現実)がある。VRとは、3Dや実写により、あたかも現実にその場にいるように感じさせる技術である。2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的大流行による外出自粛に起因して、アプリ「VRChat」(自分がなりたいキャラクターを自由に選び、VRを通じて仮想世界に参加し国内限らず世界中の人とコミュニケーションできるサービス)が世界で一大ブームとなっておりVRの需要が再び高くなっている。

今後はARクラウドに注目

ARクラウドとは、クラウドコンピューティングによってAR空間を複数のデバイス間で共有する技術である。これまでのARはデバイス個別にしか利用できなかったが、クラウドによってソーシャル要素が加えられ、複数のユーザーが体験をリアルタイムに共有したり、現実世界に紐づく情報を容易に検索したりできる。このARクラウドを効率的に実現する通信環境として、大容量データを高速に伝送できる5Gの普及が期待されている。  

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