ハードウエア業界を研究する
ハードウエア業界について

ハードウエア業界では、パソコンやスマートデバイス、ネットワーク機器などの情報通信機器の製造販売・サポートをしています。また、各種情報通信機器に組込むセンサーやバッテリーなどのパーツも取り扱っています。ただし、ハードウエアそのものは、単なる箱でしかありません。その能力を活用するソフトウエアと一体となって機能を発揮するため、ソフトウエア企業との連携が必須です。
ハードウエアに組込まれたソフトウエアは、一式で組込みソフトウエアといいます。エアコンなどの家電だけではなく、鉄道などの社会インフラや車載分野における自動運転制御などにも使われているため、安定した性能と高い信頼性が求められ、特に製造過程での品質管理が重要となっています。
ハードウエア業界には、パソコンやスマートデバイス、プリンターなどの情報通信機器の完成品を製造する情報通信機器メーカー、その中に組込まれる電子部品や半導体、記録メディアなどを製造する電子部品メーカーがあります。テレビやエアコンなどの家電をはじめ、前述のように自動車にも情報通信機能が組込まれつつあり、ハードウエア業界に関わる企業は大きく広がっています。
主な事業内容
・製品マーケティング … 製品の開発に関わる市場調査、ニーズ調査
・ハードウエア製品の企画・設計 … 製品として提供する機能全体に関する企画、定義
・組込みソフトウエアの設計製造 … ハードウエアに組込むプログラムの機能定義・作成
・ハードウエア製品の販売、サポート … 製品の営業、顧客に対する保守サポート
・ハードウエア製品のメンテナンス … 製品の定期的な保守、バージョンアップ
「データで見る」ハードウエア業界
・市場規模は、約19.9兆円(総務省「令和2年度 ICTの経済分析に関する調査」2021年)
・雇用者数は、約10万人(情報処理推進機構 「IT人材白書2020」)
最新の業界動向

世界的に見ると、ハードウエアの分野は欧米を中心に外資系の企業が市場では強く、日本国内にも日本支社を設立して事業展開しているのが一般的です。一方、国内市場においては、日本のハードウエアメーカーも負けてはいません。パソコンやスマートデバイス、ゲーム機、プリンターなどで大きな国内シェアを持っています。
また国内では、SaaS型のクラウド型サービス事業が大きく拡大しており、データセンターにおけるサーバーコンピューターやネットワーク機器などのハードウエアへの需要が高まっています。また、IoTの進展に伴いウェアラブル端末やスマートスピーカー、ロボティクス、ドローンなど、ハードウエア業界の事業領域が次々に拡大しているのが特徴です。
求められる人材・スキル
ハードウエアは組込みソフトウエアと一体になっており、高い安全性や性能が要求される領域です。そのため、何よりも品質を重視され、組込みソフトウエアの開発に関わるエンジニアには、精度の高いプログラミングやテストのスキルが求められます。
また、新しいハードウエアの開発では、製品としての付加価値を向上させるため、IoTやAIなどの最新技術を取り入れることが多く、常に最新のITの知識を身に付ける必要があります。
覚えておきたい業界用語
・データセンター … 高速ネットワークの整備に伴い、自社でサーバーやコンピューターを保有する形態(オンプレミス)から、必要な分だけ、インターネットを介してサービスを利用する形態に変わりつつある。データセンターは、事業継続性を支える高いセキュリティや信頼性を提供する。
・サーバー仮想化 … サーバー仮想化は、複数のサーバーを論理的に1台としてソフトウエアに使用させ、効率的にハードウエアのリソース(メモリーやディスクなど)を利用する技術。これにより、拡張性や信頼性を大幅に向上できる。普及しているクラウドサービスでは、サーバー仮想化が当たり前となっているため、ハードウエアメーカーは、これに対応した製品の供給が必須である。
・スマートデバイス … スマートフォンやタブレット端末など、多機能なデバイスの総称。インターネットに接続でき、必要に応じてさまざまなアプリケーションをダウンロードして使うことができる。マルチタッチなど、指を使った操作が容易にできる特長がある。その操作性に着目し、消費者によるネットショッピングや地図検索だけではなく、小売業など一般企業での導入も進んでいる。