教えて!
「仕事」と「スポーツ」の
関係

体育会系の学生には武器が多い
マネジメント力、自己分析、目標設定力が強みになる
体育会系学生は競技を続けるために、勝つために、技術を磨くためにと、さまざまな試行錯誤を積み重ねながら、トレーニングに向き合ってきたと思います。
その過程で身に付くのは、競技の技術だけではありません。
きっと多くの力が身に付いていると思います。例えばマネジメントする力、自分を分析する力、目標を設定する力が挙げられます。
体育会系の学生の皆さんが、スポーツを通して多くの強みを培ってきたことは、とても大きなアドバンテージといえます。
そうした強みに気付き、自信を持って就活に挑んでほしいです。
体育会系の学生の強み
マネジメント力
試合に向けて体調管理し、自分の技術を向上させるため、いつまでにどんな練習をするべきかなどを考えて、自分を律して管理できる。
計画を立てて、仕事を進めることができる。
自己分析力
チームが勝つために、また自分の記録を更新するために自分の長所と短所を明確に、それも客観的に分析できる。
強みと弱みを把握していることで、どういった仕事内容・シチュエーションで活躍できるのかを導き出せる
目標設定力
試合に勝つ、タイムを更新するといった漠然とした目標ではなく、成長のためには何が必要か、具体的な目標を立てることができる。
目標が明確だとやるべきことが具体的になり、優先順位もつけて、メリハリを持って仕事ができる。
体育会系以外の学生と比較する必要はない
就活の時期に差し掛かると、他の学生と比べて、スポーツ以外の経験が少ないことに不安を覚える学生もいると聞きます。
たとえ、スポーツ中心の生活だとしても「スポーツしかしてこなかった」と劣等感を持つ必要は全くありません。体育会系の学生はスポーツに打ち込むことで得た経験、学びがたくさんあるからです。

自分のやりたいことや目標に向けて、時間と労力を費やしてきたのだから、周囲と比較する必要もなければ、気後れする必要もありません。
むしろ体育会系の学生には武器が多いです。そのことに目を向けて、自信と誇りを持ってほしいと思います。
感謝する気持ちを忘れない
競技を続けてこられたのは、子どもの頃から世話をしてくれた家族、監督やチームスタッフ、切磋琢磨(せっさたくま)したチームメート、競技活動を支援してくれる地元の企業などの支えがあるからです。多くの人に支えられたからこそ今があります。
自分一人ではなく、多くの人が関わって競技を続けてこられたことに感謝を忘れずに。人に感謝する気持ちは、相手を敬う気持ちでもあり、これは社会に出て、さまざまな価値観を持つ人とコミュニケーションを取る上でも、とても大切なことです。

福島千里(ふくしま ちさと)
1988年生まれ、北海道出身。北京、ロンドン、リオデジャネイロの3大会で五輪の日本代表として活躍。女子100m、200mの日本記録保持者。小学校4年生で陸上競技を始め中学生のころからジュニアオリンピックに出場するなど全国区で台頭し始める。高校卒業後の2007年、北海道ハイテクノロジー専門学校に入学し、北海道ハイテクAC陸上部にて2018年まで活動。その後セイコーホールディングスに入社。2021年に順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科に進学。2022年に引退し、現在は同大学の職員として陸上部で指導。またセイコースマイルアンバサダー(スポーツ担当)として、次世代育成に貢献している。

今回の教訓
恵まれた環境に身を置くこと自体がゴールではない。自分がどうありたいか、どう生きていきたいかを考えて、その目的につながる環境を選ぶようにしよう。
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1
目標を明確にする
目標が明確になれば、そのためにどのような環境が必要なのか、時間はどれくらい必要なのか、何をする必要があるのかといった自分の行動が明確になる
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2
論理的に考える
客観的な事実(数値などのデータ)や根拠に基づいて、結果が導き出された過程を常に考える習慣を身に付けることで、相手に自分の思いを筋道を立てて伝えることができ、説得力が増すようになる
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3
自分の考えを言葉にする
自分のあいまいな感情や考え方などもできるだけ言葉にする。その過程で、明確になることも多く、言葉にするからこそ、多くの人とコミュニケーションが取れる
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