鉄道・航空業界の「現在」と「未来」
鉄道旅客輸送は23%減。周辺ビジネスも打撃
総務省のサービス産業動向調査によると、2020年の鉄道事業の売上高は前年比40.0%減の4兆8,624億円と大きく減少した。国土交通省の鉄道輸送統計でも、2020年度の旅客輸送は前年度比23.2%減の約193億4,000万人だった。内訳は、JR各社が同22.7%減の約73億4,700万人、民間鉄道が同23.6%減の119億9,000万人。外出、移動の自粛やテレワークの普及、出張需要減、外国人旅行客の消滅などに加え、駅構内の店舗、駅ビルやホテルなど周辺ビジネスも打撃を受けた。
非鉄道分野を拡大。変動運賃制も検討
鉄道各社は終電の繰り上げなどでコスト削減を進める一方で、多角化を急ぐ。生活関連やITサービス、不動産の再開発など非鉄道分野の事業拡大を目指す。乗客獲得のため、飲食店などと連携してサブスクリプションサービスを始める企業も出てきた。
一方、大都市圏の混雑緩和策として注目されているのが変動運賃制だ。国交省が民間と検討を始めており、時間帯や曜日、季節などによって価格を変え、時差通勤の促進などにつながると期待されている。
国内の航空旅客は3分の1に。中堅航空2社が経営統合へ
旅客減は航空の方が深刻だ。国交省の航空輸送統計によると、2020年度の国内航空旅客数は、幹線とローカル線合わせて前年度比66.9%減の3,377万人と、およそ3分の1になった。国際旅客は同96.2%減の81万人だ。航空会社の経営苦境は世界的で、すでに海外では経営破綻や国の資本支援、合併などが相次いでいる。
国内でも、コスト削減を目指し北海道が地盤のAIRDOと、九州が地盤のソラシドエアが2022年10月の経営統合を発表している。
コスト削減急ぐ。バーチャル旅行など新サービスも
航空大手は、人員縮小や社員の社外出向などによるコスト削減を進める一方で、新たなサービスも始める。ANAホールディングスや日本航空が始めるバーチャル旅行だ。スマホなどを使って、自分のアバター(分身)が仮想空間内で国内外の観光スポットを疑似体験したり、現地の観光案内の映像を視聴できたりする内容。両社とも新サービスを非航空事業の柱とすると同時に、アフターコロナに向けた需要喚起策と考えている。国内外で始まったワクチンパスポートも需要喚起につながると期待している。