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化学・石油業界

業界の現状と展望

生活に必要なあらゆる製品に関わる、化学・石油業界

生活に必要なあらゆる製品に関わる、化学・石油業界

化学業界では、仕入れた原材料に化学反応技術を加えることで、新たな素材・製品を生み出している。そのため、その分野は多岐にわたり、例えば石油や石炭、天然ガス、水、空気、植物、金属、非金属、陶磁器、パルプなどの多種多様な原材料を、プラスチックや合成ゴム、化学繊維、電子材料、農薬、医薬品、化粧品、ガラスなどに変えている。中間財一次製品と呼ばれる製品が中心になるが、化粧品や洗剤などのように消費者が直接手にする最終製品を手がける会社もある。

一方、石油業界は、大きく川上・川中・川下に分けられる。川上は油田の探査や採掘原油生産を行い、川中では原油精製・加工によるナフサなどの石油製品の生産を、川下では石油製品の流通や販売を行っている。かつてはセブン・シスターズ(またはエイト・メジャーズ)と言われる欧米の大手石油会社(石油メジャー)が、原油生産のほとんどを独占していたが、現在は新セブン・シスターズとも言われる、サウジアラビアやマレーシア、ロシア、中国などの国営企業の存在感が増している。

基礎化学品と機能性化学品

化学業界は、古くは肥料や染料の製造から始まり、その後、技術の進歩や石油精製品の拡大などもあって、医薬品や合成繊維、産業用ガスなど事業領域を拡大。いまでは、航空機やエレクトロニクス産業、自動車産業などの分野へも製品を供給し、製造品出荷額では製造業全体の約9.0%を占める大きな規模となっている。

そして製品は、大きく基礎化学品機能性化学品に大別される。基礎化学品は、ナフサから精製するエチレンやベンゼンをはじめとする石油化学製品や、ポリエチレンにポリプロピレン等の合成樹脂、アンモニアやカセイソーダといった工業薬品、窒素や酸素等の産業用ガスなどがある。一方、基礎化学品を原料に、いろいろな化学反応や配合などを行うことで造る、耐熱性や耐薬品性など、基礎化学品では満たせない高い機能を持つ製品が機能性化学品だ。

化学会社は、事業内容に応じて、基礎化学品を主に手がける基礎化学専業メーカー機能性化学品を手がける機能性化学専業メーカー、その両方を手がける総合化学メーカーに分類される。
基礎化学品は製造プロセスが比較的単純で、メーカーごとの特性差が少ないため価格競争となりやすい。そのため企業には、より安い原材料の入手や製造設備の効率的稼働など、コスト戦略が求められる。
機能性化学品は、クライアント(納入先)の業種が多岐にわたるだけでなく、例えば耐熱性など、前述のように性能に対する要求もさまざまで、多品種少量生産を特徴とする。そのため、クライアントとメーカーが一体となって製品開発を行うケースも多い。一つ一つの取引規模はそれほど大きくなくとも、製造に当たっては専門の技術独自のノウハウが必要となるため、他社が新規参入することは容易ではない。

コロナ禍における化学・石油業界

化学業界は、多種多様な製品を製造し、取引先も多岐にわたるが、自動車業界を主要取引先とする企業が多く、新車の販売実績が業績に与える影響は大きい。コロナ禍で一時的に操業を停止した自動車メーカーも多かったが、その後、自動車生産は回復傾向にある。今後は、待ったなしの電気自動車の生産増に伴う、電池用部材の需要拡大や、世界的に不足が続く半導体関連産業向けの製品需要の取込みが期待できる。

石油業界では、コロナ禍の影響による世界的な経済活動の縮小で、石油需要は一気に後退。現物の貯蔵容量がいっぱいで買い手が現れなかったという特殊事情もあるが、2020年4月20日にはWTI先物原油価格が-37.63ドルと、史上初めてマイナス価格を記録した。
しかし、石油需要は経済活動の回復に歩調を合わせて徐々に回復、2021年10月には84ドルを超える水準まで上昇。原油価格高騰を受けて、アメリカが主導する形で、日本や中国、インドなどの国々が石油の戦略的な国家備蓄の一部を放出すると発表した。

国内の石油業界は規模も大きく安定的なイメージがあるが、国内で生産される原油は使用量の1%にも満たず、ほとんどを海外からの輸入に依存。原油価格や為替の変動が各社の収益に影響するだけでなく、日本経済全体への関りも大きい。また、再生可能エネルギーの導入促進、EV水素自動車の普及など、世界的に脱炭素の潮流は加速しており、右肩上がりの需要増は見通せないのが現状だ。各社はM&Aや製油所の統廃合などで経営の合理化を進めると同時に、石油以外のエネルギー関連商品やサービスを総合的に提供する企業として、非石油事業の育成を急いでいる。
水素やアンモニアなど、脱炭素の切り札の一つと考えられている製品の製造の関わることも多く、カーボンニュートラルの観点からも化学・石油業界が担う役割は非常に大きく、注目の業界と言える。

業界関連⽤語

グリーン水素

燃焼しても化石燃料のようにCO2を排出しないことや、石炭や石油、食品廃棄物、下水汚泥など様々な資源から造れることが特徴の水素。これまでも、研究開発は進んでいたが、近年、水素エネルギーの活用に向けた動きが各国で加速している。水素の製造には様々な方法があるが、中でも、太陽光や風力などの再生エネルギーの電力で水を電気分解して製造する水素はグリーン水素と呼ばれ、究極のクリーンエネルギーとして期待が高い。
ちなみに、製造過程でCO2の排出が伴う水素はグレー水素、そのCO2を回収して貯蔵などをする場合はブルー水素と呼ばれる。

バイオプラスチック/生分解性プラスチック

生物資源からつくられたプラスチックで、主にトウモロコシやじゃがいもなどのでんぷんを原料としている。バイオプラスチックの多くは、生分解性プラスチックとしての性能を持ち、微生物によって最終的に水と二酸化炭素に分解されるため、産業廃棄物とならず、自然環境への負荷が少ない。プラスティックゴミによる海洋汚染が問題視されていることもあり、政府では海洋中で生分解する「海洋生分解性プラスチック」等の開発・導入・普及促進に取り組むとしている。なお、現状ではすべての生分解性プラスチックが、土や海の中で分解されるわけではなく、高温にするなど一定の条件下でなければ分解されない製品もある。後者は燃焼されることも多いが、二酸化炭素を吸収した植物由来のため、実質的に大気中の二酸化炭素を増やさないカーボンニュートラルに寄与している。

天然資源化学

これまでの石油化学は文字通り石油を主役としていたが、いまでは石油だけでなく、石炭や天然ガス、バイオマス、シェールガスといった幅広い天然資源を利用する「天然資源化学」の時代へと進展している。例えば、これまでの日本の石油化学では原油を精製したナフサを主原料にしていたが、米国ではシェールガスを原料にしたエタンにシフトしつつある。また、中国では安価な石炭を原料にした「石炭化学」を国策的に推進している。

ナフサ

原油の蒸留で得られる石油精製製品で、ガソリンの一種。自動車や航空機などの燃料や石油化学製品の主原料として利用されている。国内でも原油を精製して製造しているが、その半分以上をUAE、カタール、韓国、インド、クウェートなどから輸入している。

ナフサの価格は原油価格に連動しているため、価格変動の影響が大きい。各社とも収益の安定化にはナフサ以外の原料を使う割合を高めることも必要だと考えており、そのための研究・努力を行っている。

アクアマテリアル

東京大学の相田卓三教授らが開発した、98%が水でできている新素材。固まると適度な硬度を持ち、型にはめて自由な形に加工することもできる。アクアマテリアル同士を張り合わせると分子同士が接合するという特長もあり、さまざまな用途での活躍が期待されている。環境に優しい素材として注目を集めている。

シェールガス

シェールガスとは、泥土が堆積した頁岩(けつがん=シェール)層から採取する天然ガス。従来のガス田とは異なる場所から採れることから、非在来型天然ガスとも呼ばれる。採掘が難しいので放置されてきたが、近年技術革新が進み低コストでの採取ができるようになり、低価格での天然ガス供給が可能となった(シェールガス革命)。なお、2013年6月におけるEIA(米国エネルギー情報局)の発表では、世界のシェールオイル可採埋蔵量は3,450億バレルと推定。1位はロシアの750億バレル、2位はアメリカの580億バレル、3位は中国の320億バレルとなっている。

どんな仕事があるの︖

化学・石油業界の主な仕事

・営業
化学素材を、顧客である素材メーカーや卸会社に提案・販売する。

・資材調達/購買
各工場やプラントからのニーズを取りまとめて、国内外から原料や薬品を仕入れる。

・基礎研究
自次世代向け製品に役立てるため、最先端技術の研究を行う。

・生産管理
スケジュールや計画を立てて、スムーズに生産できるよう手配をする。 ・プラント/設備設計
製品をつくるための工場やプラントを、スタッフがスムーズに効率よく働けるように設計する。

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化学・石油業界の企業情報

※原稿作成期間は2021年12⽉23⽇〜2022年2⽉28⽇です。

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