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ゲームソフト業界

業界の現状と展望

欧米市場は減少するも、アジア地域が世界ゲーム市場を下支え

ゲームソフト業界がソフトの開発・販売にかかわるのは、大きく分けて、業務用ゲーム(アーケードゲーム)、家庭用ゲーム(コンシューマーゲーム)、スマートフォン用ゲーム(デジタル配信オンラインプラットフォーム)、PC用ゲームのカテゴリーとなる。また、家庭用ゲーム市場では、任天堂、ソニーグループ、マイクロソフトの3社が、ゲームソフトだけでなく、ハードと呼ばれるゲーム専用機器の開発・販売も行っている。
業務用ゲーム市場については、ゲームセンターの店舗数が減少していることや、スマートフォンなどの普及で余暇の楽しみ方が変わってきたこともあり、縮小傾向にある。

2023年8月に発刊された「ファミ通ゲーム白書2023」によれば、2022年の世界ゲームコンテンツ市場は26.8兆円と推計。同一為替レートでは前年比7.0%減としており、最大の理由として欧米市場の軟調を挙げている。モバイル・家庭用・PCのいずれも10%以上のマイナスとなり、インフレ加速による可処分所得の減少や巣ごもり需要の反動を要因としている。
一方で、アジアではそうした影響が比較的少なく、日本の家庭用ゲームや中国のPCゲームが健闘し、市場を下支えしたと指摘している。地域別では、東アジアが全体の42.2%を占める11兆3,017億円と最も大きく、次いで北米が28.1%の7兆5,408億円、欧州が17.0%の4兆5,627億円、その他が12.7%の3兆3,953億円となっている。
2022年の国内ゲーム市場全体の規模は、前年比1.4%増の2兆316億円とプラス成長。家庭用ゲームハードの普及に伴って家庭用ゲームソフト市場が拡大し成長をけん引した。中でも、「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」や「スプラトゥーン3」といったNintendo Switch向けの大型タイトルが好結果を残している。
また、国内オンラインプラットフォーム市場(スマートフォンやタブレット、PC、ネットワーク接続を前提に動作するゲームアプリなど)も、前年比0.9%増の1兆6,568億円となった。このうちゲームアプリ市場は、前年(2021年)の大ヒットに匹敵する作品がなかったこともあり、同4.4%減の1兆2,433億円となったが、PCゲーム市場は大型タイトルの登場もあり、同43.2%増の1,892億円となった。
なお、2020年に初めて5,000万人を上回った国内のゲーム人口は、2022年は前年比2.4%減の5,400万人と推計している。家庭用ゲームは同2.5%増の2,856万人と増加しているが、ゲームアプリは同7.4%減、PCゲームも同12.2%減と明暗を分けた。

2020年末には、ソニーがPS5を、マイクロソフトがXbox Series Xを新たに投入。ハードを手がける3社は、オンラインによる継続課金といったビジネスでも実績を上げている。先の白書でも、家庭用ソフト販売のうち、オンライン市場は上昇している。加えて、グーグルやアマゾンといったアメリカの巨大企業もクラウドゲームに参入している。
さらに、メタバースといわれるインターネット上の仮想空間を使ったゲームの登場も期待されている。任天堂は、ゲーム開発会社の巨額買収に積極的というイメージはないが、近年はCG映像製作の中堅会社ダイナモピクチャーズの全株式を取得し子会社化。また、DeNAとの合弁会社となる、ニンテンドーシステムズを設立するなどの動きを見せている。一方、マイクロソフトは大手ゲームソフト会社アクティビジョン・ブリザードを、690億ドル規模で買収したことを表明。ソニーは、かつてマイクロソフト傘下でXboxのキラータイトルとして有名な「Halo」を開発したバンジー(現在はマイクロソフトから独立)を約37億ドルで買収するなど、大きなM&Aに関わるニュースが流れている。
なお、近年は中国企業が開発したゲームがスマートフォンを中心にしたオンランゲーム市場で存在感を増している。miHoYoの「原神」や、C4gamesの「放置少女~百花繚乱の萌姫たち~」、X-LEGEND ENTERTAINMENTの「Ash Tale 風の大陸」など、日本にもファンが多い人気ゲームが増えている。

eスポーツの現状

近年マスコミで目にすることが多くなったeスポーツエレクトロニック・スポーツ(electronic sports)の略称で、コンピューターゲームやビデオゲームを使ったスポーツ競技のこと。実際に競技でプレーされているのは、格闘ゲーム、スポーツゲーム、RTS(リアルタイムストラテジー)、MOBA(マルチプレーヤーオンラインバトルアリーナ)、トレーディングカード、パズル、シューティングの7種類が主流だ。国内でも、市場規模は年々成長しており、一般社団法人日本eスポーツ連合によれば、2022年のeスポーツ市場は前年比27%増の125億3,600万円。徐々に増加してきたオフライン開催との相乗効果もあり、2025年に向けて年平均20%を超える成長率で拡大し、市場規模は217億8,100万円に達するとしている。eスポーツというと若者向けというイメージが強いが、シニア層への拡大も期待されている。

海外ではeスポーツをスポーツとして、プロゲーマーをスポーツ選手として認知している国が多いだけでなく、賞金総額でも注目されており、賞金総額が1億円を超える大会も多い。世界の名だたる企業がイベントや選手のスポンサーに名乗りを上げている。eスポーツは、2018年のジャカルタアジア競技大会で公開競技として採用。2024年開催のパリオリンピックでの採用は見送られたが、2023年の中国・杭州アジア競技大会では正式なメダル種目として採用された。全7種目のうち、中国が金メダル4個、韓国が2個、タイが1個を獲得。残念ながら日本チームのメダル獲得はならなかった。。

業界関連⽤語

MOBA

Multiplayer online battle arena(マルチプレーヤーオンラインバトルアリーナ)の略で、司令官として攻撃や補給など複数のタスクを同時に処理する、RTS(Real-time Strategy:リアルタイムストラテジー)から派生した、比較的新しいジャンルのゲーム。eスポーツの大会も多く、人気が高まっている。5対5や3対3などのチームに分かれ、プレーヤーは一つずつキャラクターを操作。チームで協力しながら、相手の拠点を攻撃する。RTSでは1人が複数のキャラクターを操作するが、MOBAでは参加者がそれぞれのキャラクターを操作。個々のスキルに加えて、チームとしての連携、ゲーム展開に応じた臨機応変な対応が求められるため、プレーヤーも観客も楽しめるゲームといわれている。

ゲームクリエーター

プロデューサー、ディレクター、プログラマー、シナリオライター、サウンドクリエイターなど、ゲームの企画・制作にかかわる、さまざまな人を総称してこう呼ぶ。
かつては、1人で企画立案からプログラミンググラフィックデザインなどを行っていたこともあったが、近年は、製作作業は分業化・専門化している。ディレクターやプロデューサーが企画立ち上げから完成まで立会い、分業の業務を統括。アドバイスや、最終判断などを任されている。

ネイティブアプリ

スマートフォンなどの端末機にある演算装置が直接データ処理を行うタイプのアプリのことで、アプリマーケットを通じてダウンロードする。ゲームの表現力や操作性が高く、通信環境の制約を受けにくいといわれている。
他方、それぞれの企業が運営するゲームポータルのページから遊ぶことができるゲームは、ブラウザゲームSNSゲームといわれる。

MMORPG

Massively Multiplayer Online Role-Playing Gameの略で、大規模多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲームと訳される。
MMORPGでは、ゲーム会社が用意した専用サーバーにあるインターネット上の仮想空間にアクセス、同時に数千人といった多くの人が同じ世界を共有しながらオンラインで遊ぶことができる。
他のプレーヤーとの会話や情報交換、また、ゲーム内仮想通貨(バーチャルマネー)を使って装備を充実させるなどの要素もある。

クロスプラットフォームゲーム

かつての家庭用ゲーム市場では、それぞれのハードごとに根強いファンがおり、いかに有力な人気タイトルを自社のハード陣営に取り込めるかを競い合ってきた。一方で、複数のハードでソフトを供給したい会社もあり、家庭用ゲーム市場では、こうした戦略をマルチプラットフォームと呼んでいた。近年は、異なるハードを使っているユーザー同士がオンラインで対戦できるクロスプレイや、異なるハード間でのセーブデータを共有できるクロスセーブなど、ハードの垣根を越えて連携できるゲームも開発されている。こうした機能を持つゲームをクロスプラットフォームゲームと呼んでいる。

Play to Earn

文字通り遊んで稼ぐことが目的のゲームで、P2Eと略して呼ばれることもある。主に仮想通貨ブロックチェーン技術を使ったオンラインゲームをしながら、仮想通貨を稼ぐことになる。稼ぐためには、ゲーム内で課せられたミッションをクリアしたり、ゲーム内で獲得したNFTアイテムキャラクターを販売したりすることなどで仮想通貨を得られる。リスクとしては、ゲームによって異なるが初期費用が数万円から数十万円程度かかることや、稼いだ仮想通貨の価値が変動しやすいこと、さらに、ポンジ・スキーム(出資者から得た資金を運用せずに初期の出資者に配当し、あたかも資金運用によって利益が出ていると装う投資詐欺)の可能性などが指摘されている。

IPコンテンツ

IPとは、Intellectual Property の略で、ゲームやアニメなどにおけるキャラクターなどの知的財産のこと。ゲーム会社は有力なIPコンテンツを多数保有しており、各社はメディアミックス戦略を活発化している。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の大成功はその好例で、任天堂は「ゼルダの伝説」を扱った実写映画の企画開発を開始したことも明らかにしている。
他方、プレイステーションのゲームでも映画化が進められており、2023年9月には人気ゲーム「グランツーリスモ」の実写映画が劇場公開。今後も元寇を題材にしたゲーム「Ghost of Tsushima」の映画化や、古代ギリシャ神話を題材としたゲーム「God of War」のTVドラマシリーズ化などのプロジェクトが進行している。

どんな仕事があるの︖

ゲームソフト業界の主な仕事

シナリオライター
ゲームのストーリーや構成などを考える。

グラフィックデザイナー
ゲームに登場するキャラクターやアイテム、背景などを描く。

サウンドクリエイター
ゲームに欠かせない音楽や効果音などを作成する。主に曲作りを行うコンポーザーと、コンポーザーが作った曲をゲーム上で再生できるようにするプログラマーの仕事がある。

プログラマー
プログラミング言語を使いこなし、実際にキャラクターなどをゲーム画面上で動かすシステムを開発する。

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ゲームソフト業界の企業情報

※原稿作成期間は2023年12⽉28⽇〜2024年2⽉29⽇です。

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