教えて!
「仕事」と「スポーツ」の
関係

準備力と継続力はスポーツでも仕事でも必要
一人ではできないことを知っている
私は、ソフトボールという競技を長く続けてきましたが、家族、チームメート、監督、グラウンドを整備してくれる人…ソフトボールにかかわる全ての人のおかげで自分がプレーできることを本当に痛感してきましたし、感謝の気持ちを忘れたことはありません。

これはどんな競技をやってきた人にとっても共有できる価値観だと思います。周りの人を大切にできるというのは、どんなシーンでも大切なことです。スポーツに限らず、仕事をするのだって一人ではありません。他人と力を合わせることが、とても大切だと若い時期に理解していて、仕事にのぞめるのは、体育会系の学生の大きな強みではないでしょうか。
準備力と継続力も体育会系学生の強み
スポーツをしてきた人は、どれくらいの準備をしたら自分のパフォーマンスがベストな状態になるのかを把握しています。準備の大切さを知っているから、「勝負をする」というときには準備を怠りません。また目標を立てて、それに向けて必要な努力を続けることも習慣化しています。つまり結果を導き出すための行動に対して、意識せず、自然に向き合えるのが体育会系の学生です。こうした力はスポーツにかかわらず、どんな仕事であっても必要だし、役に立つと思いますよ。

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ソフトボールを通して、私の人生に影響を与える出来事はいろいろとありましたが、とくに印象深いのは宇津木妙子監督と上野由岐子選手との出会いです。
社会人になって初めて日本代表に選ばれたときの監督が宇津木妙子監督でした。宇津木さんの信念は「努力し続ければ必ずかなう」ということです。そこからぶれることなく突き進む監督を見て、「この人の下ならきっと五輪で金メダルを取れる」と強く感じたことを思い出します。こういう人に社会人になったばかりのタイミングで出会えたことはとても大きな経験で、私が長年ソフトボールを続けてこられた原動力にもなっています。
そしてもう1人は上野由岐子さん。皆さんもご存じの通り、アスリートとしてとても高い能力、そしてセンスもお持ちなのですが、さらにすごいところは、誰もなし得ないことをしようと努力をし続けられるところです。また自分には何が足りないのかを見極められる力です。結果を出しながらもおごらずに努力を積み重ねる…。そういう人が近くにいることはとても刺激を受けました。
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1
他人がしていないことができる
他人と同じことをしているばかりではスポーツではなかなか勝てない。だから人と自分は何が違うのか、自分の弱み、強みをわかったうえで、人とは違う努力や工夫ができる人は抜きんでる可能性を持っている。
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2
自分に何が必要なのか分析できている
どんなにコンディションがいいときであっても、今の自分にあと何が必要なのか、どうしたら勝てるのかをしっかり分析できる人は成長し続け、成功をつかむことができる。
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3
自分の意見にこだわりを持っている
私はこうしたい、こうすることで強くなる、うまくなるというビジョンをしっかり持ってそのことに集中できる人は成長速度が速く、またコンディションの整え方なども上手。
成功する人の共通点
長所と短所を理解したうえで、柔軟に課題に取り組むことが成長をもたらす
成功する人は芯があってぶれないだけでなく、柔軟性も持ち合わせている。自分自身の強みと弱みをしっかり把握し、今の自分には何が足りないのかを理解したうえで、課題を持って取り組むことができる人は何においても成功する。就活においても同じ意識で取り組もう。
最終目標は指導者
現役を引退した今、考えているセカンドキャリアは、トップチームでの指導者になることです。
小学生から高校生までの育成年代の指導については、すでにクリニックを開催して経験していますが、最終的にはトップレベルで競技するチームの指導者になりたいと思っています。そのために2024年4月から大学院に進学し、バイオメカニクスを学ぶ予定です。自分のプレーヤーとしての経験に、体のつくりや動作へのロジカルな思考を加えて、両面からアプローチできる指導者を目指しています。

山田恵里(やまだ えり)
1984年生まれ、神奈川県出身。小学生のころから軟式野球を始め、中学校では男子野球部に所属。高校進学時に、女子は甲子園に出ることができないと知り、県内のソフトボール強豪校へ。高校2・3年とインターハイ、選抜選手権で優勝を果たす。高校卒業後は日立製作所に入社。その年の日本リーグで、いきなり本塁打王、打点王、ベストナイン、新人賞などの個人タイトルを総なめにし、2003年には日本代表入りを果たす。以後2004年アテネ五輪で銅メダル、2008年北京五輪で金メダル、2021年東京五輪で金メダルに貢献。走攻守そろった1番打者として活躍し、「女イチロー」の異名を持つ。2022年に引退し、現在は各地でソフトボールクリニックを開催。2024年からは大学院へ進学。

今回の教訓
山田さんのように、コントロールできないものにはとらわれずに、就職する業界、企業を冷静になって選び、自分のキャリアパスをできるだけ明確にイメージしながら、必要な対策をして行動しよう。
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1
どうにもならないことにとらわれない
世の中の状況や規則など、自分の力ではどうにもならないことに執着しすぎると大切なチャンスを逃すこともある。まずは受け入れて、ほかのことに目を向けて改善を試みよう
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2
成功体験をイメージして切り替える
物事がうまくいかないときやプレッシャーを感じたときは、成功までの道筋をできるだけ明確にして、そのイメージを具現化するようにしてみよう
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3
環境を変えることでモチベーションを上げる
気持ちが落ち込んだとき、マンネリ気味のときは思い切って環境を変えることも大切。今まで見えなかったものが見えてきてモチベーションを上げることにつながる
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