教えて!
「仕事」と「スポーツ」の
関係

新しい環境になじんでいくために
相手が自分に求めていることを知る
また、話が子どもの頃に戻りますが、自分の得意なことがドリブルであると分かると、プレーにも磨きがかかり、どんどん結果につながり始めました。その始まりが当時の監督に目に留めてもらえたことです。中学校に入学した頃は試合に出られないことも多くありましたが、中学3年生、そして高校に入ると徐々に試合に出られるようになり、高校3年生ではインターハイ、高校選手権ともに得点王を獲得することができました。
プロ入り後は日本でも海外でもプレーして、その間多くのチームからオファーをもらったのですが、そのたびになぜ自分を必要としているのかを必ず相手に聞くようにしていました。
新しい環境に身を置くときは、相手が自分に求める役割…、例えば「チームの雰囲気やゲームスタイルを変えてほしい」というようなものを知ったうえで、ほかの選手と話したりプレーしたりしていました。なぜなら、自分のプレースタイルを貫くより、相手のリクエストに寄り添うことでその環境での自分の存在意義を発揮することができるからです。

企業や社会人の先輩に質問できる機会を生かそう!
就活準備や就職活動の過程では、さまざまな企業の人と接しますが、これは社会で働く先輩たちに直接質問し、自分の将来を考えるヒントにすることができる貴重な機会でもあります。会社説明会や面接など、相手企業の人と接するチャンスがあれば、積極的に質問してみましょう。
例:人材像について
どのような人材を求めていますか?
御社でキャリアアップしていくためにはどのような勉強が必要ですか?
例:ライフプランや職場の
制度について
育休・産休制度などは充実していますか?
女性の管理職の方はどのくらいいますか?
例:具体的な事業について
○○事業はどのようなきっかけで生まれたのですか?
これからの××事業の方向性を教えてください。
コミュニケーションの第一歩は分からないことをさらけ出す
チームの一員として絶対に不可欠なのがコミュニケーションです。国が違っても前提として「サッカー」という共通言語を持っているのですが、監督がチームをどうしたいのか、それを実現するために選手はどうすればよいのかという点で、やはりお互いの密なコミュニケーションが必要でした。どんなに技が優れていても、コミュニケーションを取れない選手が一線で活躍できることはありません。僕も仲間として溶け込む努力をしたことでいろいろなチームになじんでいきました。
海外のチームではとくに大切かもしれません。スペインに移籍したときは、言葉がまず分からなくて、恥ずかしい気持ちがありました。でも、チームメートが食事に誘ってくれた際には、スペイン語の辞書を持参して参加しました。
言葉が分からないのは恥ずかしいことではなくて、むしろそれをさらけ出すことで、チームメートは僕にスペイン語を教えてくれたり、力になろうとしてくれたりして、次第に打ち解けることができました。こうして何度か食事をするうちに、チームメートとの距離はぐっと縮まり、分かり合える感覚も深まりました。
一方でドイツ時代は言葉の壁を自ら打ち破ることができず、うまくコミュニケーションを取れなかったのは苦い思い出です。こうした失敗も教訓になっています。

できるだけ早いタイミングで自分から飛び込む
日本国内での移籍は言葉の壁はなくても、コミュニケーションがもちろん大切です。どんなに長くサッカーをしていても、新しいチームへ行くのは、毎度、転入生のような気分でいましたね。選手としてのキャリアが長くなると、チームメートよりも僕の方が年齢が上になり、どう話しかけたらいいのか、周囲が気をつかっているようなときもありました。そのため、僕も、とにかく自分から歩み寄るようにしました。
練習中に気づいたことは練習上がりに、その場で声をかけて話す、食事に誘う、自宅に招くというようにしているうちに、チームメートも心を開いてくれて、プレーに関しても互いに言いやすくなっていきました。
経験的にいえば、人と打ち解けるときのポイントは、お互いのイメージが定着していない、できるだけ早い段階で相手の懐に自分から飛び込むことです。互いに相手に対して「〇〇な人」というような先入観を持ってしまってからでは、話しかけづらさが生じる場合もあるし、時間が経つと話すきっかけを見失ってしまう場合も多いからです。
コミュニケーション力は就活準備や就職活動でも重要
サッカーの世界に限らず、社会に出て働くようになれば、知らない人や初めて会う人と話をする機会が生まれる。例えば採用選考で行われるグループディスカッションなどでは短時間で初対面の複数人とコミュニケーションを取って作業を進める必要がある。コミュニケーションに不安を感じる人は、学校生活やアルバイトなどで積極的に周囲と関わる練習をしてみよう!