教えて!
「仕事」と「スポーツ」の
関係

きっかけ作りをすることで
次の課題が見つかる
走りたい気持ちと走れる環境の掛け算

2024年5月に現役を引退し、現在、力を入れている活動の1つにランニングクリニックがあります。6歳から60歳まで幅広い年齢層の障がいがある方々が集まってトレーニングしています。
一般の方が多く利用されている日常生活用となる外観重視のための義足や、歩行のサポートをするための義足は歩くのには不便はありません。ただ、走ることにはあまり向いていないため、ランニングするには競技用の義足を使うことになります。しかし競技用の義足を使って走るとなると普段使っているものと感覚が全く違うため、すぐに走れるようにはならないのです。
競技用は曲がった状態の板バネ(ランニングブレード)と地面に接地する部分のソールからなる特殊な形状をしています。しかも軽量で高い反発力を持つ義足をコントロールして走るのはとても難しいのです。
心のどこかには走りたい気持ちがあっても、走り方を学べる環境がないと走れません。この2つが掛け合わさることで初めて走れるのです。ですから、こうしたきっかけをもっとつくり、提供していきたいと思っています。
僕自身も、海外から輸入した競技用の義足を使えるきっかけがあったからこそ陸上競技に取り組むことができましたし、スポーツバイオメカニクスを学ぶきっかけにもなって今があります。
こうしたきっかけとの出会いを偶然にしたくはありません。偶然ではなく、こうした機会が当たり前に存在している状態をつくり、皆さんにはそれを利用して何かをやってみようという意欲を持ってほしいと願っています。そしてその試みが、さらに次のチャンスや課題を見つけることにつながるのではないかと思っているのです。
セカンドキャリアを考えるきっかけをくれた言葉
もう1つ、今の僕をつくった大切なきっかけがあります。それは就職先のスズキ株式会社の前会長の鈴木修さんの言葉です。
2008年のパラ五輪・北京(ぺきん)大会の後に会長と会う機会があり、「現役として競技をしている間はスズキで一生懸命頑張ればいい。引退後もここで働くならいいけど、きっと君はそうはならない。そのために今から将来何をしたいのか考えておきなさい」と言われたのです。
アスリートとしてようやく結果が出始めた時期で、将来のことまで考えていませんでしたが、会長の言葉によって「将来は指導者になりたい」という夢を持つようになりました。またそのために、働きながら大学院でスポーツバイオメカニクスの研究をすることにつながったのです。
もし会長の言葉を「引退は先のことだし、競技だけに集中しよう」と考えて聞き流していたら、指導者の夢や大学院で研究をするチャンスを逃していたかもしれません。
どんなささいなことでも自分の可能性を知ることにつながるので、そうしたきっかけを受け入れる姿勢を持つことはスポーツでも就活でも仕事でも大切だと思います。
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STEP 1
成功体験を分析する
今までの成功体験を挙げてみよう。自分が成功するパターンや共通点が見えてくるはず。その中で自分が担っている役割は何かを考えることで自分の能力を知るヒントになる。
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STEP 2
自分がやりたいこと・やりたくないことを書き出す
あえて自分が「やりたくないこと」を書き出してみよう。次にそれに付随するやりたいことを書き出してみる。例えば「雑用はやりたくない」けれども「全体を仕切ることはしたい」といった形にしてみる。こうすることで、自分は雑用など細かいことは苦手だけど、取りまとめる統率役は得意という自分の特長を再認識できる。
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STEP 3
周囲の人に聞いてみる
信頼できる友人や家族などに「自分の強みは何か」を聞いてみよう。自分が思っている自分と他人から見た自分は違う場合もある。他人の客観的な視点を取り入れて自分の可能性を導き出そう。
自分の可能性を探るヒント
他人から見た自分をもっと知るためのコンテンツはこちら!
他己分析を体育会系学生の就活に役立てる就活は自分を知るきっかけになる

体育会系学生の場合、競技を続けていると、試合や大会のスケジュールの都合で一般の学生より就活のスタートが遅れてしまい焦ることがあるかもしれません。
でも就活準備や就活のために行う作業は自分の好きなこと、やりたいこと、得意なこと、強みを見つけることでもある訳です。将来の仕事を見つけるとともに、自分を知るきっかけとしてとても大切なことです。「周りの同級生が就活をしているから自分もしなくちゃいけない」ではなく、自分を知るためにするものだと心得て、就活に向き合うといいと思います。
忙しい就活生のための就活の進め方がわかるコンテンツはこちら!
【マンガで読む】体育会系学生のための忙しくてもできる就職活動の進め方