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まちづくり関連業界の現在の状況や、注目を集める分野について、今後の業界の動向も踏まえて知っておきましょう。
【第6回】「賃貸」「管理」「不動産投資・運用」
INDEX
不動産の貸し借りや、活用のしかた

この連載の最初の回に不動産業界には「売買」のほか「賃貸」「管理」「不動産投資・運用」があると書いた。これまでは主に「売買」の話をしてきたが、今回はそれ以外の分野についての話をしよう。ちょっと毛色が違うイメージがあるが、いずれも注目の分野である。
賃貸物件の仲介、つまり、大家さんから賃貸物件を預かって、借り手を探すのが不動産賃貸業者の仕事である。皆さんの中にも、大学に入学してひとり暮らしを始めたときにお世話になった人もいることだろう。
このように、不動産を「借りる」人たちは「買う」人たちに比べると若い世代が多いので、必然的に賃貸業者も若い人と付き合う機会が多くなる。一方、貸す側の「大家さん」は年輩の方も多く、しかも一期一会の売買取引と違って長い付き合いになるのが特徴だ。世の中全体で「所有よりも利用」という考え方が強まる中、デザイナーズ賃貸やリノベーション賃貸、カスタマイズ賃貸、シェアハウス、民泊への活用など多様化するニーズも視野に入れておきたいところだ。
「管理」のカテゴリーには、賃貸管理業務と、マンション管理業務の2種類があるが、両者は全く別のものだ。
賃貸管理業務は、不動産を「貸す」側の人を相手にする仕事だ。マンションやアパートなどのオーナーから委託を受け、入居者の募集から賃料の回収代行、物件の管理、入居者管理などを一括して行う。入居者へのきめ細やかな配慮と、オーナーとの長く安定した信頼関係の両方が求められることになる。
2021年6月、賃貸住宅管理業法の「登録制度」が施行され、200戸以上の住宅を管理する業者は国土交通大臣の登録を受けることが義務付けられた。また営業所には「業務管理者」を1名以上置かなければならないと定められた。大量生産・大量消費のフロー社会から、価値あるものをつくって長く大切に使うストック社会への移行に伴い、賃貸管理業務の重要性が高まっていることがわかるだろう。
一方、マンション管理業務というのは、マンションの管理組合から委託を受け、管理業務を行う仕事だ。マンションには必ず管理組合を作らなくてはならないと法律(区分所有法)で決められており、ゴミの収集から共用部分の清掃、建物の大規模修繕まで、住民が安全に快適に、トラブルなく生活していくための業務を管理組合が行うことになっている。ただ実際はこれらの業務を一括して管理会社に委託することが多いのだ。
今や「マンションは管理を買え」という言葉があるくらい、マンション住民にとって管理会社の役割は重要だ。自宅がマンションだという人は、一度「管理会社」がどこで何をやってくれているのかに目を向けてみるといいかもしれない。
マンション管理業も不動産業(宅地建物取引業)と同じく勝手に行うことはできない。国土交通省のマンション管理業者登録簿に登録しなくてはならないと法律(マンション管理適正化法)で決められている。また、専任の「管理業務主任者」を置かなくてはいけないという定めもある。これまた、宅地建物取引士と似ている(詳しくはコラム第4回を参照)。
「不動産投資・運用」とは、いわゆる不動産の証券化に関わる仕事だ。投資家から資金を集め、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する。不動産関連の知識に加えて、投資や融資、金融に関する知識も求められる仕事である。 人生100年時代の今、長期的な資産形成への関心の高まりとともに注目される分野だ。
不動産業界に関心がある人は、これらの分野にも目を向けてみるとよいだろう。
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