まちづくり関連企業特集

 まちづくり関連業界の現在の状況や、注目を集める分野について、今後の業界の動向も踏まえて知っておきましょう。

【第7回】建設業と不動産業、切っても切れない関係

「住宅をつくる」には、
さまざまなパターンがある

建売住宅と注文住宅

 今回は不動産の中でも「一戸建て」に着目してみよう。皆さんの中にも、「やっぱり住むならマンションより一戸建てがいいな」とか「将来は自分の好みの家を建ててみたいな」などと考えている人がいるのではないだろうか。

 「一戸建て」に住みたいと思った人が実際に夢のマイホームを手に入れるためには、大きく分けて次の二つの道がある。一つは、すでに出来上がった一戸建て(建売住宅)を購入する方法。そしてもう一つは、まず土地を手に入れて、そこに自分の好きな家(注文住宅)を建てる方法だ。

 「建売住宅」の販売は「不動産業」が取り扱う範囲だ。一方、「注文住宅」を建てるためには、まず設計事務所で図面を引いてもらって工務店に建ててもらうとか、ハウスメーカーなどにお願いしなければならない。いずれにせよそれは「建設業」の範ちゅうであり、不動産業ではない。ただ、そのために必要な「土地を見つけて手配する」のは不動産業者の仕事である。

 一戸建てを取り扱う会社は、「建売住宅」「注文住宅」どちらを希望するお客さんにも対応できるようにしているところが多い。たとえば、一戸建ての「建売住宅」を主に取り扱っている不動産会社には多くの場合、「注文住宅」の窓口もある。「やっぱり出来合いの家じゃなくって、自分の好きな家を建てたい」というお客さんの相談にも乗ることができるというわけだ。

 逆に、「注文住宅」を請け負うハウスメーカーには通常、「家を建てたい」というお客さんがやってくるわけだが、中には当然、まず「土地探しから力になって欲しい」という人だっている。そういう人のために、ハウスメーカーでは土地の売買も手がけていたり、土地を扱う不動産業者と提携をしていたりする。中には「うちの会社で家を建ててくださいね」という条件付きで土地を売っていたりもする。

 少し具体的にいうと、「建設業」と「不動産業」の重なりの部分には、たとえば以下のような会社がある。

・大手デベロッパーのグループ会社に、注文住宅を扱うハウスメーカーがあるパターン。
・大手ハウスメーカーが、今は注文住宅だけでなく建売住宅やマンション分譲にも進出しているパターン。
・地域密着型で比較的低価格の戸建分譲を大量に供給している業者が、注文住宅にも進出してきているパターン。
・賃貸物件を主に取り扱う会社が、賃貸アパート・マンションの建設なども手掛けているパターン。

 このように、建設業と不動産業との間には切っても切れない関係がある。建物の劣化や不具合への関心も高まっている今の時代、不動産会社に就職する人にも建築に関する知識が必要になってくるだろう。一方、ハウスメーカーに就職を希望する人には「衣食住の『住』に興味があるから、家づくりに関する仕事がしたい」と考えている人が多いかもしれないけれど、不動産業に関する知識もきっと求められることになる。

 不動産業界の中でもこの分野に興味を持っている人は、志望する会社が具体的にどのような業態なのか(分譲住宅中心なのか? 注文住宅も扱っているのか? 強い地域は? どんな家をつくって売っているのか? など)を調べておこう。そうすれば、入社した後にやる可能性のある仕事も、イメージしやすいだろう。

(画像素材:PIXTA)

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