
- トップ
- 就活準備
- 業界研究・職種研究 徹底ガイド
- 業界研究 徹底ガイド
- 商社業界
- 商社業界
商社業界
INDEX
業界の現状と展望
商社業界を理解するポイント
- 豊富な品ぞろえと専門知識が特徴 の専門商社
- 国内流通を中心とした卸売業
- 年々規模が拡大するEC市場だが、物流が課題に
得意分野で特長を発揮する専門商社・複合商社
「ラーメンから航空機まで」の言葉で知られ、ありとあらゆる商材を手がける総合商社に対して、特定分野の商材を手がけるのが専門商社。食品・鉄鋼・機械・繊維などの大手メーカーや総合商社の一部門が独立したり、特定分野の商品を取り扱う卸売業者の規模が拡大した企業であることが多い。得意の分野で高い専門知識や豊富なノウハウを持っており、潤沢な品ぞろえと、きめ細かな対応も専門商社の特長といえる。
専門商社の中には多角化でいくつかの分野を併せ持ち、事業展開する企業もあり、こうした商社は複合商社や複合型専門商社とも呼ばれている。
取扱商品の輸出入や国内販売がコア業務になっているが、近年は、商品企画やマーケティング、油田や鉱山での資源開発などにも出資。出資に応じた権益投資(投資比率に応じて収益の分配を受けるビジネスモデル)など新たなビジネス展開にも積極的である。また、通信販売・ネット販売の世界では、電子商取引を行っている企業も多く、近年、その市場規模は急速に拡大している。
M&Aで規模を拡大し、積極経営に打って出る専門商社
専門商社は大きく、食品、鉄鋼、機械・半導体、繊維、化学、医薬品、日用品、燃料・エネルギーの8つの業種に分類できる。中でも比較的規模が大きいのは鉄鋼、医薬品、食品の専門商社で、メーカーから商品を仕入れて、小売店に販売するのが主な業務だ。主に、海外の顧客と取引を行う企業を専門商社と呼び、国内の顧客と取引を行う企業は卸売業と呼ばれている。
ポイント
規模の大きい鉄鋼、医薬品、食品の専門商社では、売上が1兆円を超える会社が多数あります。経済産業省の商業動態統計速報によれば、2024年の商業販売額は前年比3.2%増の612兆9,760億円、うち卸売業は同3.4%増の445兆7,970億円、小売業は同2.5%増の167兆1,790億円となっています。
専門商社の特徴は得意分野に特化した専門知識だが、業種によっては国内市場だけではすでに飽和状態にあり、盛んにM&Aが行われている。規模や領域を拡大することで、メーカーとの交渉力の強化、新製品開発の提案、積極的な海外展開などの実現性が高まるため、今後も業界再編の傾向は続くと見られる。それぞれの企業が特長を生かせる独自の取り組みがますます求められている。

通販市場ではECが好調だが宅配に課題も
流通企業のECサイトへの注力やスマートフォンの幅広い年齢層への普及もあり、スマートフォンやタブレット端末を使ったショッピングは拡大傾向にある。一方で、カタログ通販、テレビ通販、ラジオ通販は、徐々にECへシフトすると予測されている。
ポイント
総務省の家計消費状況調査によれば、2021年のインターネットを通じて注文した世帯当たりの支出総額(月間)は3万5,470円でしたが、2022年は3万9,443円、2023年は4万2,937円と着実に増加しています。
しかし、店舗販売から通信販売へのシフトによる宅配量の激増に加えて、当日配送や無料配送、再配達の時間指定といった手厚い宅配サービスの提供の裏側で、宅配便のドライバー不足が深刻だ。もともと運送業界のトラックドライバーは全体的に不足気味であったが、通信販売の利用者が増え宅配便が日常生活に欠かせない存在になり、一気に注目を浴びることとなった。
通信販売の増加に伴う宅配便需要は今後も増え続けることが予想されており、さらに物流・運送業界の「2024年問題(これまで猶予されていた長時間労働に上限が課されることによる、人手不足や物流・運送の停滞可能性などの諸問題)」もある。自分が購入した商品をいかに確実に効率よく受け取るかが課題で、「宅配ボックス」の充実や、購入者が在宅であれば、ポイントを付与するなど、何らかのインセンティブを与える方法も検討されている。
資源の高騰や円安の影響を価格転嫁できるかがポイントに
もともと安定的な特定顧客を営業基盤に持つ専門商社業界では、コロナ禍でも比較的影響が少なかったという声もあるが、外食産業向けの食品や飲料、化粧品関連など影響が大きかった商社も少なくなかった。その後、市場は大きく改善しているが、資源高と円安の影響で原材料価格の高騰が続いている。今後は、こうした高騰分を価格に転嫁できるかどうかが、各社が成長できるかどうかの分かれ目になりそうだ。
また、メーカー側や小売り側も、原材料価格の高騰という同様の問題を抱えており、今後はいわゆる「商社中抜き」が進む可能性もあり、専門商社ならではの独自のサービスや取扱商品の充実などが求められている。
業界関連⽤語
二次流通市場
企業が商品を仕入れて店舗やネットなどで新品を販売するのが一次流通。対して、古着や古本、中古車などのいわゆる中古品の売買が二次流通。かつては一部のジャンルに限られ、市場規模もそれほど大きくなかったが、ネットオークションやフリマアプリの浸透により、一般消費者同士が直接取引を行うCtoCの市場が急拡大している。また、アパレル業界のように、一次流通企業が二次流通事業に本格的に進出するケースもあり、企業にも柔軟で大胆な対応が求められている。
ネット決済代行
近年はネット環境の整備もあり、オンラインでの決済が主流になっている。そんな中、年々拡大しているのが、ネット決済代行サービス市場。
クレジットカード決済、コンビニ決済、携帯キャリア決済などさまざまな決済方法を一括の契約とシステムで提供する。販売側は、決済方法の導入に伴う面倒な事務処理が軽減でき、購入者側は利便性のある決済方法を選択できるので、双方にメリットがある。
ネットスーパー
インターネットで注文を受け付け、品物を宅配するサービス。既存の大手スーパーマーケットが次々とサービスを開始しており、「現代の御用聞き」ともいえる。一定の締め切り時間までに注文すれば当日中に配達が可能で、一定額以上の注文なら配達料も無料になるところが多い。超高齢化社会の今、会員が順調に増えており大手ネット通販業者が参入を始め、競争が激化している。
BtoB通販
拡大を続ける電子商取引(EC= Electronic Commerce)は大きく、BtoB・BtoC・CtoCの3つに分けられる。
BtoB(Business to Business)は、企業が企業向けに行う通信販売、BtoC(Business to
Consumer)は企業が一般消費者向けに行う通信販売のことをいう。
CtoC(Consumer to Consumer)は、ネットオークションなどの一般消費者同士の取引のことをいう。
BNPL
BNPLとは、「Buy Now Pay Later」の略で、文字通り、今買って後で支払う、後払いのこと。近年クレジットカードに代わるサービスとして、ECサイト利用者から注目を浴びている。クレジットカードと同様、決済手数料は加盟店が負担するが、基本的に分割手数料が無料になることがクレジットカードとの大きな違い(内容は企業や受けるサービスによって異なる)。ECサイトの利用者が増えていることや、クレジットカードがなくてもECサイトで買い物ができること、分割手数料が無料なことなどもあり、利用者は拡大傾向にある。スウェーデンのKlarna、米国のAffirm、オーストラリアのAfterpayといったフィンテック企業が市場拡大をけん引している。矢野経済研究所の調査によれば、BNPL市場は堅調に拡大しており、2023年度の取扱高は1兆4,282億円と予測。2026年度には2兆1,456億円に拡大すると予測している。
どんな仕事があるの︖
商社業界の主な仕事
営業
良い製品を売りたい企業と買いたい企業を開拓して結びつけ、適正な価格設定や仕入れ数量の調整、流通経路の確保などを行う。グローバルに活躍するため、語学力も必要。
商品開発
コアターゲット層を見極め、消費者が欲しいと思う商品の開拓、オリジナル商品の開発を行う。
制作
テレビ番組やインターネットサイト、カタログなど、販売ツールの媒体に応じてコンテンツを企画・制作する。
WEBディレクター
ネット通販において「店舗」でありマーケティングツールであるWEBサイトのデザイン、構築を手がける。
カスタマーサービス
顧客からの商品に対する問い合わせへの対応や意見を受け付ける。苦情、要望をすくい上げ、改善策を講じる。
媒体営業
自社の商品を紹介するためのテレビや雑誌などの枠を確保する。
※原稿作成期間は2024年12⽉28⽇〜2025年2⽉28⽇です。