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コンサルティング・シンクタンク・調査業界

業界の現状と展望

顧客は個人経営者から大企業までさまざま

コンサルティング業界の主な顧客は、個人経営者や企業。「3カ年経営計画を立てたい」というような経営戦略にまつわるニーズや「営業利益を上げるにはどうしたらよいか」といった運営上の課題、営業、会計、人事、ITなどさまざまな分野における悩みや相談に対して効果的で具体的な対策を提案する。
数カ月から数年単位でプロジェクトチームを組み、複数のコンサルタントがアイデアを出し合って仕事を進めることもある。

そのため、コンサルタント業界は多種多様で、会計や法務、システム、業務改善など企業の経営課題全般を手掛ける「総合系コンサルティング」、経営陣を対応相手(カウンターパート)としてM&Aや新規事業などの経営戦略を講じる「戦略系コンサルティング」、ITや医療、財務、企業再生など得意とする分野に特化した「専門系コンサルティング」などがある。

近年は海外に生産・物流工場などを置き、海外国籍の人材を採用するなど、企業のグローバル化が進んでいる。文化の異なる国や人材と共に仕事をうまく進めるには、さまざまな壁が立ちはだかる。過去の事例や最新情報を踏まえた正しい状況分析と判断、的確な解決策を提案することが求められている。
さらに、ロシアによるウクライナ侵攻や、ガザ地区におけるハマスとイスラエルの紛争勃発などに起因する、高まる地政学リスク対応への需要も増している。

DX支援事業がコンサルティング市場をさらに促進

コンサルティング業界には、グローバル企業のコンサルティングを担う外資系大手から、中小企業の経営支援を行う個人の中小企業診断士までが存在しており、その規模や内容はさまざまだ。
コダワリ・ビジネス・コンサルティングでは、「日本のコンサルティング市場規模と将来予測」の2023年版を発表、コンテンツはコンサル業界メディア『コンサルのあんなこと、こんなこと』で公開されている。同メディアによれば、2022年度の日本のコンサルティング業界の市場規模は、前年度比16%増の1兆8,281億円と推定されている。
また、2030年度における市場規模も、スタンダードケース、ポジティブケース、ネガティブケースの3つのケースで試算。それぞれ、約2.1兆円(2022年度と比べた成長率は13%増)、約2.2兆円(同19%増)、約1.9兆円(同3%増)としている。
「2025年の崖(業界関連用語参照)」や「2030年問題(業界関連用語参照)」への対応が急務といわれる中で、DX化などの経営課題は市場を下支えするものの、世界経済の変化や日本経済の停滞、コンサルタントの採用数拡大による急成長から生じた組織のひずみなどをリスクとしてあげている。

官公庁や企業に、必要な情報を提供する

シンクタンク・調査業界は、「試作食品の感想を聞きたい」とか、「国民が政府に何を求めているのかを知りたい」といった消費者や国民の意向・動向を探りたい企業や官公庁からの依頼を受けて、情報収集や調査サービスを提供する。
さらに集めた情報についての分析や、分析結果を踏まえた提案も行う。

シンクタンク(think-tank)は直訳すれば「頭脳集団」。国内には100以上のシンクタンクが存在するといわれており、政策研究、社会問題や国際情勢、経済、最新技術、環境問題など幅広い分野をカバーしている。

インターネットやモバイルリサーチが成長

世界規模で情報収集ができる大手シンクタンクがある一方で、企業調査専門の調査企業、特定分野での調査を得意とする専門企業、インターネットや携帯電話経由での調査専門企業などがある。

ここ数年は、短期間かつ、これまでより低価格で多くの人に調査ができることから、インターネット経由で調査を行うインターネットリサーチ企業や、スマートフォンなどの携帯電話で調査を行うモバイル調査企業の成長が目立っている。
日本マーケティング・リサーチ協会の「第48回経営業務実態調査」によれば、2022年度の日本の市場調査業界の市場規模は前年度比9.9%増の2,590億円と好調だ。従来の調査事業の市場規模との比較では、同6.3%増の2,269億円となる。
パネル調査(同じ調査対象者に対して、期間をおいて同じ質問を繰り返し行う調査方法)が前年度比7.1%増の750億円、新製品開発のためによく行われるアドホック調査(調査の設計、実施、集計、分析などが1回限りで完結する調査)も同5.4%増の1,439億円に増加。インターネットによる調査は同0.5%増の796億円、インターネットを使わない既存手法による調査も同12.1%増の642億円となった。2023年度については、同4.1%増と見通している。

業界関連⽤語

デジタルディスラプション

新しいデジタル技術の登場によって既存の製品やサービスが、これまでとは異なる高性能で利便性の高い新しい製品やサービスに生まれ変わること。古くは、PCの登場によって大型コンピューター市場が、CDの登場でレコード市場が破壊(ディスラプト)されたように、既存の市場が創造的に破壊される際に使われる。デジタルディスラプションは産業価値産業構造を大きく変化させる。例えばデジタル技術の進化が生み出す自動走行車の登場は、自動車の在り方そのものを大きく変えるデジタルディスラプションの一つといえる。

BPO

「Business Process Outsourcing」の略。BPOとは企業の内部の業務処理(ビジネスプロセス)を一括して、外部の業者に委託(アウトソーシング)すること。従来のIT分野のBPOだけではなく、人事・経理、営業や物流・在庫管理までもBPOの対象となってきており、今後ますます伸びが期待される分野。

デジタルトランスフォーメーション(DX)

「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念。
企業が競争に勝ち残るために、モバイル、ソーシャル、ビッグデータ、クラウドといったいわゆる「第3のプラットフォーム」を活用し、新しいビジネスモデルやサービスや製品を創造する。こうしたイノベーションをアシストする技術として、IoTAIロボティクスARVRなどがある。

マスマーケティングとリレーションシップ・マーケティング

従来型の、全ての消費者を対象にマスメディアを通じた大量の広告投入を前提とするのがマスマーケティング
一方で、特定の顧客との間で良好な関係を維持、長期間にわたって取引を継続させようというマーケティング手法がリレーションシップ・マーケティング

長期的視点で捉えるため、顧客が商品やサービスに対して満足することはもちろんだが、その後のサポートや、定期的に顧客に働きかけて関係を保ち続けることも重要になる。

2025年の崖

経済産業省が2018年にまとめたレポートに登場した言葉で、企業に対してDXの必要性を訴えるものとして注目を浴びた。このレポートでは、日本企業が市場で勝ち抜くにはDXの推進が必要不可欠で、DXを推進しなければ、既存のシステムはレガシーシステムとなり、業務効率・競争力が低下し、2025年から年間で最大約12兆円もの経済損失が発生すると予測した。これが「2025年の崖」と呼ばれている。原因として、既存のITシステムのカスタマイズや最適化を繰り返すことで、システムの複雑化・肥大化を招くことや、既存のシステムの多くで使われている古いプログラミング言語を扱えるエンジニアが2025年までに定年を迎えることなどが指摘されている。

2030年問題

2030年問題とは、日本国内の人口の3割程度が65歳以上の高齢者となり、生産年齢人口(生産活動の中核を担う15歳以上65歳未満の人口)が減少することで発生する諸問題のこと。社会保険料の増加や、人材不足、人件費の高騰による経済成長の鈍化などが指摘されている。なお、約800万人といわれる団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、超高齢社会に起因する諸問題は「2025年問題」と呼ばれている。

BCP

BCPとはBusiness Continuity Planの略で、事業継続計画といわれるもの。テロ、大規模な自然災害、突発的なシステム障害などの危機的状況下においても、企業活動を継続できるよう事前に用意しておく計画書のことを指す。コロナ禍において、あらためてBCPの重要性が認識されており、政府も感染症に対応したBCPの策定、点検、着実な実行を促している。
なお、BCMはBusiness Continuity Managementの略で、BCPの策定から、導入・運用・見直しなどを含む戦略的なマネージメント全般のことを言う。

完全成果報酬型コンサルティング

これまでのコンサルティングは、リスクを負わないこと、一括もしくは毎月固定報酬で契約することが一般的。完全成果報酬型の場合は、契約時に売り上げ増や、コスト削減、粗利益増などの評価指標を設定し、その達成度に応じて報酬を決定する仕組みの契約。

どんな仕事があるの︖

コンサルティング業界の主な仕事

戦略系コンサルタント
企業の経営戦略にまつわる相談に応じる。会計から営業、人事まで幅広い知識と説得力のある提案、顧客に信頼される魅力のある人間性が求められる。戦略系コンサルティングファームや総合研究所系コンサルティング会社には、戦略にまつわる相談が多いといわれている。

すぐにコンサルタントになれるわけではなく、「アナリスト」「アソシエイト」を経て、コンサルタントになるケースが多い。

専門特化型コンサルタント
営業、IT、人事、会計など、特定分野に特化した相談、悩みに応じる。特定分野の深い知識と説得力のある提案、顧客に信頼される魅力のある人間性が求められる。
戦略系コンサルタントと同様に、「アナリスト」「アソシエイト」を経て、コンサルタントになるケースが多い。

システムエンジニア
営業、IT、人事、会計など、業務に使うコンピューターシステムを企画し、コンピューター言語による開発を管理する。
大手コンサルティング会社やIT分野のコンサルティング企業では、文理問わず採用を行っていることが多い。

シンクタンク・調査業界の主な仕事

営業
顧客が何を知りたがっているのかを探り、調査サービスを提案する。

マーケティング
顧客が知りたがっていることを調べるには、どのような調査が適しているのかを企画する。

調査・リサーチ
営業やマーケティング担当者と連携して、実際の調査活動を担当する。

研究員
独自に調査・分析をして、社内外にその結果を発表する。

システムエンジニア
調査を行うシステムをつくったり、システムの維持管理を担当したりする。特にインターネットや携帯電話などを通じて調査活動を行う企業での需要が多い。

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コンサルティング・シンクタンク・調査業界の企業情報

※原稿作成期間は2023年12⽉28⽇〜2024年2⽉29⽇です。

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