AI
第3次AIブームの到来

人工知能(artificial intelligence)とは、「人工的につくられたコンピューターが、まるで人間のように考えたり見たり聞いたり話したりする」ことを指す。元々は、1956年のダートマス会議にて提唱され、自然言語処理などの基礎研究を中心に第1次AIブームが始まった。
その後、1980年代から1990年代にかけて、音声認識や知識ベースなどの第2次AIブームが訪れ、現在のブームは、機械学習やディープラーニングを中心とする第3次AIブームと呼ばれている。2005年に、遅くとも2045年には人工知能が人間の知識を上回るという説「シンギュラリティ」も提唱された。
人工知能は、さまざまな商品やサービスに組み込まれ活用が始まっている。例えば、iPhoneの音声応答アプリである「Siri」やAmazon.comのAlexaといった音声検索、スマートフォンにおける顔認証によるスマートログインなどが普及している。また、ネットサービスの例としては、メルカリにおける画像をもとにしたAI出品、Netflixにおけるユーザーの好みや視聴記録を基にしたレコメンドなどがある。
企業における研究開発の取り組みも盛んである。例えば、トヨタ自動車は2016年にアメリカに研究機関「Toyota Research Institute」を設立し、車両の自動運転に関する技術開発に取り組んでいる。また、ドローンやロボティクスにおけるAI活用を目指した研究が、各種研究機関やベンチャー企業を中心に進められている。
AI活用ではインテグレーションスキルが必須
現在のAIブームでは、コンピューターの処理性能の大幅な向上やインターネットによる膨大な情報収集の容易性拡大を背景に、応用技術の開発が進み、適用拡大への期待がますます高まっている。
例えば、交通渋滞の緩和や公共交通の自動運転化、生体情報や生活習慣の情報を基にした病気発症の高度な診断、監視カメラと連動した犯罪発生の予兆分析など、適用領域は幅広い。少子高齢化に向かう日本では、生産性の向上や生活の質向上に寄与するAIの活用が期待されている。
AIの活用が一般化する時代に求められる人材や能力は、多岐にわたる。企画時点では、企画を発想しアイデアを創造する力が重要になる。また、開発時点では、意思決定や認識するためのアルゴリズムを設計する論理的思考が要求される。加えて、画像や音声などさまざまな情報を取り込むためのセンサーの活用を含めた総合的なシステムインテグレーションのスキルが重要となる。
一方、AIが広く普及しても、決して変わらない基礎的なヒューマンスキルが存在する。それは、コミュニケーションやモチベーション、リーダーシップなどである。今後、ますます、ヒューマンスキルの重要性が増していくことに注意したい。