まちづくり関連企業特集

 まちづくり関連業界の現在の状況や、注目を集める分野について、今後の業界の動向も踏まえて知っておきましょう。

【第10回】この業界に向いている人
(求められる人材)とは?

 このコラムもいよいよ今回で最終回を迎えることとなった。締めくくりに、これからの不動産業界ではいったいどんな人材が求められていくのかについて、これまでのまとめも兼ねて、考えてみることにしよう。まとめると、次の三つのポイントに集約されるのではないだろうか。

「人」が好きなこと

お客さんの人生に寄り添う

 人が不動産を買ったり売ったり、借りたりするタイミングは、多くの場合、その人の人生の節目に当たっている。その重大な局面に立ち会うのが、不動産にかかわる仕事をする者の宿命だ。ときに込み入った話にも耳を傾けねばならないし、大きな決断の背中を押さねばならないときもあるだろう。

 なにせ「高い買い物」である。お客さんの立場になってみれば、他のどんな買い物にも増して、信頼のおける会社、信頼のおける人と取引したいはずだ。

 コミュニケーションスキルが重要なことはこのコラムでも何度となく述べてきたが、その根底に必要不可欠なのはやっぱり「人が好き」という気持ちではないだろうか。逆にいうと、根底にそれがあれば、多少口下手だろうが何とでもなってしまうものだ。

好奇心旺盛で勉強熱心なこと

 不動産業は人と接する仕事であると同時に、モノを扱う仕事である。それも、一筋縄ではいかない「モノ」である。

 第8回のコラムにも書いたとおり、必要とされる専門知識の幅は広く、しかも限りなく奥が深い。いくら勉強しても足りないくらいだが、絶対に飽きないともいえる。

 したがって、ものごとをとことんまで突き詰めるのが好きな人には向いている世界といえそうだ。現に、この業界の先輩たちの中には、「買う予定があるわけでもないのに、モデルルーム巡りをするのが好き」とか「不動産の相場情報はチェックしてしまう習性がある」といった人も少なくない。「自称オタク」な人には案外適性があるかもしれない。

心身ともにタフで、
フットワークが軽いこと

「人生というドラマ」のクライマックスをお客さまと共演することもある不動産業者。それが醍醐味でもあるが、ときにヘビーなやりとりに及ぶことだってある。

 住宅というのは生活の基盤だから、いろいろなトラブルがあるし、中には深刻なものもある。一方、賃貸管理では「共用部分の電球が切れた」だの「トイレが詰まった」だの「粗大ゴミが放置してあった」だの、細かい要望だってある。 机上でいくら考えても始まらない。「現地に行ってナンボ」の仕事でもある。必要とあれば物件の所在地にでも、客先にでも、すぐに飛んでいけるフットワークの軽さも必要だ。

 どんな仕事でもそうだが、とりわけこの業界の仕事には、心身ともにタフであることが求められるだろう。

「衣食住」のうちの「住」を担う不動産業は、どんな人も一生に一度はかかわるであろう業界だ。もちろん経済動向の影響は受けるが、人が生き続ける限り「住む場所」や「働く場所」は必要だから、決してなくなることはない手堅い業界でもある。 人の生活の根幹を支える不動産業に優秀な人材が集まることは、それだけ社会が豊かになることにもつながるだろう。この連載コラムを読んで興味を感じた人は、ぜひ、チャレンジしてみて欲しい。

(画像素材:PIXTA)

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