規模が大きい鉱物・金属材料など。どの業態もM&Aが活発
経済産業省の商業動態統計によると、2023年の卸売業で規模が大きいのは、鉄鋼や燃料などの鉱物・金属材料(約74兆円)、食料・飲料(約63兆円)、発電機や電子部品などの電気機械器具(約57兆円)、医薬品・化粧品(約34兆円)、化学製品(約26兆円)など。ただ、国内需要の頭打ち、海外展開の活発化などにより、どの業態でもM&A(合併・買収)が目立つのが特徴だ。
このうち、特に業界再編が進んだのが医薬品商社だ。医療用医薬品は薬価改定が毎年行われ、価格が下落傾向にあることに加え、他社との差別化が困難なことから、競争が激化。調剤薬局チェーンで小売りを展開する企業も目立つ。規模の拡大による大量仕入れなどでコスト低下などを狙ってM&Aが相次いだ。この結果、日本医薬品卸売業連合会会員企業(本社ベース)は1992年で351社だったが、2024年には69社に減少。それでも、激しい競争が続いており、業界の営業利益率は23年で0.8%と低いのが課題だ。
鉄鋼商社は、卸売りだけでは利益率が低いため、鉄鋼をコイル状に巻いて納入先の要請に応じて加工するコイルセンターを展開して付加価値を挙げている。金属商社は、金属地金と加工商品を扱うが、大手は鉄鋼と金属の両方を扱う。この業態は総合商社系、メーカー系、独立系に大別できる。特に内需の先行き停滞を見越し、各社とも海外市場の開拓に力を入れている。
一方、半導体・電子部品商社は、半導体の単価下落などにより、ソフトウエアを組み合わせたシステム販売、電子機器の受託製造などに乗り出している。この業態も国内市場の縮小、外資系商社による日本事業拡大などで再編機運が高まっている。