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ゴム・ガラス・セラミックス業界

業界の現状と展望

自動車やデジタル家電、建築業界を支える素材

自動車やデジタル家電、建築業界を支える素材

ゴム業界は、自動車用タイヤやチューブ、工業用ゴムなど、個人顧客やメーカー向けにさまざまな製品を、ガラス業界は、板ガラス、容器ガラス、カメラなどに使われる光学ガラスなどを、セラミックスは、半導体や電子部品で利用され、自動車や半導体業界を中心にさまざまな業界で底堅い需要がある。

日常生活から宇宙探査まで、さまざまな分野の機器に欠かせないファインセラミックス

粘土や石灰岩などの非金属材料を高熱処理して焼き固めたものがセラミックス。もともとは陶磁器を指すが、広い意味では耐火物、ガラス、セメントもセラミックスに含まれる。なかでも、産業向けに開発された、より精度や性能が優れたセラミックスファインセラミックス。京セラのWEBサイトでは、『「精選または合成された原料粉末を用いて、精密に調整された化学組成」と「十分に制御された製造プロセス」によってつくられた高精密なセラミックス』としている。ファインセラミックスの用途は、包丁やボールペンのように日常の暮らしの中にある身近な製品から、スマートフォンやパソコンなどの電子機器、半導体製造装置スーパーコンピューターなどの産業用機器、さらには深海や宇宙でも活躍している。
日本ファインセラミックス協会の「ファインセラミックス産業動向調査(2023)~速報~」によれば、2022年のファインセラミックス部材の生産総額は、実績値で前年比1.8%増の3.6兆円と5年連続で3兆円を上回った。背景には、半導体不足の緩和、個人消費や経済活動の回復などがある。総額の約7割を占める「電磁気・光学用」部材が前年比0.9%増となっただけでなく、「機械的」や「熱的・半導体関連」もそれぞれ、同2.0%増、12.0%増と堅調だった。
なお2023年度は一転、前年比6.5%減の3.4兆円を見込んでいる。

https://www.jfca-net.or.jp/contents/index/66

国内事業環境が厳しいセメント業界。海外市場の開拓や非セメント事業も強化

セメント産業は巨大な装置と広大な敷地を必要とする、典型的な装置産業。その歴史は構造改革と再編の歴史で、共同事業会社の設立や大型合併を行い、時代の流れと要請に応じて産業構造そのものを変化させてきた。現在は上位5社で、約9割のシェアを占めている。工場は北海道から沖縄まで全国に分布しているが、セメントの主原料となる石灰石資源が豊富な北九州地区、山口県と国内最大の消費地を抱える関東地区に多い。石灰岩は需要のほぼ全てを国内でまかなえる数少ない資源の一つとしても知られている。

業界を取り巻く環境は厳しく、1990年度に8,629万トンあった国内需要は、近年は4,000万トンを下回る程度で推移している。国土強靭(きょうじん)化事業リニア中央新幹線、東京や大阪など大都市圏の大規模再開発事業、物流施設、倉庫など、コンスタントな需要は期待できるが、かつてほどの勢いはなく事業環境が厳しいことは変わらない。一般社団法人セメント協会では、2023年セメント国内需要は、前年比5.6%減の3,538万トンとしている。各社は、経営の合理化に加えて、事業の統合(近年では2022年4月の三菱マテリアルと旧宇部興産のセメント事業の統合)、海外市場の開拓、非セメント事業での収益確保などにも力を入れている。

EVシフトや環境に配慮した製品への対応は新たなビジネスチャンスに

自動車一台の部品点数は約3万点といわれており、タイヤやクッション部材などのさまざまなゴム製品を提供するゴム業界、ドアやフロント部分に大きな板ガラスを提供するガラス業界においては、自動車業界との関わりは極めて強い。コロナ禍では、自動車の製造・販売が減少した影響をダイレクトに受けることとなったが、製造・販売台数の回復は鮮明になっており、ゴム業界やガラス業界の需要も回復傾向にある。
また、加速するEV(電気自動車)シフトの流れに適した商品開発はもちろん、今後進んでいくと想定される車の無人化・小型化・積載増に備えた商品開発にも取り組まねばならない。さらに、高まる環境意識に配慮した製品の提供も同時進行で行う必要がある。
タイヤに関しては、EVの特徴である、静粛性や高トルク、バッテリー搭載による高荷重に適した、高い負荷能力を持つ耐久性のある静かなタイヤが必要だ。また、SDGsの観点からは、天然ゴムやリサイクル資源、バイオマス由来の原料などを利用しつつ、従来と同程度の性能を有するタイヤの開発が求められている。
ガラス業界でも、次世代自動車に向けた、センサーやカメラ、通信アンテナなど関連部品の性能を最大限発揮できる高機能ガラスの開発が進んでいる。また、窓ガラスとして利用するだけで、太陽電池として発電する、いわゆる「発電するガラス」への期待も高い。実証実験を進めている会社もあり、事業化へ向けた技術開発が進んでいる。各社は、より高機能、高性能な製品の研究開発に注力している。

業界関連⽤語

スマート調光ガラス

電気信号などによって、透明/不透明に切り替わる機能を持つ調光ガラスに、IoTを組み合わせてより高性能にしたのがスマート調光ガラス。さまざまなセンサーデバイスと連携することで、透明な状態から暗い状態まで最適な室内環境を維持できるよう自動調光する。スマート調光ガラスを導入することで、ビルの照明や空調で使用するエネルギーの低減にもつながる。また、スマートスピーカー音声認識システムとも連携し、音声コマンドによる操作も可能にしている。

曲がるガラス

割れやすくて硬いイメージがあるガラスだが、いまでは薄くて割れにくいうえに曲がるガラスも登場している。ガラス内のアルカリ金属イオンを別のイオン径が大きいアルカリ金属イオンと入れ替えることで圧縮応力層を作り、外部の圧力に耐えて割れにくくしている。すでに、スマートフォンやタブレット、自動車のインパネなどで使用されている。 さらに、超薄膜ガラスはフィルムのようにしなやかに曲がり、コンパクトなロール状にして輸送することもできる。

セラミックフィルター

ファインセラミック製の膜フィルター。耐熱性・耐薬品性・耐有機溶剤性などのセラミックの特長を生かした、精密ろ過装置などに使われる。有機膜(ポリエチレンなどの有機高分子化合物を素材とする膜)が溶けてしまい使えないような用途や領域でも安定的に使用できる。

導電性ゴム

電気を通す性質を備えたゴムのこと。ゴム自体には電気伝導性はなく、電気を通しにくい絶縁体としてのイメージが強いが、ゴム原料に金属や炭素などを添加することで、導電性を持たせることができる。また、添加物の割合に応じて、導電率を変化させることも可能。ゴムの特長である柔軟性はそのままなので、さまざまな形状に加工でき、帯電防止材、電磁波シールド材、リモコンの接点材料など、種々の分野で利用されている。

ゴリラガラスとドラゴントレイル

カバーガラスを代表する2ブランドで、ゴリラガラスは米国コーニング社が、ドラゴントレイルは日本のAGC(旭硝子)が開発したガラス。カバーガラスとは、スマートフォンやタブレット端末、ウエアラブル端末などの表面に使われているガラスのことで、内部のディスプレーやタッチセンサー基盤を保護するだけでなく、人が直接触れるため、安全で、薄くて、軽くて、透明で、傷が付きにくく、割れにくいなど相反するようなさまざまな特長が求められる。極めて高機能な特殊ガラスで、それぞれ多くの製品に採用されている。

ローイー(Low-E)ガラス

表面にLow-E(Low Emissivity:低放射)膜といわれる特殊な金属膜をコーティングしたガラスで、エコガラスと呼ばれることも多い。金属膜が、太陽の熱や部屋の暖房で暖めた空気を反射するため、夏は熱の流入を、冬は熱の流出を防いでくれる。室内や車内の冷暖房効率を高める効果があり、各社が開発にしのぎを削っている。

走行時に性能が変化するタイヤ

本来タイヤは、天候や環境、道路状況などに合わせて最適なものを選ぶのが望ましいのだが、一般ユーザーにはコストや手間がかかる。そこで、性能が走行環境に応じて変化する(変化させられる)タイヤの開発が進んでいる。例えば、雨や凍結といった路面上の変化にタイヤが反応し、最適な性能を発揮できれば、1つのタイヤで安心・安全な運転を実現できる。また、ドライバー(車)が自由にタイヤの硬度を変えることができれば、快適な走りやスポーティーな走りを任意に選択できるし、センサーがチェックした路面状況をタイヤにフィードバックすることで、タイヤが自動的に乗り心地を調整することも可能になる。

どんな仕事があるの︖

ゴム・ガラス・セラミックス業界の主な仕事

・営業
タイヤや家電、建築用などに使われる天然・加工素材を、顧客であるメーカーや卸会社に提案・販売する。

・資材調達/購買
各工場からのニーズを取りまとめて、国内外から原料や素材を仕入れる。

・商品開発
既存商品を改善するほか、新商品の企画を立てて、試作や開発を行う。

・基礎研究
次世代向け製品に役立てるため、最先端技術の研究を行う。

・生産管理
制作現場の全工程を理解し、品質、コスト、時間を管理する。品質管理と効率面のコントロールが重要な仕事。

ゴム・ガラス・セラミックス業界の企業情報

※原稿作成期間は2023年12⽉28⽇〜2024年2⽉29⽇です。

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