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スポーツ・玩具・ゲーム製品業界

業界の現状と展望

行動制限の緩和でスポーツ大会が再開。スポーツ用品市場も本格回復へ

野球、サッカー、ゴルフ、ランニングなど、さまざまなスポーツ関連商品を企画、販売するスポーツ用品業界。コロナ禍で業績が落ち込んだが、夏・冬連続の五輪イヤーでの日本代表選手の活躍や、自粛されていたスポーツ大会や学校でのクラブ活動の再開もあり、スポーツ用品市場は回復傾向にある。
またスポーツシューズスポーツアパレルを日常的に着用するアスレジャーといわれるファッションスタイルも定着、スポーツウエアやトレーニングウエアの成長も見逃せない。ランニングや山登り、フィットネスのように愛好者の裾野が広い分野で人気が高まっていることもあるが、もう一つの理由として、スポーツウエアのファッション性が浸透してきた背景もある。「スーツにスニーカーを合わせる」、「ジャケットの下にスポーツブルゾンを着用する」といった、いわゆる「スポーツミックス」が若者を中心に受け入れられている。
さらに、コンプレッションウエアや、発熱・冷却など温感対策を施した機能性アンダーウエアの存在も挙げられる。人口減少による市場縮小懸念がある中でも、アスレジャースポーツミックスのように、競技者だけでなく一般消費者需要を取り込める商品については好調に推移するものと考えられている。
また、スーツケースで有名なエースや作業服専門店で知られるワークマンもゴルフ用品市場に参入するなど、他業種からの新規参入も見受けられる。
矢野経済研究所では、2023年のスポーツ用品市場は、前年比4.9%増の1兆7347億円と予測している。コロナ禍以降のスポーツ用品市場をけん引してきたアウトドア系分野の需要も引き続き堅調で、競技環境の大幅な改善や増加する訪日外国人による需要も期待されている。

成長産業としてのスポーツを目指す

成長産業としてのスポーツを目指す

スポーツ業界にはこうしたスポーツ用品市場だけでなく、スタジアムの運営や大会の開催、競技者や指導者の育成・教育に関わる事業など、さまざまな産業がある。サッカーやバスケットボール、野球やラグビーなど、欧米諸国ではビジネスとしてのスポーツがすでに巨大な産業として存在する。一方で、国内ではスポーツは教育の一環と捉えてきた一面もあってか、十分なスポーツ振興政策が取られてこなかった。
そのため、スポーツ庁を中心に、スポーツを成長産業化させるため、さまざまな施策に取り組んでいる。スポーツ市場を拡大し、その収益をスポーツ環境の改善に還元し、スポーツ参画人口の拡大につなげる好循環を生む狙いだ。またスポーツを通じた健康増進によって、国民医療費の抑制にもつなげようと考えている。具体的な課題としては、収益の上がるスタジアムやアリーナの建設・改修、競技団体などのコンテンツホルダーの経営力強化や新ビジネスの創出、スポーツ経営人材の育成・確保、他産業との融合などによるスポーツ新市場の創出、スポーツ参画人口の拡大などがある。

定番商品が市場をけん引し、1兆円を超える市場規模に成長

玩具・ゲーム製品業界は、対象が乳幼児から高齢者までと幅広く、情緒を育んだり余暇を楽しく過ごしたりするための遊び道具をつくる分野。
日本玩具協会によれば、2022年度の国内玩具市場規模は前年度比6.7%増の9525億円となり、2年連続で過去最高を記録した。進む少子化やコロナ禍の逆境下においても増収となり、別途調査しているカプセル玩具(前年度比35.6%増の610億円)を加えると、1兆円を超える市場規模となった。
玩具の中核を占める主要10分野(市場全体からベビーカー・チャイルドシート・三輪車などの乗用関連と、雑貨、ホビーを除いた、「ゲーム(テレビゲーム関連を除く)」「カードゲーム・トレーディングカード」「ジグソーパズル」「ハイテク系トレンドトイ」「キャラクター」「のりもの玩具」「ドール・ままごと」「ぬいぐるみ」「知育・教育」「季節商品」)も前年度比9.4%増の6348億円となった。中でも、カードゲーム・トレーディングカードは、同32.2%増の2349億円と躍進。レアカードの高額取引が話題になった「ポケモンカードゲーム」や、2024年2月に発売25周年を迎える「遊戯王OCG」が好調なことに加えて、新規参入の「ONE PIECEカードゲーム」の売上が上乗せになったことが影響した。
また、ハイテク系トレンドトイも同16.3%増の105億円、ぬいぐるみも同13.1%増の320億円と、10%以上の売上増となった。ハイテク系トレンドトイの伸びは、新“触感”液晶トイの「ぷにるんず ぷにぷらす」や、「Tamagotchi Smart」などのヒット、ぬいぐるみは、ポケットモンスター、スーパーマリオ、ジブリなどのキャラクターのぬいぐるみが好調だったことが売上増につながった。
ロングセラーブランドでは、2世代、3世代にわたって購入されている玩具もあり、少子化の中でも玩具市場のさらなる拡大可能性が感じられる。近年では、子どもから大人まで、男女にかかわらず幅広い人気を持つキャラクターも多く、あらためて人気キャラクターのポテンシャルの高さがうかがえる。
さらなる成長には、海外展開の推進に加えて、人気IP(業界関連用語参照)の活用、引き続き期待が持てる知育・教育玩具の開発、新市場の創出や年齢層のさらなる拡張、新技術の導入などが求められている。

業界関連⽤語

ヴェイパーフライネクスト

ナイキ社が発売するランニングシューズで、分厚いソールが特徴。内部にカーボンファイバーを採用し、非常に軽量でありながら頑丈、接地時の反力をロスなく推進エネルギーに転換する機能と快適な履き心地を両立しているとされる。2019年10月には非公式レースながらマラソン世界記録(2時間1分39秒)保持者のキプチョゲ選手が1時間59分40秒をマークしたこともあり、厚底シューズが陸上界を席巻した。各社が初心者向けや競技者向けなど、さまざまな質の高い厚底シューズを販売しており、開発競争が激化している。ただし公式競技では種目や大会ごとに靴底の厚さに規定があり、すべての種目で厚底シューズが使えるわけではない。

アスリートマネジメント事業

これまで競技選手の多くは、単独の大学や企業などに所属するアマチュア選手が中心だったが、競技選手のプロ化が進むにつれて必要性が高まってきたのが、選手のマネジメントを行う会社の存在。今では、多くの会社がアスリートマネジメント事業を行っている。主な業務は、アスリートが目指す競技大会で最高の結果を残せるように練習環境の整備や、メディアなどでの効果的なプロモーション活動、所属団体やスポンサーとの契約交渉など多岐にわたっている。

eスポーツ

「エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)」の略で、コンピューターゲームやビデオゲーム上で行われる競技のこと。2018年2月に、コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が主導し、日本オンラインゲーム協会(JOGA)の後援の下、日本国内の日本eスポーツ協会(JeSPA)、e-sports促進機構、日本eスポーツ連盟(JeSF)の3団体を統合、日本eスポーツ連合(JeSU)の活動がスタートした。2018年のアジア競技大会では参考競技として、2019年の茨城国体では文化プログラムの特別競技として行われた。2025年開催のパリオリンピックでの採用は見送られたが、2023年の中国・杭州アジア競技大会では正式なメダル種目として採用された。全7種目のうち、中国が金メダル4個、韓国が2個、タイが1個を獲得。残念ながら日本チームのメダル獲得はならなかった。

知育玩具

幼児や児童の知能的発達を促進する玩具、または幼児や児童の学習の助けになる玩具のこと。いわゆる教材が知識を増やすために用いられるのに対し、知育玩具は、考えることや表現することを通じて、知能全般の発達を促すことを目的としている。パズルやブロックがよく知られているが、広い意味ではハイテク玩具コンピューターを知育玩具と考えることもできる。

IP

IPとは、Intellectual Property の略で、ゲームやアニメなどにおけるキャラクターなどの知的財産のこと。有力なIPを活用することで、エンターテインメント業界において幅広い事業活動が可能になる。各社は、IPを軸に最適なタイミングで商品化や事業化を行い、長期間の持続的成長を実現できるよう戦略を立案している。近年では、「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の大成功が好例だ。

たまごっち

1996年11月に発売された、キーチェーン型の電子ゲームで、名前の由来は「たまご」と「ウオッチ」。社会現象になるほどの大ヒット商品となり、連日のようにテレビや新聞で取り上げられた。海外でも人気を博し、アメリカではイグノーベル賞の経済学賞を受賞している。1998年に入るとブームは沈静化したが、その後も、毎年のように新製品が発売されており、2021年11月には、たまごっち誕生25周年を記念して、「Tamagotchi Smart」が登場。「たまっちんぐアプリ」や、さまざまな人気キャラクターとのコラボなど、時代の経過に合わせた多彩な機能が搭載され、コンスタントな人気を見せている。さらに、2022年11月には、1996年発売の初代「たまごっち」と、1997年発売の「新種発見!!たまごっち」の欧米版のプログラムをそのまま転用した「Original Tamagotchi」が発売されるなど、人気が再燃している。

どんな仕事があるの︖

スポーツ業界の主な仕事

営業販売
小売店に対して商品の宣伝、営業を行う。スポーツ関連イベントのような販売促進活動の企画を立てたり、実施を任されたりすることもある。

商品管理
商品の耐久性や安全性の確認を行うほか、生産工程の維持管理を行う。

企画
新商品の企画を行う。また、イベントや販売戦略を立てることもある。

研究開発
商品の開発設計を行う。素材の基礎研究のほか、さまざまな実用化実験を行う。

玩具・ゲーム製品業界の主な仕事

マーケティング
市場をリサーチ・分析し、新商品の開発や既存商品のリニューアルを考案する。商品の魅力を消費者に伝え、購買意欲をかき立てるようキャンペーンの立案・企画なども行う。

営業
自社商品を扱う卸問屋、販売店に対して、商品の宣伝、営業を行う。

商品企画
既存の商品を改善するほか、新商品の企画を行う。消費者ニーズを探り、新しい価値を創出・提案する。

生産管理
スケジュールや計画を立て、スムーズに生産できるよう手配をする。

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スポーツ・玩具・ゲーム製品業界の企業情報

※原稿作成期間は2023年12⽉28⽇〜2024年2⽉29⽇です。

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