まちづくり関連企業特集

 まちづくり関連業界の現在の状況や、注目を集める分野について、今後の業界の動向も踏まえて知っておきましょう。

【第4回】「宅建」は取ったほうがいいのか?

宅地建物取引士は必要不可欠な存在

 前回のコラムで「独立開業を目指してみてもいいかも」と書いたが、いきなり名乗りを上げさえすれば開業できるというわけではない。

 なぜなら不動産業(宅地建物取引業)には「免許」がいるからだ。店舗のある都道府県の担当の部署に、所定の手続きで申請し、免許を取得しなければならない(支店が二つ以上の都道府県にまたがる場合は国土交通大臣免許となる)。高額の取引であり高い信頼性が要求されるだけに、お墨付きのある業者でないと開業できない、ということである。

 不動産業者の事務所に足を踏み入れると、免許証番号などを書いた看板が掲げてあるのが目につくはずだ。これも目立つところへの掲示が法律で決まっているのである。

宅地建物取引業者票

 また、ある不動産業者を通してマンションの購入を検討している人が、「事前にその不動産会社のことを調査しておきたい」と考えた場合、「業者名簿の閲覧」をすることで詳しく調べることもできる。たとえば、その業者が東京都の免許を持っていたならば、都庁の管轄部署に行けば、その業者の役員一覧、貸借対照表および損益計算書、行政処分歴まで確認できてしまう。このように、不動産業者は自らを白日の下にさらしながら日々営業を続けているというわけだ。

 会社に対するお墨付きが「免許」だとすれば、人に対するお墨付きが「宅地建物取引士」の資格、俗にいう「宅建」である。不動産業者は店舗ごとに「5人に1人」の割合で専任の宅地建物取引士を置かなくてはならないと法律で決められていて、上記の標識にも名前が載っている。また、契約成立前に必ず行わなければならないとされている「重要事項説明」ができるのも、宅地建物取引士だけだ。

 このように、宅地建物取引士は不動産業者にとって必要不可欠な人材だ。もちろん資格さえあれば必ず不動産業界で就職できるという保証があるわけではないが、不動産業界を目指す人は取っておいて損はない資格だ。

 試験範囲は民法(主に契約関係)、宅地建物取引業法、都市計画法、建築基準法などの法律関係から税務、価格評定まで多岐にわたる。資格取得を目指して勉強すれば、不動産業界で仕事をしていくために必要な専門知識が一通り俯瞰できるだろう。

 試験は50問で正解率7割前後が合格ライン。ここ最近の合格率は約15%で、難化しているといわれている。それなりの準備が必要だが、仕事を続けながらでも合格することは十分可能だ。不動産業界に興味がある人は、トライしてみるのがお勧めだ。

 また、賃貸住宅管理業法の定めにより管理会社の営業所にも「業務管理者」を1名以上置くことが義務付けられたが、この業務管理者は、実務経験のある「賃貸不動産経営管理士」か一定の要件を満たす「宅建士」しかなることができない。今後、管理分野が伸びていくことを考えると、宅建士だけでなく、国家資格となった賃貸不動産経営管理士も有望な資格といえるだろう。

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