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IoB(Internet of Bodies/Behavior)

人間の体がインターネットにつながる

IoB(Internet of Bodies/Behavior)のイメージ図
(画像素材:PIXTA)

IoB(Internet of Bodies/Behavior)は、IoT(Internet of Things)の“Things”を、“Bodies”あるいは“Behavior”に入れ替え発展させたもの。人間の身体や行動内容をインターネットでデジタルに結びつける技術である。IT調査会社のガードナーが2021年の戦略的テクノロジートレンドのトップにIoBを選び、注目を集めた。例えば、IoTによって収集された大量の情報(ビッグデータ)とともに、IoBの顔認証や位置情報などを活用することによって、個人にパーソナライズされたサービスの提供が可能となる。

IoBの具体例として、ヘルスケアマネジメントがある。これはウェアラブルデバイスを介して位置情報や食事、睡眠などの情報を集めて分析することで、健康に偏りが出た場合に警告を発し、より健康的で快適な暮らしになるように支援するものである。

なおIoBには、
1.Apple Watchなどのウェアラブルデバイスを身につける定量化
2.ペースメーカーなど体内に機器を埋め込む体内化
3.脳に機器を埋め込むウェットウェア(血が流れる脳、つまり常に濡れているので “WetWare”)
の3つの段階があるとされていて、現在は前述の1に加えて、2の体内化まで実現できている。

IoBを用いることで、健康の管理や病気の早期発見などに貢献できるため、ヘルスケアの分野で今後の活躍が期待されている。

しかし、機器の故障が起きた時に体内に埋め込んでいる状況だと取り外すことが困難であること、インターネットを介してサイバーテロが発生したときに不正操作の誤作動によって命の危険にさらされてしまうなどのリスクが存在する。また、自分の身体や行動の情報をどこまでプライバシーの情報とするのか、適切に守ることができるのかという個人情報に対する懸念も課題となっている。

新型コロナウイルス感染症の影響で注目

IoBが2021年の戦略的テクノロジートレンドのトップとなった理由は、やはり2020年から世界的に大流行している新型コロナウイルス感染症の感染拡大にあると考えられる。

新型コロナウイルス感染症により私たちの生活が大きく変化したことでさまざまな技術が生まれ、結果的にIoBも生活に段々と定着するようになった。具体的には、顔認識によってマスクをしているかチェックし警告するシステム、カメラに額などを映すだけで詳細な体温を測ることができるシステム、位置情報を用いて感染者の感染経路や周囲に感染者がいたかを確認できるスマートフォン向けアプリ「COCOA」などがある。今後も新しい生活様式に沿ったさまざまなIoB技術が生まれることが想定されるため、よく注視すべきだろう。

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