規模が大きい機械、金属などの卸。機械は国際競争力高い
専門商社は扱う商材によって、薬品・化粧品、金属製品、鉄鋼、機械、化学など多岐にわたっている。成り立ちを大別すると、総合商社系、大手メーカー系、独立系となる。
経済産業省の商業動態統計によると、卸売業で規模が大きいのは、機械(約90兆円)、食品・飲料(約53兆円)、鉄鋼を含む鉱物・金属材料(約46兆円)、薬品・医薬品(約28兆円)、化学(約21兆円)など。機械の規模が大きいのは、家電やパソコンなど電気機械器具(約49兆円)が含まれているため。このほか、工作機械、建設機械なども国際競争力が高い。鉄鋼の場合、鉄鋼メーカーから商社または特約店経由で需要先に納入するケースが多い。顧客が要求する仕様に対応できるためだ。
メーカー直販が増える。高付加価値と海外展開が必要
一方、ネットの普及と物流網の充実により、各種資材や部品などのメーカーが商社を経由せずに直接、顧客先に納入するケースも増えている。汎用的な資材の調達であれば、コストを抑えられるからだ。これに加えて、国内需要の頭打ちなどにより、専門商社は各業態とも合併や買収など業界再編が起きている。
専門商社に求められているのは付加価値の向上と海外展開だ。すでにメーカーと共同で技術開発したり、海外で加工した部材を需要先の海外工場に納入したりするなどの動きが強まっている。
業界再編では、医薬品商社が盛んだ。薬価基準の相次ぐ引き下げやジェネリック(後発)医薬品の普及が要因。大手同士の統合や、大手が地方の中小企業を買収するケースが相次ぐ。日本医薬品卸売業連合会によると、同会加盟会員の本社の数は、2002年の175社から21年には70社に減少した。ただ、医療用医薬品に精通した営業や流通網を持つ商社が果たす役割は今後も大きいといえる。