業務純益は10年前から3減。国も支援策で再編後押し
全国地方銀行協会によると、地銀の2020年度決算(62行の単体ベース)で、本業の利益を示す業務純益は、前年度比1.3%減の9,633億円と2年ぶりに減少した。10年前と比べ約3割減だ。経常利益は同1.9%減の8,447億円と、5年連続のマイナス。
人口減による地方経済の疲弊や、長引く超低金利などが要因だ。今後も劇的な回復は難しいことから、国は再編によって1行当たりの体力増強を図る。具体的には、2020年には独占禁止法の特例で、同じ地域で営業する地銀同士の合併を認めることにした。21年5月には、合併に踏み切る地銀を支援する改正金融機能強化法が成立。システム統合費用などを支給する。
日銀も金利上乗せで支援。SBI、りそなも支援に一役
日本銀行も21年3月、収益力を高めるために経営統合を決めた地銀に対し、3年間の期限付きながら、日銀当座預金の残高に0.1%の金利上乗せを実施している。
異業種との連携も出てきた。総合金融グループのSBIホールディングスは第4のメガバンク構想を掲げ、「SBI地銀ホールディングス」を設立し、これまでに7行の地銀に出資。出資先を10行程度増やす計画だ。さらに、日本政策投資銀行や地銀2グループなどと共同で「地方創生パートナーズ」を設立し、地銀の大きな役割である地方創生を支援する。
地銀をめぐっては、個人取引を重視してきたりそなホールディングスが、関西アーバン銀行など3行を傘下に持つ関西みらいフィナンシャルグループを完全子会社化。常陽銀行と足利銀行を傘下に持つめぶきフィナンシャルグループとは、デジタル分野で業務提携してアプリを共同利用するなど、メガバンクを交えた再編の動きも出ている。
地域経済にとって、地銀は重要な役割を持っている。地域産業の資金繰りを支えるだけでなく、成長分野への業態転換支援などが必要で、自主独立か連携かを迫られている。