「現在」が分かる!「未来」が見える! 業界地図

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化学・石油の業界地図

化学、石油産業とも需要構造の変化に対応すると同時に、脱炭素化に向けて地球環境対策の大きな役割が期待されている。

※掲載企業は売上や総資産額などに加え、業界のトピックを踏まえてマイナビ編集部が選定した一部の企業となります。また掲載内容に関する基準はこちらよりご確認ください。

化学

レゾナック・ホールディングス

日本酸素ホールディングス

化学・石油業界の「現在」と「未来」

2023年度の石油需要は4.1%減。ガソリンスタンドも減少続く

石油産業は、海外で自ら石油開発を行う上流部門から、原油を輸入して国内で精製してガソリンや灯油などの石油製品を製造、販売する中下流部門、いわゆる石油元売りまでで構成される。石油連盟によると、2023年度の石油製品需要は、前年度比4.1%減の1億4,457万キロリットルとなった。内訳は、ガソリンが同0.6%減、ナフサ(粗製ガソリン)が同5.4%減、灯油が同3.7%減などと軒並み減少した。ピーク時の1999年度比では41.1%減の水準だ。

特に、主力のガソリンは今後も減少すると見られている。経済産業省の石油製品需要見通しによると、国内需要は23年度の4,449万キロリットルから、28年度には23年度比12.2%減の3,906万キロリットルになると予測している。燃費改善に加え、ハイブリッド車や電気自動車の普及が要因と考えられる。

これに伴い、国内のガソリンスタンド(SS)の数も23年度末で2万7,414カ所と、ピーク時(1994年度)の6万421カ所の半分以下まで減少している。

2030年度の石油シェアは約31%。合成燃料などの開発に注力

それでも国の第6次エネルギー基本計画では、30年度の1次エネルギー供給に占める石油のシェアは31%程度と、引き続き重要な位置付けである。ただ、脱炭素政策により化石燃料である石油やガス需要の大幅な拡大は見込めない。

そこで各社とも海外事業を強化するほか、再生可能エネルギーの強化、新燃料のアンモニア、水素と二酸化炭素を原料とした合成燃
料などの技術開発も進める。中でも合成燃料はガソリンや軽油などと同じ性質を目指しており、既存のインフラを利用可能だ。

化学の売上高は約46.8兆円。機能性化学品にシフト

財務省の法人企業統計によると、23年度の化学工業の売上高は前年比1.2%増の46兆8,200億円と、3年連続で増加した。総合メーカーは、石油製品のナフサからエチレンなどの基礎化学品を製造。基礎化学品から誘導品メーカーが合成繊維や合成ゴム、合成樹脂、油脂や塗料などを製造する構造だ。ただ、石油化学の汎用品は国際競争も激しく、収益環境は厳しい。

このため、各社とも光学、磁性、導電・絶縁などの高機能化学品にシフトしている。具体的には、市場が拡大している半導体素材や蓄電池材料、液晶フィルムなど電子材料を幅広く展開している。

CO₂排出量は鉄に次ぎ2番目。業界が削減ビジョンを策定

一方、化学産業の二酸化炭素(CO₂)排出量は、鉄鋼に次ぎ2番目で、脱炭素化が急務だ。日本化学工業協会は、2050年カーボンニュートラルに向けた化学業界のビジョンを策定。30年にCO₂排出量を13年度比で32%削減する行動計画の実行を推進している。

この中で、革新技術としてCO₂などを用いたプラスチック原料の製造、自然エネルギー由来の水素を使い、CO₂を原料として化学品を製造する技術、バイオマス利用などを掲げている。

バイオマス利用では、すでに植物由来のプラスチックの量産や、植物の糖を発酵させたバイオエタノールからエチレンを生産する計画も動き始めている。

データで見る業界のポイント

化学工業の売上高推移

化学工業の売上高推移
「法人企業統計」(財務省)2024年

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  • 掲載企業は売上高や総資産額などに加え、業界のトピックを踏まえてマイナビ編集部が選定した一部の企業となります。業界の分類は、マイナビ2027の業種分類に沿っています。各社の直近の決算に基づき、該当する分野の主に売上高の大きい順に企業を掲載しています(矢印などで示す関係企業や売上非公開の企業については順不同)。
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  • 原稿作成期間は2024年7月1日から10月31日です。

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