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福祉サービス業界

業界の現状と展望

介護は「施設介護」と「在宅介護」に分かれる

「施設介護」と「在宅介護」

福祉サービスの中でも、介護サービスの仕事は、大きく分けて「施設介護」と「在宅介護」の2つがある。

施設介護」では、有料老人ホーム特別養護老人ホームなどの施設に入居してさまざまな介護サービスを受けることができる。「在宅介護」では、自宅で介護サービスを受けられ、訪問型や通所型・宿泊型といったタイプがある。
訪問型では、身体介護(入浴・食事・排せつなど)、生活援助(洗濯・掃除・調理など)といった訪問介護を中心に、訪問看護(医師の指示のもとで看護師が健康チェックなどを行う)などがある。施設や病院などに通って介護サービスを受けるのが通所型で、デイケア(通所リハビリテーション)とデイサービス(通所介護)がある。デイケアは、要支援1~2、要介護1~5の人が対象で、医師の指示のもとリハビリテーションを通じて身体機能の維持回復を図るなど医療的サービスが中心。デイサービスは、要介護1~5の人が対象で、食事や入浴、排せつなど日常生活を送るための支援が中心となる。また、デイサービスには、小規模ながら食事、入浴、レクリエーション、機能訓練などのきめ細かいサービスが特徴の地域密着型通所介護や、認知症の方を対象にした認知症対応型通所介護などもある。
厚生労働省の「令和4年介護サービス施設・事業所調査の概況」によれば、令和4年10月1日時点で、施設介護を行う、介護老人福祉施設が8,494施設、介護老人保健施設が4,273施設、介護医療院が730施設、介護療養型医療施設が300施設となっている。
また、在宅介護を行う居宅サービス事業所数は、訪問介護が36,420事業所、訪問看護ステーションが14,829事業所、通所介護が24,569事業所。地域密着型サービス事業所の事業所数は、地域密着型通所介護が19,394事業所、認知症対応型共同生活介護が14,139事業所となっている。
厚生労働省では「在宅介護(医療)」を促進する方針を打ち出しており、住み慣れた地域で必要な医療・介護サービスを受けつつ、安心して自分らしい生活を実現できる社会を目指している。
また、福祉サービス業界では、介護・福祉用具の製造や販売、レンタルなどを主な業務として行っている企業もある。

市場拡大が予想されるが人材確保が課題

団塊世代の高齢化を迎えて、介護ビジネスは今後も市場の拡大が予想されている。
厚生労働省の「令和4年度介護給付費等実態統計の概況」によると、2022年5月審査分から2023年4月審査分における介護予防サービスおよび介護サービスの年間累計受給者数は、前年度比1.6%増の6,585万7,700人、年間実受給者数は同2.2%増の652万4,400人となった。

今後もコンスタントに市場拡大が予想されるが、業界の人手不足は深刻だ。月収ベースでの給与は他業種よりも低く、政府でも介護報酬の改定など待遇改善を模索している。2024年は3年に1度介護報酬が見直される年であり、2024年の介護報酬改定では、処遇改善加算・ベースアップ等支援加算・特定処遇改善加算の3つが一本化され、新たな介護職員処遇改善加算が創設される。一本化されることで、加算の取得が行いやすくなることが期待されている。

また、コロナ禍では高齢者や基礎疾患がある人は重症化しやすいというリスクもあったため、福祉サービス業界に従事する関係者には徹底した感染症対策が求められ、現場では介護業務に対する負担がさらに増加することとなった。在留資格「特定技能」新設による外国人人材採用に加え、介護ロボの導入、ITを活用した介護現場での生産性向上など、新たな介護のあり方を模索する事業者も登場しているが、2025年問題(業界関連用語参照)を控え、ますます人材確保は大きな課題と言えそうだ。

近年、介護業界では大きな動きが続いている。ニチイホールディングスはMBO(Management Buyoutの略称で、経営陣が金融支援を受け、自社株式や一事業部門を買収し独立するM&Aの手法)を実施し非上場になり、ツクイホールディングスやユニマット リタイアメント・コミュニティも非上場化して、業界大手の企業が次々と資本市場から去った。投資ファンドなど社外や業界外の経営ノウハウを生かす成長戦略の一環と見られており、介護報酬だけに頼らない事業の多角化やビジネスモデルの再構築などを目指す企業も増えている。

業界関連⽤語

介護医療院

2017年度に廃止となった「介護療養型医療施設」に代わり、新しく法定化された要介護者向けの施設で、医療と介護の両方を長期的に必要とする高齢者を対象にしている。「日常的な医学管理」や「みとりやターミナルケア」といった医療的な機能と、介助や生活支援など日常生活を送るためのサポート機能の両方を提供する。

サービス付き高齢者住宅

単身・夫婦の高齢者が安心して暮らせる住居で、「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の基準によって登録される。

一定の面積や設備があること、バリアフリー構造であること、安否確認・生活相談サービスを提供することなどの基準がある。サービス付き高齢者住宅の供給促進に向けて、補助や税制などの支援もあり、教育関連事業者、家電量販店など異業種からの参入も増えている。

2025年問題

2025年には、約800万人といわれる1947~49年の第1次ベビーブームに生まれた団塊世代が75歳以上になり、国民の4人に1人が後期高齢者という超高齢化社会となる。介護に従事する人材が不足し、医療や介護などの費用も増大、社会保障制度が行き詰まる可能性が指摘されており、2025年問題といわれている。

公認心理師

心理専門職の資格としては、日本臨床心理士資格認定協会が認定する臨床心理士がよく知られていた。

公認心理師は、2017年9月に施行された公認心理師法に基づく国家資格で、第1回の公認心理師試験は2018年9月9日に実施。35,020人が受験し、合格者は27,876人だった。臨床心理分野における日本初の国家資格として注目されている。

介護報酬

介護の利用者(要介護者要支援者)が受けた各種の介護サービスに対して、そのサービスを提供した事業者に支払われる報酬のこと。年収や世帯などの条件による利用者の負担割合に応じて、介護報酬の7~9割は介護保険から支払われ、1~3割を利用者が負担する。介護報酬の見直しは3年に1度行われ、介護報酬の改定は事業の経営に大きな影響を与える。2024年はその年にあたるが、今年は介護と医療の両方の改定があり、さらに6年に1度の制度改正も実施。加えて、2025年問題を控えた最後のタイミングでもあり、大幅な見直しが予想されている。

ヤングケアラー

法律上の定義はないが、一般的に、本来は大人が担うと想定されている、家事や家族の世話などを日常的に行っている子供のこととされている。一説では、中高生の20人に1人がヤングケアラーと推定されている。日常生活だけでなく学習や進学面などでの影響が懸念されており、国でもさまざまな支援策を打ち出している。

LIFE(科学的介護情報システム)

LIFE (Long-term care Information system For Evidence:科学的介護情報システム)は、これまでの通所・訪問リハビリテーションデータ収集システム(VISIT)と、高齢者の状態やケアの内容等データ収集システム(CHASE)を一体化したもの。科学的介護とは、介護者の経験ではなく科学的根拠(エビデンス)に基づいて提供される介護のことを意味し、実施された研究などの科学的根拠に基づき、要介護者の自立支援と重症化防止を進めることを目的としている。事業者側は、LIFEにケアの実施内容などの利用者データ入力した後、国からLIFEを通じてフィードバックを受け取り、ケア改善に役立てる。2021年の介護報酬改定から開始されたシステムで、LIFEを活用することで、事業者側は一定の介護報酬加算ができるようになった。

在宅ホスピス

ホスピスとは、元々は人生の最期を穏やかに過ごすために行われる治療やケアのことで、今ではそうした治療やケアを行う施設のこともホスピスと言われる。ホスピスには在宅ホスピスと施設入院ホスピスがあるが、近年は、最期は自宅で迎えたいという在宅ホスピスへのニーズも高まっている。そのため、末期がんや難病の患者を在宅でケアし、その後のみとりまでをトータルで行う在宅ホスピスが増加している。

どんな仕事があるの︖

福祉サービス業界の主な仕事

・介護福祉士
国家資格の一つで、専門知識と技術をもって、身体上または精神上の障害で日常生活を営むうえで支障がある人に対し、入浴、排せつ、食事そのほかの介護を行う。

・社会福祉士
国家資格の一つで、身体上、もしくは精神上の問題を抱えている、あるいは、環境上の理由で日常生活を送ることが困難である人やその家族の相談に応じて、適切なサービスの利用を紹介、諸手続きを行い、福祉施設や病院などの調整を行う。

・訪問介護員(ホームヘルパー)
訪問介護員(ホームヘルパー)の資格を得るには、各地方自治体が指定した、専門学校、社会福祉協議会、民間団体などの事業者が実施している「介護職員初任者研修」を修了することが必要。

なお、2012年度まで実施されていた「訪問介護員養成研修(ホームヘルパー1級、2級)」および「介護職員基礎研修」修了者も「介護職員初任者研修課程」修了と同等に見なされるので、引き続き訪問介護員として働くことができる。

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※原稿作成期間は2023年12⽉28⽇〜2024年2⽉29⽇です。

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