建設・設備関連業界の「現在」と「未来」
2020年度建設投資63兆円。政府投資は堅調
国土交通省によると、2020年度の建設投資額は、前年度比3.4%減の63兆1,600億円と、2年ぶりに減少する見通しだが、60兆円台の高水準を維持している。内訳は、政府投資が同3.1%減の25兆6,200億円、民間投資が同7.3%減の37兆5,400億円。建設経済研究所と経済調査会が発表した21年度の投資額は、同1.7%減と、コロナ禍下でも大きな減少は見込んでいない。中でも政府投資は、毎年のように起きる自然災害対策への工事需要に加え、2025年の大阪万博プロジェクトなどもあり、堅調な推移が見込まれている。
ただ、民間投資の約4割を占める住宅投資は人口減少などにより、今後は大きな上昇は見通せない状況だ。
建設業者は約47万社。ゼネコン頂点のピラミッド構造
建設業は大きく建築と土木に分けられ、その両方を手掛ける企業がゼネコン(GeneralContractor)で、ゼネコンの中で主に大手5社がスーパーゼネコンと呼ばれる。道路やトンネルなどに加え、マンションやビル、さらにはテーマパーク、競技場などの大規模工事も手掛ける。日本建設業連合会によると、国内の建設業者数は19年度で約47万2,000社と減少傾向にある。事業規模別では、資本金1億円以上の企業割合は1.2%と、大半が中小零細事業者だ。スーパーゼネコンを頂点として、準大手、中堅、そして中小事業者というピラミッド構造となっている。
「i-Construction」で効率化。スーパーゼネコン3社も技術連携
建設業が抱える課題は人手の確保。屋外工事が多く、労働環境が厳しそうなどの印象から若者の人気が低下。55歳以上の割合が35%と、他産業に比べ高齢化している点もある。国交省はこうした現状を打破しようと、ロボットやICT技術などを活用して作業効率化、人手不足などに対応する「i-Construction」を打ち出した。調査、測量から設計、施工、さらには原材料調達、運搬などに至るまでロボットやICT、AIなどを使い、生産性向上と人手の削減を目指す。17年には産学官によるコンソーシアムも設立し、ITなど他の業界も交えて新技術開発や企業間連携を進める。
さらに、鹿島建設、清水建設、竹中工務店の3社は20年10月、ロボット施工やIoT分野で技術連携することで合意。ほかの企業にも積極的に参加を呼び掛け、業界全体の生産性向上やコスト低減を目指している。