教えて!
「仕事」と「スポーツ」の
関係

スポーツで培った根気強さと、満ちあふれる「やる気」は社会でも生きる
一つのことを、突き詰められる根気強さ
練習をサボればすぐにレギュラーから外されてしまうという緊張感の中、常に一つのことを突き詰めてきた体育会系の皆さんはやる気に満ちあふれていると思います。

仕事を始めても、例えばパソコンを使った業務を極めるとなれば、1日中ひたすらパソコンと向き合うことができるでしょう。結果的に、ものすごいスピードで知識や技術を習得できるんじゃないかなと思います。
一つのことを頑張り続けたことのエピソード例
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どんなことを頑張った強豪校でのポジション争いが激しく、スターティングメンバーになるために、合同練習後に個別のメニューを立てて毎日一人で練習した。
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個人練習が何に、どうつながったのか?週ごとにテーマを決めて、1週間でどれくらい上達できたのかを記録してトライ&エラーを繰り返した。
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頑張り続けられるコツは別のポジションの選手と練習の内容と上達具合を報告し合ったことで、互いに負けたくないという思いが生まれ、続けるためのモチベーションが高まった。
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頑張り続けられたモチベーションは?苦手なプレーに対して、詳細にテーマを決めて一つ一つクリアしていくことで、パフォーマンスが上がっていることが実感できたから。
社会はめちゃくちゃ楽しいところ
「スポーツしかやってこなかった」と不安を覚える学生には、むしろ社会は広くて自由だということに気付いてほしいです。それに、とても楽しいところだと伝えたいですね。

今までのスポーツ競技では「勝つ」ことによって評価される、という一つのルールの中でしか物事を見てこなかった人もいるのではないでしょうか。
でも社会にはさまざまな評価軸があります。それに、いろいろな挑戦をすることができるので可能性が無限にあるんですよ。だからスポーツしかしてこなかったとネガティブにならず、ぜひ、楽しもうという気持ちで社会人になってください。
社会はいろいろな側面の評価基準がある
スポーツ競技においては、試合に勝つことや成績を残すことが、評価される最大のポイントだが、社会人は、いろんな側面から評価されるようになる。新卒1年目の社員なら、実直に業務に取り組める、上司や先輩にきちんと報告や相談ができる、取引先とうまくコミュニケーションが取れる、といった点も評価される。今まで自分にとって弱みだと思っていた部分が、仕事上ではプラスになるなんてこともある。何でも前向きに楽しく取り組む姿勢を忘れないようにしよう。
人を目的地やゴールに導くのが、コーチの仕事
現在は球団に戻ってコーチの仕事を続けています。これまではチームの基盤を作るために時間を費やしてきましたが、これからは優勝を目指すフェーズとして挑戦を始めたところです。
コーチは監督と選手のつなぎ役で、会社でいうところの中間管理職です。また、「人を目的地やゴールに導く人」がコーチの本来の意味なので、どこまで選手の力を引き出すことができるか、そこに僕の仕事は集約されていると考えています。そしてこのキャリアは必ず将来、立場が変わっても役に立つと思っています。例えば講演の依頼が増えるとかね(笑)。

森本稀哲(もりもと ひちょり)
1981年生まれ、東京都出身。小学校の友人から野球に誘われ、それまで続けてきたサッカーと並行して野球を始める。中学時代は野球に専念し、強豪校である帝京高校へ進学。3年時には主将を務め、第80回全国高等学校野球選手権大会に出場。1998年、ドラフト会議で日本ハムファイターズ(現:北海道日本ハムファイターズ)から4位指名を受けて入団。2006年から2008年にかけて3年連続でゴールデングラブ賞を受賞、2007年にはベストナインにも選ばれた。2011年には横浜ベイスターズ(現:横浜DeNAベイスターズ)、2014年には埼玉西武ライオンズへ移籍し、2015年に現役を引退。2023年から北海道日本ハムファイターズの一軍外野守備走塁コーチを務める。

今回の教訓
興味のある業界や職種以外にも目を向けることで自分の可能性が広がるチャンス。「自分の未来をつくるために企業を選んでいる」という視点で、いろいろな企業の人に出会えることを楽しめるようになると就職活動の印象も違ってくる。
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失敗して落ち込むことは責任感が強い証
失敗して落ち込むことは一見、ネガティブなことに思えるけれど、裏を返せば責任感の強さがあるからこそ。失敗をマイナスに捉えず、失敗したときこそ課題を見つけて向き合うのが、成長できる絶好のチャンス
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自分の強さをとことん探す
身の丈に合わない理想を追い続けるのではなく、自分の強さはどこなのか、とことん探してそれを生かすことで、パフォーマンスを最大限発揮しやすい環境を作ることができる
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メンタルは強弱よりコントロール力が重要
メンタルは「強い」「弱い」ではなく、物事をポジティブに捉えられるよう自分でコントロールすることで結果が良い方向に向いてくる
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