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アパレル・服飾関連業界

業界の現状と展望

原材料費の高騰もあり国内外で海外ブランドとの競争が激化

アパレル業界では、紳士服や婦人服、インナーウエアに加えて、靴・鞄などを、着心地や機能性などを考慮し開発・製造している。これらを総合的に扱う「総合アパレル」、婦人服のみを扱う「婦人アパレル」、紳士服の中でも特にシャツのみを扱う「シャツメーカー」などがある。

こうした商品は、自社店舗や百貨店、専門店、ネット通販などで販売される。アパレルメーカーの多くは、衣料品の企画を行い、その企画に従ってテキスタイル会社に生地などを発注、縫製は縫製会社に依頼し、それを買い取って販売する。海外有名ブランドとライセンス契約を結び、そのブランドが企画した製品の生産手配を行い、販売するケースもある。

最近は安価な海外ブランドの進出や輸入製品の急増、衣料品製造から販売までを一括して行い高品質な製品を安く提供する「ファストファッション」が激しい競争をしている。また生産も、人件費の上昇やサプライチェーンなどの課題もあり、バングラデシュベトナムなどへ移管する動きも出ている。
ただし、綿花などの原材料費は高騰しており、値上げを実施するアパレルメーカーも増えている。各社は、価格に見合った価値を提供できるバランスの取れた商品開発がさらに重要となっている。加えて、世界的な環境意識への高まりもあり、古着を回収・リサイクルするメーカーもある。

コロナ禍で苦戦も、EC(e-コマース)で拡大する通信販売

これまでは、店舗での販売が中心だったアパレル・服飾業界。徐々に回復傾向にあるが、コロナ禍で百貨店や専門店などの実店舗での販売は苦戦を強いられた。また、在宅勤務の浸透で、衣類のカジュアル化が促されたこともあり、アパレル業界の企業では、一部ブランドの休止や実店舗の撤退と同時に、コロナ禍でのニューノーマルに対応できるビジネスモデルの転換に追われた。

店舗での販売は回復傾向にあるが、スマートフォンやタブレットを用いて、インターネットを通じ買い物をするBtoC-EC(消費者向け電子商取引)はそれ以上に活況だ。メーカーやブランドだけでなく、個人が企画・製造した商品を自社のECサイトで直接販売するケースもある。D2C(Direct to Consumer)と言われるビジネスモデルで、実店舗を構えたり、小売業者を介したりする必要がないため、コストを抑制できる。また、SNSを通じて消費者とダイレクトに対話できるため、商品への要望や意見を商品開発マーケティングに活かすことができる。

経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」によれば、2021年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、前年比7.4%増の20.7兆円に拡大。また、2020年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は同11.3%増の372.7兆円だった。
2019年の日本国内BtoC-EC市場規模は19.4兆円、日本国内BtoB-EC市場規模は350.0兆円であったことを考えると、2021年の日本国内のBtoC-ECおよびBtoB-EC市場規模は、コロナ禍以前の2020年の市場規模を上回っていると言えよう。2021年のBtoC-EC市場で、「衣類・服飾雑貨等」のEC化率は21.2%。「書籍、映像・音楽ソフト」の46.2%や「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」の38.1%と比較するとまだEC化率が高いとは言えない。アパレル・服飾業界の商品は、素材の手触りやサイズ感、色合い、機能性などを実際に確認してから購入したいというニーズが高い。そのため、実店舗とオンライン店舗を融合したOMO(Online Merges with Offline)型店舗の運営を開始した企業も登場している。

懸念される世界情

回復傾向にあるアパレル業界だが課題もあり、ウイグル問題は重要だ。中国は世界有数の綿花の生産国で、その多くが新疆ウイグル地区で生産されている。国際社会では、こうした綿製品が強制労働で生産された疑いがあるとして批判を高めており、世界中のアパレル関連企業は新疆ウイグル産の綿製品の利用に関して、その生産・加工段階において問題がなかったのか説明を求められている。対応の仕方によっては、中国や欧米など世界市場での販売が制約されるリスクも考えられる。
さらに、ロシアによるウクライナ侵攻は長期化する懸念が高く、原油価格や海運価格への影響も続くことになりそうだ。また、急激な円安は、原材料の仕入れ価格にダイレクトに影響する。今後は、値上げに踏み切らざるを得ないメーカーも増えそうだ。

業界関連⽤語

プレオーガニックコットン

無農薬栽培を始めて3年未満の綿のこと。 有機栽培綿であるオーガニックコットンは、3年以上農薬や化学肥料を使っていない土地での栽培が認証の条件となっており、生産者は生産から認定されるまでの3年間は生産と収入が減るために、その期間に栽培された綿を「プレオーガニックコットン」として販売しようという動き。農薬などの影響は少なく、環境に優しい素材といわれている。

RFID

Radio Frequency Identifierの略で、ICと小型アンテナが組み込まれた電子タグ。電波を介して情報を読み取る非接触型の自動認識技術で、商品のセキュリティーや、生産、在庫、物流管理などで利用されている。また、いま人がどこにいるのかというプレゼンス情報を管理する目的での利用にも注目されている。

SPA

Speciality store retailer of Private label Apparelの略。商品企画から製造・販売までを自社で行う企業で、日本では製造小売業といわれている。米国の「GAP」が自らを定義した言葉といわれており、国内では「ユニクロ」や「無印良品」などがよく知られている。需要変動のリスクをすべて負うことになるため、消費者ニーズに素早く対応する必要があり、販売情報を素早く追加生産に結び付けるQR(Quick Response)体制が重要とされる。

CtoC-EC(消費者間電子商取引)

メルカリ」や「ラクマ」などのフリーマーケット専用のアプリケーション(通称「フリマアプリ」)が有名。アパレル・服飾関連商品は取引が多く、中にはインスタグラムに新しいコーディネートを投稿することだけを目的に、次々と服を買ってはフリマアプリで販売するという人もおり、アパレル・服飾業界の電子商取引に与える影響を指摘する声もある。

BOPIS

BOPISとは、「Buy Online Pick-up In Store」の略で、「ECサイトで購入した商品を、実店舗で受け取る購入スタイル」のこと。購入者には、宅配される時間を気にせず自分の好きなタイミングで受け取れる、送料がかからない、自宅の最寄りの店舗で受け取れるなどのメリットがある。一方、メーカー側には実店舗に寄ってもらうことで、“ついで買い”を期待できる、宅配よりも物流コストが安いなどのメリットがある。

SHEIN(シーイン)

中国発のアパレルECショップで、世界各地で販売を行っている。低価格と幅広いユーザーに対応できる多様な商品が特徴で、実店舗を持たず自社ECサイトを通じて消費者と直接取引を行っている(direct-to-consumer、DTC、D2C)。アメリカのZ世代に認知されだしたことをきっかけに、アメリカで大ブームとなり、いまでは積極的に世界展開を行っている。SHEINの日本語サイトによれば、150以上の国と地域にサービスを提供しているとのこと。日本には2021年に本格進出し、原宿に常設のショールームをオープンしている。なお、自社工場を有しておらず、1000を超えるサプライヤーに商品を発注している点も特徴だ。なお、中国発祥の企業であるにもかかわらず、成長のきっかけがアメリカでの大ブームであること、値段がライバル会社と比べて圧倒的に安いこと、2022年現在でも中国でサービスを提供していないことなどもあり、マスコミなどでは、「Z世代に人気の謎のグローバル企業」として扱われることもある。

どんな仕事があるの︖

アパレル・服飾関連業界の主な仕事

・マーチャンダイザー(MD)
市場動向やシーズンのトレンドをいち早くつかみ、「売れる商品」を予測する。そのうえで予算や商品内容の構成、販売方法までを手掛け、ブランドの方向性を決める全体の要となる。

・デザイナー
生地や染色などに関する深い知識の他、トレンドをつかむマーケティングの才覚、営業やプレスと協力していくためのコミュニケーション能力など、才能やセンス以上のものが要求される。

・パタンナー
デザイナーがイメージした服を実現するため、型紙(パターン)をおこす。

・プレス
アパレルメーカーや繊維会社、あるいは販売店、輸入商社などの広報部門で、自社製品をマスコミや消費者にアピールする。ブランド戦略の中核を担う。

・バイヤー
自社のブランドポリシーやトレンドに合致する商品を見つけ出し、買い付けてくる。

・エリアマネージャー
自社のチェーン店舗を複数統括し、担当する地域の特性を理解し、売上を向上させ、利益を上げるための戦略を担う。

・ショップマネージャー
ショップの運営全般にわたる最高責任者。在庫管理、売上管理、スタッフの教育や、エリアマネージャーと協力して販売戦略の策定と実行をする。その他、自ら接客も行うこともある。

・ファッションアドバイザー
ショップの店頭にて接客を行う販売スタッフ。

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アパレル・服飾関連業界の企業情報

※原稿作成期間は2022年12⽉28⽇〜2023年2⽉28⽇です。

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