まちづくり関連企業特集

 まちづくりを取り巻く仕事や業界のトレンドについて、注目を集めるキーワードを取り上げながらご紹介します

複合開発

複合的なノウハウで魅力を創出し、
不動産の価値と
社会的な影響力を高める

複合開発

 東京ミッドタウンのような “一つの街”ともいえるような巨大施設を、どれだけ思い浮かべることができるだろうか。東京都心だけでも表参道ヒルズ・新丸ビルやイトシアなどの丸の内の有楽町エリアの再開発…。いずれも単なるオフィスビルではない。最先端のショップが競合し、世界中の料理が堪能できるほど多様な飲食店がひしめき、文化・アミューズメント施設があり、大抵は住居棟もある。そうした複合的な機能や役割を持つ施設の開発を「複合開発」と呼び、それは都市の大規模再開発の成功に、そして不動産業界の活況に大きく貢献してきた。もちろん、そこに集う人や暮らす人、働く人の便利さや楽しさ、そして開発する側のやりがいも大きく膨らませたことだろう。

 複合開発には、もう一つの意味があり、それは、さまざまな分野のノウハウや資金が複合化した開発であるということ。前述したような大規模事業を成し遂げるには、膨大な資金が必要で、人の集まる魅力的な商業性やレジャー性も必須。一企業だけで仕切るのは困難だ。そこで、不動産会社や建築会社などが手を組んで資金調達のための会社を設立する一方、建築家やプランナー、デザイナー、その土地を所有していた企業、流通業のプロなどが連携しながら、開発をまとめ上げていく。最近はテーマパークや大型ショッピングセンターを併設した複合開発も多く、多彩なプロが結集している。そして、その中枢を担うのは不動産会社のスタッフとなる。

 複合開発が次々と開花する背景には、バブル崩壊後、企業の生産拠点が地方に移転したり、倉庫や社宅、遊休地がリストラされて有効利用を求める土地が発生したこと、また、防災や環境保全などの観点から周辺地域と一体になった大規模再開発が必要になったことが挙げられる。殺伐とした倉庫群や工場の集積地が、一転して注目のスポットになって人を集める。土地の広さは同じでも、その価値はアイデア次第で飛躍的に高まり、社会現象にさえすることができる。その醍醐味とビジネススケールが、複合開発に携わる魅力なのかもしれない。

(画像素材:PIXTA)

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