
- トップ
- 就活準備
- 業界研究・職種研究 徹底ガイド
- 業界研究 徹底ガイド
- サービス・インフラ業界
- 人材サービス(派遣・紹介)業界
人材サービス(派遣・紹介)業界
業界の現状と展望
人材サービス(派遣・紹介)業界を理解するポイント
- 企業の要望に応じた人材の紹介や派遣を行う
- 人材不足を感じる企業は多く、人材ビジネスへの需要は高い
- DX人材や即戦力人材へのニーズは高い
- 人手不足は多くの事業者に共通の悩み

企業の求めに応じて必要な人材を派遣、紹介する
人材サービス業界では、「仕事量が急に増えたので人材を確保したい」、「新規事業の立ち上げに当たって、必要な能力を持った人を何人か集めたい」といった企業の要望を聞き、最適な人材を派遣・紹介・あっせんしている。
また、求める人材を効率的に採用したい企業と、自分に合った仕事や働き方を探す人、双方のニーズを聞きながら、納得のいく出会いをサポートすることも人材サービスの仕事だ。
具体的には、求める人材を必要に応じて派遣する「人材派遣」や、企業の業務の一部を丸ごと請け負う「アウトソーシング(業務請負)」、即戦力となる人材を紹介・あっせんする「人材紹介」などがある。
大手企業ではこうしたサービスを総合的に手掛けるが、中小企業では、技術系派遣やアルバイト求人など、得意な業種や職種に絞ってサービスを提供している会社が多い。
ポイント
近年話題の「アルムナイ採用」。アルムナイとは卒業生や同窓生という意味で、「アルムナイ採用」は自社を一度離職した人を中途社員として再雇用する採用手法です。終身雇用が前提の時代では、一般的ではありませんでしたが、自社をよく理解している、採用や教育にかかるコストを抑えられるなどのメリットもあり、採用戦略の1つとして注目されています。
人材不足感は根強く、人材ビジネスへの需要は高い
矢野経済研究所の調査によれば、2023年度の人材関連ビジネス主要3業界(人材派遣業、ホワイトカラー職種の人材紹介業、再就職支援業)の売上高は、前年度比6.3%増の9兆7,156億円と増加。内訳は、人材派遣業市場は同5.9%増の9兆2,800億円、ホワイトカラー職種の人材紹介業市場は同17.1%増の4,110億円、再就職支援業市場は同0.4%増の246億円となった。人手不足感の強まりに伴う企業からの需要が高まっており、人材派遣業と人材紹介業は堅調に推移している。コロナ禍の収束によって需要に一服感がみられる再就職支援業だが減収とならなかった。
人材派遣業市場では、ほとんどの業界・業種において人材需要の高まりが継続し、中でもIT関連職種や介護職等の領域で需要の高まりが顕著。ホワイトカラー職種の人材紹介業市場においても採用意欲は高く、中でもITエンジニアや即戦力人材などの採用意欲は強かったとしている。
2024年度については、前年度比5.6%増の10兆2,602億円とプラス成長を見込んでいる。業種・業界や従業員規模にかかわらず多くの企業で人材不足は続いており、人材ビジネスに対する需要は高まっていくとしている。
また、人材ビジネス市場においても生成AIをはじめとするデジタル技術の活用が進むことで、新たなサービス開発が進むとも指摘。事実、AIを活用したマッチングサービスを開始している企業もある。
ポイント
人手不足は深刻で、事業継続を断念するケースも増加傾向です。帝国データバンクの「人手不足倒産の動向調査(2024年)」によれば、2024年に従業員の退職や採用難、人件費高騰などを原因とする人手不足倒産は342件と、2年連続で過去最多を更新しました。人手不足を感じている企業の割合は52.6%で(2024年12月時点)、高止まりが続いています。
業界関連⽤語
ハローワーク
厚生労働省が管轄する機関で、公共職業安定所ともいわれる(職安といわれることが多かった)。求職者には就職や転職の相談・指導、職業紹介、雇用保険の受給手続きなどを行い、雇用主には雇用保険、助成金や補助金の申請などのサービスを提供している。ただし、原則的に民間の職業紹介会社のように求職者から手数料・紹介料を徴収することは禁じられている。
非正規雇用者
そもそも正規雇用者とは、「雇用期間の定めが無い」、「労働時間がフルタイム」、さらに「雇用主と直接雇用契約を結ぶ」などの条件を満たした雇用者を指す。こうした条件を満たさないパートタイマーや派遣労働者、雇用期間が定められた雇用者などを非正規雇用者と呼んでいる。
総務省統計局の「労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)平均結果の要約」によると、2024年平均の正規の職員・従業員数は3,654万人と10年連続の増加、非正規の職員・従業員数は2,126万人と3年連続の増加となった。役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は36.8%と前年比0.2ポイント減となっている。
紹介予定派遣
正社員や契約社員といった直接雇用を前提に、まずは一定期間(3カ月から6カ月程度)派遣の形で就業。期間終了後に、自身と企業双方の希望が一致すれば直接雇用に切り替わるシステム。紹介予定派遣では、派遣会社から求人を紹介されるので就職活動の手間が省けることや、職場の雰囲気が実際につかめるといったメリットがある。
シルバー人材
人材の確保がますます困難になり人手不足が予測される中、不足分を埋める労働力として期待されているのがシルバー人材といわれるシニア層。65歳以上の高齢者になっても働きたいと考える人も多く、近年はシルバー人材の派遣や紹介を中心とする事業者も増えている。
同一労働同一賃金
正規・非正規という雇用形態にかかわらず、同じ仕事なら同水準の賃金を支払うという考え方で、2020年4月(中小企業は2021年4月)から適用された。直接的な罰則規定は無いが、非正規雇用労働者の賃金が低かったり、通勤交通費がもらえなかったりするなどの待遇差の解消が期待される。
ジョブ型雇用
日本企業の多くは、採用時に職種や勤務先を限定せずに、総合職として採用するメンバーシップ型雇用が主流。長く勤めて退職金をもらう給与体系や、異動を通じて職種や仕事内容を変えることで適性を見極める人事・研修制度を取り入れている。一方で、ジョブ型雇用とは、特定の職務内容に適したスキルや経験を持った人を採用する雇用方法のこと。
年齢や学歴と関係なく、企業が求めるスキルの有無が評価ポイント。給与は、担当した業務であげた成果に応じて決められることが多い。これまでのメンバーシップ型雇用では、幅広い知識や経験は得られるが、スペシャリストとしての専門職人材が育ちにくい、変化や進化のスピードが速い現代にそぐわないなどの考え方もあり、ジョブ型雇用を積極的に導入する企業が増えている。
人的資本経営
経済産業省のサイトには、「人的資本経営とは、人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。」とある。これまで企業の多くは、人材をコストとして消費する『資源』の1つと捉え、可能な限り効率的に使うという観点でコスト管理することを意識した経営手法だった。一方で、人材は『資源』ではなく、利益や価値をもたらす『資本』として捉え、人材に投資することが新たな価値を生み出し、利益として企業に還元されるとする考え方に基づいた経営が、人的資本経営と言える。近年は、投資家からも人的資本経営に関する取り組み状況を開示するよう求められており、「人的資本、多様性に関する情報」(女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金格差など)の開示が2023年3月31日決算の有価証券報告書から求められている。
どんな仕事があるの︖
人材サービス(派遣・紹介)業界の主な仕事
企画営業
顧客企業の人材ニーズをヒアリングし、人材ソリューションを企画・提案する。また顧客企業で働く派遣スタッフのフォローも行う。
コーディネーター
企業の求める条件と派遣登録スタッフの希望条件を引き合わせ、マッチングを行う。
キャリアコンサルタント
転職希望者に職業紹介を行う際、スキルや希望条件を聞き、分析した上で、その人物にマッチした求人情報を紹介。採用までサポートする。
ジョブカウンセラー
派遣先でのトラブルの相談に乗るなど、派遣企業で就業中の派遣スタッフをサポートする。
業界地図でもっと詳しく知る
人材サービス(派遣・紹介)業界の企業情報
※原稿作成期間は2024年12⽉28⽇〜2025年2⽉28⽇です。