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クレジット・信販・リース・その他金融業界

業界の現状と展望

加盟店からの手数料やキャッシングが主な収入源

加盟店からの手数料やキャッシングが主な収入源

クレジット・信販・リース業界は、消費者が商品やサービスを購入するときの代金を消費者に代わってさまざまな方法で立て替え払いする分野。手持ちのお金がないときにも、クレジットカードがあればモノを購入したり、銀行やコンビニなどのATMでキャッシング(現金の借り入れ)をしたりすることができる。
その際、クレジット会社は、一時的に立て替えた金額の数%を加盟店から手数料として徴収する。一方で、カード利用者からは年会費、リボルビング払い手数料キャッシング旅行代理店業などの付帯サービスの売り上げから利益を得ている。

個人消費の回復に伴ってカード利用は成長軌道に

国内で最初のクレジットカード会社である日本ダイナースクラブが設立したのが1960年のこと。翌1961年には、ダイナースカードとJCBカードがほぼ同時期に発行された。なお、世界最初のクレジットカードが生まれたのはアメリカだが、現在のようなプラスチックカードの発行は日本が世界初となる。
日本クレジット協会によれば、2023年3月末時点のクレジットカード発行枚数は、3億860万枚で、前年同時期比2.5%の増加となった。単純計算で成人1人当たり3枚近く所有していることになる。デパートやホテルはもちろん、スーパーマーケットやコンビニなどでの少額の買い物でも気軽に利用できるほか、ネット通販では購入手続きと同時に支払い手続きが完了する利便性からクレジットカード決済が多い。近年では、各社が独自のサービスを提供、還元したポイントを共通化して他社でも使えるようにするなどさまざまな工夫をしている。同協会によれば、2020年はコロナ禍でクレジットカードによる買い物が前年比1.4%増にとどまったものの、翌2021年は同8.8%増の81兆173億円に回復。2022年は同15.8%増の93兆7,926億円と増加している。

年々高まるキャッシュレス決済比率

経済産業省は、2025年までにキャッシュレス決済比率を4割程度にするという目標を掲げており、近年はデビットカード電子マネーへの対応に加えて、QRコード決済モバイル決済など、キャッシュレス化を推進する店舗が増えている。経済産業省によれば、2022年のキャッシュレス決済額は111.0兆円で、民間最終消費支出は308.5兆円に対しキャッシュレス決済比率は36.0%となった。中でもクレジットカード決済額は93.8兆円と圧倒的に大きく、民間最終消費支出の30.4%を、キャッシュレス決済の84.5%を占めている。その他では、デビットカードが3.2兆円でキャッシュレス決済に占める割合は1.0%、電子マネーが6.1兆円で同2.0%、コード決済(QRコードバーコードによる決済)が7.9兆円で同2.6%となっている。
カード会社は大手だけでも20社以上が乱立しており、それぞれの会社が自前のシステムを構築するなど高コスト体質が指摘されている。さらに、キャッシュレス決済の加速で、手数料など決済手段の多様化に関するコストは加盟店が負担しており、クレジットカード会社間の手数料が公開されておらず不透明との指摘もある。
他方、QRコード決済モバイル決済を行う企業も乱立気味。ユーザーからのニーズは高く取扱高は伸びているものの、国内勢のみならずアメリカのグーグルやアップル、中国のアリペイやウィーチャットなどとの競争もあり、収益的にはまだ厳しい状況だ。

企業のあらゆる動産を取り扱うリース業界。生き残りをかけた業界再編も

リース業界の企業は、パソコンやOA機器、ソフトウエア、不動産、産業用機械、自動車、土木建築機械、航空機など、企業が事業を行う上で必要な設備や機器を代わって購入し、分割払いで顧客に貸し出すことで収益をあげている。顧客にとっては初期投資を抑えられるメリットがあり、多種多様な用途で利用されている。公益社団法人リース事業協会の発表資料によれば、2023年4月~9月のリース取扱高は前年同期比9.7%増の2兆1,227億円となり、半期ベースでは2022年度下期(2022年10月~2023年3月)から連続して増加となった。リース取扱金額で全体の36.0%を占める情報通信機器が前年同期比で12.5%増、16.0%を占める輸送用機器も14.5%増となったほか、9.7%を占める産業機械が22.4%増と好調だった。
リース業界はこれまでも再編を繰り返しており、今後も事業領域の拡大と生き残りをかけて、資本提携合併といった動きが加速する可能性がある。2022年5月に三井住友ファイナンス&リースが、欧州の航空機リース会社を15億ドル(1ドル130円で1950億円)で買収すると発表。また、2022年6月には、三菱UFJフィナンシャルグループ傘下の東銀リースが、三菱UFJ銀行、農林中央金庫、東京センチュリーの4社間で資本業務提携を結んだ。2023年には、りそなホールディングスが三菱HCキャピタル傘下のリース会社2社を約111億円で子会社化、オリックスが化粧品・健康食品大手のディーエイチシー(DHC)を約3000億円で買収するといった動きもあった。今後も、業界再編や異業種を含めた提携や買収が進むのかが注目される。

引き続き縮小が見込まれる消費者金融

2016年を底に回復傾向にある消費者金融

「その他金融」には、一般個人に無担保で融資を行う消費者金融や、特定の商品を将来の一定の日時に一定の価格で売買することを現時点で約束する商品先物取引などがある。
消費者金融業界では、1993年に業界初の株式上場企業が誕生して以来、業界の知名度は著しく向上、利用者も増加した。しかし2006年12月に改正貸金業法が成立(完全施行は2010年)すると、多くの業者が新規貸し付けの審査を厳格化。徐々に市場規模は縮小してきた。しかし、2016年3月末を底に貸付残高は持ち直しつつある。銀行やカード会社の残高は減少傾向にあるものの、消費者金融会社の残高は増加傾向にある。

金融庁「貸金業関係資料集(2022年版)」によると、1986年のピーク時には4万7,504社あった貸金業者は、2023年3月末には1,548社にまで減少。また、1999年3月末に54兆5,309億円あった貸付残高(消費者向けは約16兆円、事業者向けは約38兆円)は、2016年に21兆9,252億円(消費者向けは約6兆円、事業者向けは約16兆円)まで減少した。その後は徐々に盛り返し、2022月3月末には、35兆1,007億円(消費者向けは約7兆円、事業者向けは約28兆円)となった。コロナ禍の影響で、2021年と2022年は、事業者向け貸付残高が例年以上に増加した。

なお、2022年3月末時点の消費者向け貸付残高7兆1,720億円のうち、40.1%が消費者向け無担保貸金業者で、33.3%が信販会社となっている。同じく事業者向け貸付残高27兆9,285億円では、事業者向け貸金業者が37.9%、クレジットカード会社が34.1%となっている。

資本主義経済に不可欠な商品先物取引業界

商品先物取引とは、穀物、繊維、原材料、エネルギー資源など国民生活や企業経営において欠かすことのできない物質を、将来の一定期日に買ったり売ったりすることを約束して行う取引のこと。価格は取引を行う時点で決め、この価格が実際の取引における価格指標として活用される。
価格変動から生じるリスクを回避する手段として、資本主義経済に不可欠な存在とされている。取扱商品品目の拡大などを背景に、近年、市場は拡大を続けている。
コロナ禍で、商品先物相場も混乱したが、値動きが激しくなるほど、リスクを回避しようとするいわゆるヘッジ需要が膨らむため、取引自体は活性化した。ただし、欧米の大幅利上げ中止や利下げの思惑などもあり、一つのニュースが相場をこれまで以上に大きく上下に動かす可能性は常にあり、注視が必要だ。

業界関連⽤語

リースとレンタルの違い

リースもレンタルも、いずれも貸主が物品を購入し借主に貸し出す賃貸借契約だが、契約期間や契約内容においてさまざまな違いがある。大きな違いは、リースの場合は借主のニーズに応じて物品を購入するため新品が提供されるが、レンタルの場合はレンタル会社が所有している物品を貸し出すため、中古品の場合がほとんどということ。また、一般的に、中長期に利用する場合はリース契約を、1日や1週間といった短期利用の場合はレンタル契約を行う場合が多く、同じ物品なら、利用料はリース契約の方が割安に設定されている。

ただし、一日から長期まで、社員の増減に応じて臨機応変の対応ができることや、資産管理の手間が省けるなどの理由もあって(リースの場合は資産管理台帳を作成し全てのリース物件を個別に管理しなければならない)、これまではリース契約が多かったパソコンを中長期のレンタルで貸し出すケースも増えている。また、カーシェアリングや自転車シェアリングもレンタルに含まれる。

フィンテック

金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、スマートフォンなどを使った決済や資産運用、ビッグデータ人工知能(AI)などの最新技術を駆使した金融サービスのこと。

フィンテック企業の老舗としては、PayPalがよく知られていたが、いまでは、Apple PayやGoogle Pay、中国アリババグループの決済手段であるAlipay、中国テンセントのWeChat Payなどが台頭。スマートフォンユーザーを中心に利用者は急拡大している。国内でもLINE PayやPayPayなど、各社が進出、百花繚乱状態だ。各社がフィンテックに注力するのは、利便性向上もさることながら、ビッグデータとしてユーザーの消費動向が把握できることがある。さらに、取引を補足することで脱税を防ぐといった意味もある。

外国為替証拠金取引

担保となる資金(証拠金保証金)を取扱会社に差し入れることで、24時間リアルタイムで通貨の売買を行う取引。「FX(Foreign eXchange)」といわれることも多い。取扱会社によって異なるが、5~10万円程度の保証金で売買が可能となる。

実際の売買では、保証金の数倍から数十倍の取引ができるので、少額の資金で大きな利益を得ることもできるが、大きな損失を出すこともあり、リスクの高い取引である。かつては、証拠金に対して100倍を超える取引ができる会社もあったが、現在は一律で25倍に規制されている。

BNPL

BNPLとは、「Buy Now Pay Later」の略で、文字通りいま買って後で支払う、後払いのこと。近年クレジットカードに代わるサービスとして、ECサイト利用者から注目を浴びている。クレジットカードと同様、決済手数料は加盟店が負担するが、分割手数料が無料になることがクレジットカードと大きく異なる※。ECサイトの利用者が増えていることや、クレジットカードがなくてもECサイトで買い物ができること、分割手数料が無料なことなどもあり、利用者は拡大傾向にある。スウェーデンのKlarna、米国のAffirm、オーストラリアのAfterpayといったフィンテック企業が市場拡大を先導している。矢野経済研究所の調査によれば、BNPL市場は堅調に拡大しており、2022年度の取扱高は1兆3,290億円と推計。2025年度には1兆9,090億円に拡大すると予測している。


※サービスを提供する企業によって、また分割回数や使うサービスによって異なる。また支払いが遅延した場合などに手数料が発生することもある。

NFT

NFTとは、Non-Fungible Tokenの略で、日本では「代替不可能なトークン」や「非代替性トークン」などと呼ばれている。これまでのデジタルデータは、コピーや改ざんが容易だったこともあり、ネット上に氾濫するデジタルデータには、希少価値がないに等しかった。
しかし、代替できない唯一無二のデータであるNFTは、ブロックチェーン上に所有権が明確化されているため、オリジナルのいわゆる一点モノであることが証明される。誰もが自分が描いた絵画や写真などにNFTを発行して、NFTマーケットプレイスで売買することも可能になる。ただし、売買が成立しても、得られるのは所有権で、著作権まで譲渡されることはほとんどない。

国内では法的な定義や販売ルールなどが明確に定められておらず、一度の取引が高額になることもあるNFTは、マネーロンダリングの面からも悪用される可能性を指摘する声もある。

ナンバーレスカード

クレジットカードのセキュリティー対策のため、文字通り、券面にカード番号などの印字がないカードのこと。裏面にカード情報が集約された片面だけがナンバーレスのカードと、両面から印字をなくした両面(完全)ナンバーレスカードの二種類がある。片面ナンバーレスカードは、表面にカード番号などの情報がないため、覗き見などのリスクが減少する。
ただし、裏面にはカード情報が記載されているので、紛失や盗難では従来のカードと同様のリスクがある。一方の両面ナンバーレスカードは、スマホアプリと連動して使うことを想定しており、盗難や紛失時にも不正利用のリスクは大幅に減少する。

どんな仕事があるの︖

クレジット・信販・リース業界の主な仕事

・加盟店営業
飲食店や衣料品店などに自社カードの提携を勧めたり、加盟店に対してカード利用が増えたりするような施策・提案を行う

・与信管理
クレジットビジネスにつきもののリスクを最小限に食い止めるための仕事。カード申込者に対して自社および信用情報機関に蓄積されたデータを利用して、返済能力があるか審査を行う。

・システム開発
経営支援システムをはじめとした社内業務システムの運営や、セキュリティー対策の考案・実施などを行う。

・債権管理
支払期日を過ぎても支払われなかった債権に対して、その債務者に支払いを促す。支払いが困難な債務者には、現実的に支払える返済計画を提示するなどのアドバイスも行う。

その他金融業界の主な仕事

・営業
顧客の資産運用の提案が主な業務。先物相場は政治、経済、さらに農作物は天候にも左右されるので、幅広い分野での情報収集が求められる。

・営業支援
消費者金融業界では、窓口で融資の受付や相談を行う一方で、ネットやFAX、コールセンター受付分の申し込みなどを整理する。また、必要に応じて信用情報機関への問い合わせも行う。

・債権回収
貸し付けたお金の回収を行う業務。支払期日を過ぎても支払われなかった場合に、ルールにのっとって電話で返済を催促したり、催促状を作成して郵送したりする。

クレジット・信販・リース・その他金融業界の企業情報

※原稿作成期間は2023年12⽉28⽇〜2024年2⽉29⽇です。

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